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2、鞭打ちは勘弁してほしいです

続きです!


「ハッキリ申し上げます。これは虐待です。パワハラどころじゃない……国防の要たる聖女様に、なんたる悪逆非道の行いを、あのクソ坊主どもめ…!」


ラトランド公爵令嬢はぶるぶる震えながらおっしゃいました。何でしょう、聞きなれない単語がたくさんあるような。あと、せっかくお綺麗なのに、額から頬にかけて血管が浮いておられますわ、怖いですわ。


ちなみにわたくしたちは今、玉座の間の近くにあるティールームに来ております。お茶やスイーツが供されておりますが、誰も手を付けておりませんでした。


「リギンズ男爵令嬢、すまない。国王・王妃が不在の間、監視を怠った我々の責任だ。出来るだけ償おう」


「そ、そんな、どうぞお顔をお上げくださいませ!わたくしごときにそのような」


なんてことでしょう、ゴーラン王子殿下が、一介の男爵令嬢ごときに頭を下げられました!これがお兄様に知れたら、鞭打ち10回程度では済みませんわ、おやめください!


「筆頭聖女たるリギンズ男爵令嬢が、ごときなわけないでしょうがああ!!!」


「ヒャア?!」


横でラトランド公爵令嬢が雄叫びを上げました。わたくし、びっくりして変な声が出てしまいましたわ。


「ゴーラン様!手配は済んでおられまして?!」


勢いを付けてラトランド公爵令嬢が振り向きますと、王子は慣れてらっしゃるのかまるで動じず、こくりと頷かれて何枚かの書類を示されました。


「とりあえず正神殿のトップグループは刷新。これは所属している上級~下級聖女からヒアリングを行った結果報告書だ。これを踏まえて検討し、就労条件を改定する。全ては王家の名の元に行い、司祭どもの反論は認めない」


書類を少しだけ見せていただきますと、中にはわたくしの知っているお名前もございました。


あっ、これはわたくしの補佐をしていた下級聖女のカスティーリャ伯爵令嬢……えっ?彼女は朝7時半起きで、祈る時間は午前中と午後に1時間だけ?朝食はベーコンエッグとコンソメスープに白パン、昼食はビーフシチューで、夕食は白身魚のポワレと鴨肉のコンフィ…?デザートにアイスクリーム……??


「司祭どもは聖女の身分や寄付額で待遇を変えていたのだ。たとえ上級だろうと、平民の聖女には最低限の支給しかしていなかった。……それでも、貴女よりはマシだったが」


確かに、こちらの平民の上級聖女は、朝は4時に起きてますし、朝食を取れる代わりに昼食はありませんのね。朝から晩まで、市井の治療院や孤児院で治療の奇跡を……まあ、夜10時には夕食を済ませて11時には眠れるなんて、羨ましいですわあ。食事内容はわたくしと同じですけども。


「ふふっ、おっかしーい。あのクソ坊主たちは国防予算の四分の一も使って、何してたんでしょうね。腹か、腹肉を膨らませていたのか。……(自主規制)を(自主規制)して(自主規制)てやろうかァ……」


「やめろオリエ。全年齢カテゴリだ、過激な発言は控えるんだ」


……どうしましょう、なんかもうラトランド公爵令嬢が、公爵令嬢の形をした何かに変容されている気がいたします。


でもわたくしは、先ほどから何故、お二方がこんなに聖女の待遇を嘆いていらっしゃっているのか、ピンと来ておりませんでした。


「あの……少しお聞きしてよいでしょうか。お二方がおっしゃるほど、聖女が良くない環境にいるとは思えないのですが」


「「は?」」


わたくしが恐る恐る発言しますと、お二方は目を見開いてわたくしをご覧になりました。




連続投稿します!

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