10、追放先で軟禁されました
続きです!
本日は3話アップします!
……おとうさま、おかあさま。
シンシアは今、極楽におります。
……おりますのに、おかあさまたちに会えません。何故でしょうか。実はこれは全て夢なのでしょうか?
「お嬢様、湯浴みの用意ができましたわ。その前に、軽く水分を取ってくださいませ」
そう言ってメイドの方が渡してくれた飲み物は、ほんのり甘く酸味があって、とても美味しいです。
「どうぞお嬢様」
メイドの方がわたくしの手を引いて、39℃くらいの温めのお湯を張った浅い浴槽に、体を横たえてくださりました。
お湯にはいい香りのするドライフラワーや薬草が浸してあります。
メイドの方たちに体を洗われるのも、お嬢様と呼ばれてちやほやされるのも、だいぶ慣れました。
小さい頃、おとうさまとおかあさまが生きておられた時のことを思い出します。
あの頃は本当に幸せでした……。
「お疲れ様でございました、お嬢様。軽く水分を補給されましたら、オイルマッサージをいたしますね」
湯上がりにまた別の味の飲み物をいただきます。これも美味しいです……。
柔らかいタオルで体を拭かれて、少量の素敵な香りのオイルで全身をマッサージされました。
体が浮きそうなほど心地よいです。
何かしらこれ、わたくし、そのうちオイルで溶けてしまうんじゃないかしら…。
「お休みなさいませ、お嬢様」
体がすっかり解れると、強烈な眠気がわたくしを襲いました。
肌触りのいい寝巻きに着替えさせられ、清潔で美しい寝室のふかふかベッドに寝かされて、ふかふか布団とふかふか枕に包まれて、わたくしはうとうといたしました。
ああ、いけません、まだ夜の8時過ぎですのに……こんなに早く眠る癖がついてしまうと、聖女のお勤めに戻れませんわ……。
頭ではそう思うのに、わたくしの意識はどんどん遠くなっていくのでした。
ここに来てからのわたくしは、食っちゃ寝食っちゃ寝の生活です。
着替えも入浴も食事のしたくも片付けも、みんなみんなメイドの方たち任せ。
わたくしは、祈りも癒しも掃除も市井での慈善活動も何もせず、まるで王女様のように、メイドの方たちにかしずかれて過ごしているのでした。
……こんな怠惰で傲慢なわたくしを、神はお許しくださるのでしょうか……?
ちょっと順番間違ってバタバタしました、すいません。
この先、ひたすら聖女ちゃんをよしよしなでなでします。
次は10時にアップします!