時間潰し屋 営業中
こんにちは。はじめましての方ははじめまして。宵ヤイバです。
魔法や能力なんかも出てくる作品です。
どの読者さんも覗いていってくだされば嬉しいです。
唐突だが、僕にはこれだけは確信を持って言えるということが一つだけある。
時間を潰したことのない人間は、存在しない。
だってするでしょ? 暇潰し。
読書したり、ゲームしたり、勉強したり、昼寝したり…… 店に寄ってみたり。
何で僕たちは暇を潰すんだろう。
例えばゲームで時間を潰すという行為は、プロでもない限りしなくても支障は無い。
読書や絵なんかもそうだ。職業にでもしていなければ、しないところで問題は生じないだろう。
僕たちは、しなくてもいいことを「時間があるから」という理由だけで実行する。不思議なもんだ。
さて、時間を潰す上で最も大事なことと言われて何が思い浮かぶだろう。
個人的には、無駄だったと思わないこと。
うわぁ! ゲームしまくったらもうこんな時間だ!
よし! 今度から気をつけよう!
どんなに過去を後悔したって意味はない。
だったらそれまでの時間を無駄にしない使い方をしよう。
そうだよね? おじいちゃん。
さて、もちろん僕も1人の人間だから当然時間を潰している。
常人よりも時間を感じるためからか、人一倍暇な時間を潰そうとする。きっと父も、祖父も皆同じだったのだろう。もう呪いだね。
店の中を見回り、何周も読んだ本を並べた本棚のホコリをチェックする。
「うわっ!」
考えながら足を動かしていたからか。無様にも何もないところで躓いて転んでしまう。かなり派手に。
血は出ていないけど、腕には跡が付いている。木の床と擦ったからかな。
そろそろかな。
その瞬間、跡のついた腕から溢れる眩い光が体を包み込んだ。
転んで擦った腕も、立ちっぱなしのせいで生まれた筋肉痛も、寝起き特有の腰の痛みも。
すべてが元どおりに治っていく感覚。
その光は僅かな時間で消失し、腕を見返せばもう跡はない。痛みもない。実は転ばなかったのでは、と錯覚してしまう。
だが、もうこれには慣れた。
気にせず、ドアを開け外へ出る。
この日は冬で随分と寒かったのにとてもよく晴れていた。
こんなに晴れているのに外を歩く人はほとんど見えない。朝の早い時間だし、人通りが多い訳でも無い道だから仕方ない。
大通りの二本横の道の人気の薄さは昔から変わらないな。そんなことで気を落としても仕方ない。
開けたドアのすぐ横に置いてある存在感の強いイス。そこに座っている札を表にひっくり返し、再び座らせる。これで朝のルーティーンは終了。
今日も一日中、来るかもわからない「時間を潰したい」誰かでも待つとしよう。
僕は鈴がなるドアを開け、店の中に戻った。
『時間潰し屋 営業中』
この作品なんですが、作者が好きな作品の影響をモロに受けているので、わかる人はわかると思います。
ただ、ストーリーや細かい部分は作者のオリジナルの味を出して行きたいです。
さて、この話の主人公は題名の通り特殊な性質を持っています。それを原因として様々な出来事が起こったり起こらなかったりするので、次回もお楽しみいただければ幸いです!