プロローグ
まだ別のお話を更新してる最中なのに違う話を投稿するとは…。馬鹿の鏡ですよねワタシ
夜のノリで書いてます。
まだ不慣れですが、楽しんで頂けると幸いです。
俺はどこにでもいる普通のちょっと内気な高校生。
クラスメイトのダチ達とふざけあって馬鹿な発言して揶揄われて笑いを取る。眼鏡かけた真面目キャラでゲームが趣味の...いわゆる陰キャだ。
さて、今はどんなゲームをやっているのかと言うと...「乙女ゲー」である。
なぜ男が乙女ゲーをやっているのかって?
それはな、妹への仕返しだ。
俺が丹精込めて進めてきた攻略型オンラインゲーム«アルグスの塔の英雄譚»を妹が容量が足りないからという理由でデータ全消ししやがった。
しかも俺のパソコンだぞ!?
そんな訳で、妹が俺のデータの代わりに入れた乙女ゲーを俺が全クリしてやる事にしたんだ。
いやぁ、俺って優しいね。
こんな砂糖吐きそうな残念なゲームを代わりにやってあげているんだ。なんて妹想いの良い兄貴なのだろうか。
そして全クリした画面を妹に見せて目の前で消してやる。そうすれば容量も元通りになるからバックアップデータを復活させられる。
今すぐ消さないんだ。
いやぁ、俺って優しい。(2回目)
さてさて、1日で全クリを目標にしたが意外に無理だった。
地味に内容が深いんだよ。なんで俺が乙女ゲーで心痛めにゃならんのだ。
あー、しんど。
ってな訳で、俺は夏休みの内の大事な一週間使いようやく、ようやくだ。全クリを達成した。
何故だろう。ゲームをクリアして嬉しいはずなのに心が痛い。内容が重すぎる。
そして今更だが、何が悲しくて男が男攻略するのかと自問自答する。
達成感なんてある訳が無い。
二つの意味でやらない方がいいゲームだった。
さぁ、この画面を妹に...あれ、お前いつからそこに...
「このっ、クソ兄貴ー!!!」
その言葉と同時に持っている本を振り下ろす妹。
何故怒るんだ!俺はお前の代わりにゲームをクリアしてやったんだぞ!!
おかしいな。なんだか俺の首を狙ってる気がするんだが...
ゴンッ
「グェ」
そのまま意識を刈り取られた。
解せぬ。
気が付くと真っ白な部屋にいた。病院だろうか?
体が熱い。
頭が痛い。
「____っ。」
体を起こすと目眩がして咄嗟に頭を押さえる。
手が小さい。まるで子供のような手だ。
「殿下!お目覚めになられたのですね!」
何を言ってるんだ。看護師は頭がおかしくなったのか?
「何を言っ...っ!!」
俺の言おうとした言葉が知らない声で耳に届く。
声変わりしかけた少し高い男子の声。
おかしいな。確かに声を出したはずなのに、声が被ったのだろうか?
「オルド!あぁ、無事でよかった。」
母さんが抱きついてくる。
オルドって誰だ?
.....母さん?この人は知らない人だ。なぜ母さんだと思ったんだ。
「オルド。貴方、毒を飲んで死にかけたのよ。あぁ、よかった。本当に良かった。」
「毒を…」
____突然頭の中に少年の記憶が流れ込んでくる。
少年は国王と側室との間に産まれた王太子オルド·バラトリス。側室の子供だが正室の子供よりも三ヶ月早く産まれてしまい、現在、王位継承権第一位とされている。そのためか、王妃.第二王子勢力の者から毒を盛られる事が多く、先程もそのせいで死にかけていた。
「かあ、母上。鏡を貸して頂けないでしょうか。」
借りた鏡に映るのは、灰色の髪に青紫の瞳。
間違いない。俺はさっきまでプレイしていた乙女ゲーの攻略対象、オルド·バラトリスになっている。
嘘だろ?俺は堅苦しいのが苦手なんだ。よりによってなんで王族なんだよ。夢なら覚めろ。
元に戻ったら妹が俺を殴った事については許してやる。
いやぁ、俺って優しい。(3回目)
だからお願いします。今すぐ覚めてください。俺!!
1ヶ月経った。
短いものだね。
あれから覚めることなく、ずっとオルドとして生活している。
その間に毒を盛られた数42回。
なんで俺こんなにも命狙われてるの?
1日に2回3回とか来るのおかしくない?大丈夫なの?国として。
耐性はついたけど嫌なものは嫌だからね?
心が死ぬよ。
ゲームでオルドが病んで心を閉ざしていた気持ちがわかる気がするよ。
なんでそうしてまで陛下は俺を王位に着かせたいのかわからない。正室の子でいいじゃん。俺嫌だよ。
早く戻りたい。
神様ごめんなさい。反省するから早く帰して。
あれから一年が経過した。
どこに王妃勢力がいるかわからない。寝ても覚めても警戒を続けてきた。もう心は死にかけてるよ。
毒も匂いで分かるようになったしね。
僕は悲しいよ!!
気がついた事がある。
おそらくだが、これはヒロインがゲームをクリアしないと俺は帰れない。
それまで耐えるのは辛いが、それが一番可能性は高い。それに賭けるしかない。
あれ、待って...?
その場合俺は攻略されなくちゃいけないの?
ちょっと、かなり嫌なんだけど。
可愛い女の子達に囲まれるのは男のロマンだけどプレイした側からすればセリフ知ってるし嬉しさほぼ皆無だよ。
あの、侍従さん。
これ毒ですよ?食べたくない...食べなくてはいけないのですね...。あっはっは。
モウダレモシンジナイ。
もしもし。母さん、お元気ですか?
俺はご飯に毒が入れられること以外平和に暮らしています。体は健康ですよ。
俺気づいたことがあるんです。
ヒロインがゲームクリアすればいいなら別に俺じゃなくてもいいじゃんって。
ヒロインの恋応援してさっさとクリアしてもらえば俺も帰れると思います。
心配かけてごめんな、母さん。
俺頑張るから。
早く戻りたいよ。
それから4年の間。
俺はこの世界の父____現在の国王の元で公務の手伝いをして仕事を覚えながら生活していた。
父の指導を受けるようになってから、毒が盛られる回数は減った。減ったと言っても無くならなければ意味が無いと思うんだけどね。
16歳になる年。
俺は乙女ゲーの舞台である学園に入学した。
乙女ゲーの主人公の名前はプレイヤーが決めるから俺はわからない。分かるのは特徴だけだが、それだけで充分だ。
さて、ヒロインは誰を攻略するのか
気掛かりなのはそこだけだが…嫌な予感がする。
こちらに向かって歩いてくる女子がいる。
ピンクブロンドの髪にピンクの瞳。
間違いない。乙女ゲーのヒロインだろう。
彼女の後ろには5人の男子がいる。
俺の目の前まで来ると立ち止まった。
衝撃すぎて言葉が出ない。
「はじめまして。私カグラ·アステリオンと申します。」
カグラ·アステリオン男爵令嬢。お前は一体何をしているんだ…
あぁ、頭が痛い。
今すぐ帰りたい。
忘れさせてくれ、今の状況を。
「立場が上の者に下の者が声を掛けるのは失礼だ。そんな事もわからないのか?」
それだけ言って俺はその場を去る。
確か乙女ゲーの流れはこれで間違いなかったはず…
よろしければブックマーク、好評価、感想などお願いします!励みになります!
こちらの作品は不定期更新ですが、できるだけ次の更新日はお伝えする予定です。
次の更新は月曜日を予定しております。
もし、よければ「手紙で繋がった子に婚約を申し込まれてしまったわけですが」の応援の方もお願いします!
文章を書くのは苦手ですが、楽しんで頂けるように頑張ります:( ˙꒳˙ ;):