魔法
教官とまきゆづの勝負が始まって数分が経過した。彼女の方は攻防一体で攻めているがまきゆづは防御だけに徹していた。
「そんなんじゃいつまで経っても勝てないですよ!」
「この世界って魔法あるの?」
「勿論ありますよ。ですが、魔法適正、魔法に関する事を学んでいないと使えませんよ」
まきゆづはそれを聞くと少しニヤついた。彼女はそれを見ると警戒して少し下がったと思いたい。
「神よ我が剣に紅蓮の炎をまとわせたまえ!エンチャント!プラッツェン!」
まきゆづが呪文を言いながら叫ぶとクレイモアに炎が纏った。それを見た彼女が驚いた。
「何故魔法の基の字も知らない貴方が魔法を使えるのですか!?」
「魔法は君が言ったとうり魔法適正にも関係するけどそれが全てではない。魔法とはその人の想像力にも左右される。例えば僕のクレイモアは炎が多く纏っているがこれを少なくできる」
まきゆづがそう言うとポケットから緊急時に使うためのサバイバルナイフを取り出した。
「今回は聖属性を少量だが纏わせてみる。ふぅ。神よ我が剣に女神の祝福があらん事を。エンチャント!グランツ!」
また叫ぶとサバイバルナイフには何も起こらなかった。
「何も起きないじゃないか」
「待ってくれ僕はさっき聖属性を付けると言った。聖属性は炎のようにはならないぞ。アンデットが居たら好都合なんだけどいないか」
まきゆづは一旦エンチャントを解除した。そして、教官の腹にチョンと当てた。
「僕の勝ちだ」
「えっ!・・・やらかしたーーー!今は勝負の最中だった!私はなんて言うミスを犯したんだ。勇者だから魔法を使えるのは当たり前じゃないか。騎士として失格だもう死ぬしかない」
そう言って剣を自分の首に向けるとまきゆづは慌てて止めた。
「落ち着いてください。自分を責めないでください。だからまず最初に剣を納めてください」
まきゆづが落ち着かせて三分が経過した。そして、また魔法の解説をし始めた。
「次によく魔術師や魔法使いが使用する攻撃魔法についてだ。主に最初に習うと思われるファイアーボールがある。これも想像して出来ている。と言うことは火の玉と言っても詠唱出来る。やってみて」
「無理だ出来ない」
そうマリスが言うとまきゆづが腕を持って教えた。一つ一つ丁寧に教えた。
「まず最初に手のひらに気を溜める事を想像してくれ。その後ファイアボールと唱えてみろ」
「ファイアーボール」
そう言うと手のひらから火の玉が出来た。彼女が投げると真っ直ぐ飛んでいきその後消滅した。
「できた。やったー☆」
ここで彼女の紹介をしておこう。彼女はデプロ・マリス。金髪、二十歳、大きさ普通<何がとは言っていない>彼氏いない歴20年、身長171ぐらい。
まきゆづは何か思い付いたのか少しわくわくしている。
「すまないが離れてくれないか。今からド派手な事をする」
「わかった。私は元の作業に戻らせてもらうよ」
彼女が城壁に向かって行くのを見たらまきゆづはあることに集中し始めた。それは、最上位魔法の妄想だ。
「ふぅ。地上に舞い降りた悪魔どもよ今こそ我に力を分け与えろ、この世界にありとあらゆる生物系を揺るがす破壊と混沌の始まりを今この時始まりを迎えさせろ!そして新たな理を描きこの世界の破滅の始まりをを我が行う!深淵の名に刻まれし禁断の魔術、狂え!狂え!!この世界を狂気に塗り替えて見せようぞ!響け!爆裂!アオス・ブルフ!」
まきゆづが中二病くさい言葉を唱えていると目標地点上空に大きな術式が現れた。詠唱が長くなればなるほど術式は大きくなった。そして、まきゆづが最後の言葉を叫ぶと目標地点の空が光り巨大な爆発が起きた。
「やってやったぜ!」
その後、まきゆづは倒れた。目が覚めたらそこは兵舎だった。周りを見渡すと土木工事をしていた兵士達が休んでいた。
「アニキ起きましたか!体は大丈夫ですか!?アニキが気を失って倒れていたのを見つけてビックリしましたよ。でアニキはマリスさんと訓練した後は何をしていたんですか?」
「軽く、魔法の試し撃ちをしていた。気づいたらここに居たんだ。そう言えば誰が僕をここに運んで来たんだ?」
「それぁ。本人から言うなって言われてるんで。話した瞬間殺されかけないんですよ」
兵士がそう言うとマリスの方を指さした。彼女がさっきからこっちを見ているのは内緒。まだ少し頭がボーとするので寝ていたらバリュートがやって来た。
「我が同胞まきゆづよ大丈夫か?それと緊急の話があるから今すぐ来て欲しい」
バリュートがそう言うと兵士たちが立ち上がった。
「国王様それはいくらアニキが勇者だって言ってもさすがにきついですよ。ねぇアニキ!」
「お、おうそうだな。ちょっと休ませてくれないか?」
まきゆづが問いかけると、バリュートが頭を抱えた。
「せっかく、私が頑張って総合魔法科学校に入学手続きをしといたのになー、あとテストを合格するだけで入れたのになー。まきゆづが疲れてるんじゃ仕方ないな、断ってお「ちょっと待ったー!!」」
まきゆづは急に起き上がってバリュートの肩をガシッと掴んだ。
「さっきまで疲労が溜まっていたのに急に体を動かしたくなったな。早速テストを受けに行こう!」
「おっおう。ではその前にお昼を食べに行くぞ。勿論、兵士の皆さんも一緒に食べに行きますよ」
その時、一瞬場が固まった。
「うぉおおお。王様の奢りだああ!たらふく食うぞお前ら!」
「「「しゃぁあああ!家族連れてくるぞー!」」」
「バリュート魔物はどうなったんだ?まだ進軍して来ているのか?」
「魔物はあの爆発によって塵になった。うれしい事だな、働かなくて済むし死体処理もしなくていい。死体処理と言ってもハンターギルドに魔物の解体を行てもらうんだけどな。オークは良いんだ、肉も取れるし素材の一部は精力剤として使えるから利益が出るのだがゴブリンあいつはー駄目だ!売れる場所が何にも無い」
「そうなんですかー。王様もタイヘンデスネ。では早速飯を食べに行きましょう!」
そう言うと、バリュートを先頭に二列で移動した。周りの人たちは何事だと思い行進をしているバリュートたちを見る。
「あれが最近来た勇者じゃないのか?けど違うな俺の聞いた勇者は女って聞いたぞ」
「勇者は三人来たんだよ。それぐらい知っとけニワカ」
男の放った一言で喧嘩が始まったが速攻で終わった。
「王様の目の前で喧嘩とは肝の座った奴らだな。死に方を選ばせてやろう。首から上が無くなるか、心臓が無くなるかだ選べ」
喧嘩を中止させたのはマリスだった。それに気づいた雪姫は止めにかかった。
「まぁまぁ。君達も喧嘩はよくないよ仲直りしてね。仲直りしないとお仕置きしちゃうぞ☆」
男二人は心中で天使だと思ったに違いないだろう。雪姫はマリスさんの背中を押しながら行進の中に入ってった。そして、この物語の主人公はいつもと変わらず本を読んでいたが、今回は日本の歴史農家編を読んでいた。さすがにお米が食べたくなったのだろう。
お店に着くと皆仲の良いグループで固まっていた。龍尾達もいつもと変わらず三人+αで食事をしようとしていた。
まきゆづ達が入学する学校はこの世界で最も栄えてる国ヴィルヘルム第三帝国のバイエルン総合学校だ。昔魔物がいなかった頃は結構な頻度で戦争を吹っ掛け併合していた。その結果現在では連盟盟主を務めている。この国は連盟盟主だけあって北の最前線を務めている。まきゆづたちが居る国は東の最前線だ。
「君たちが入学するのはヴィルヘルム第三帝国のバイエルン総合学校だ。ここからだと10日ぐらいかかる。しかも道中魔物も現れるがそれでも行くのか君達は?」
「もちろん「だ!」「☆」「です」」
その言葉を聞くと書類を取り出した。そこの紙には同意書と書かれていた。内容は‘たとえ我が校で死亡しても責任は負いません’と。
「この学校はエリートを集めている。お遊びで入学したものが以前いたんだ。その子は入学式を抜いて初日で死亡した。死因は演習中で使っていた剣が首に当たった。エリートならそれぐらいは避けれるだろうとの事で話は終わった。その後この書類が作られた。その後は死亡事件は起きなくなった。それでも行くのか?」
「「「はい!」」」
その言葉を聞いて安心したのかバリュートは昼飯を食べ始めた。龍尾達もサインが終わると昼飯を食べ始また。
「出発は明日ですか?」
「出発は明後日だ。それがどうした?」
「みんな服を買いに行かない?ずっとバリュートさんから借りるのもなんだし。あっお金が無い」
雪姫はしょんぼりとした。そして、何か思い付いたのかまきゆづがフォークを止めた。
「冒険者ギルドで討伐任務を受けたら?ねっ!バリュート」
「おっそうだな」
まきゆづは説明を任せたという眼差しを送ると食事を再開した。その後バリュートが察すると地図を取り出した。
「ここに冒険者ギルドがある。冒険者を始めるには手続きが要るがそれには1Mが必要だがまきゆづが持っているから問題ないだろ。冒険者の主な仕事は周辺に現れた魔物の討伐、薬草の採取とか位だろう。それと時々、国の兵士が居ない時に魔王軍が攻め入って来たら遊撃の緊急討伐クエストが起こる。これは、他のクエストよりも報酬が高いからよくいろんな者が参加する。だがこれにも制限がある。Cランク以上の冒険者しか参加できないのだが、君達なら問題ないだろう。ランク決めは鑑定石でステータスを鑑定し能力で決めるが、勇者なら最初からスキルで持っているからいつでも確認できる。それとアイテムボックスもあるはずだ。これは名前のとうり物をしまえる。この世界にも稀にそのスキルを持って生まれる人いるが勇者の持っているアイテムボックスよりも容量が少ない。まきゆづ人の話聞いてる?何で俺のステータス見てんの?」
名前 バリュート・ログレンス
職業 王
レベル 2
ステータス HP357/357 MP0 PWR200 DFE100 SP120 MG100
スキル 統治LV2 内政LV3 ロリコンLV、MAX
まきゆづの目の前にはバリュートのステータスが表示されていた。スキルの所に悲しい文字があるが置いといて、このステータスは剣士にもレベルさえ上げれば劣らないステータスだ。
「じゃあご飯を食べ終わったら冒険者ギルドに行こうか」




