襲撃
一発の魔法攻撃により泰雅の頭に緊急事態信号が大量に発動した。
「敵襲か。警備隊は何をしているんだ!」
泰雅はいつも通り抱き着いているゼウスの手を少し強引に引きはがし窓から飛び降りた。降下中に周辺の確認をしたところ北から魔物たちが一斉に攻勢を開始していた。しかし、泰雅が一番驚いたのはガーゴイルが空輸でギガントスを二匹運んでいたことだった。
{各自生存確認!}
『『『zzzzzzzzz』』』
「寝てんじゃねー!」
地面に着地し直ぐに北門に向かった。向かっている最中に数匹のワイバーンが侵入して来ていたためアイテムボックスに大量にあったクレイモアを投擲し撃ち落とした。
「間に合うか?」
泰雅が北門に到着した時にギガントスは既に解き放たれていた。ギガントスは近場の木をひっこ抜き武器とした。ガーゴイルは遠距離から爆発系魔法を使い城壁を破壊していた。
「おい!大丈夫か!?返事しろ!クソ!」
仲間を失った兵士が武器を取り北門に向かった。他の兵士も次々と北門に移動していた。
「まきゆづ国防長官か?部隊の指揮を頼む」
「分かった。それと、以後まきゆづと呼ぶな泰雅と呼べ」
「了解しました」
現状を確認し第一目標をガーゴイル、第二目標をワイバーン最後にギガントス。取り巻きは広範囲攻撃を持つ魔術師に任せ、ゴブリン、オーク等は兵士に任せた
「弓兵は魔法使いに爆発系のエンチャントをしてもらえ。歩兵はタイマンを作るな常に二対一を作るように。魔術師も後方だからって油断するな。魔法を使うときは常に気を配れ。敵が近くに居たら直ぐに詠唱をやめ、援護を求めろ」
「「「了解」」」
帝国熟練の弓兵たちは魔法との合わせ技により、火力不足を補いガーゴイルに集中砲火を浴びせていた。兵士の方も順調に接近してきた魔物を撃退していった。しかし、相手も黙って攻撃を食らうはずもなくワイバーンが兵士を鷲掴みし空中で切り離し地面に叩きつけたり、はたまた首を食いちぎったりしていた。オークやゴブリンからの被害は全くなかったがいまだゆっくりと歩いて来ているギガントスに泰雅は嫌な予感を持っていた。
「ヒーローは遅れてやって来るもんだぜ!」
ここで役立たずの勇者のアルギが現れた。功を急ぎアルギは走ってギガントスに向かった。
「おい!バカ待て!」
「こういう時、強い方から攻めるのが当たり前だろ!」
アルギがギガントスの目の前に立った時、デュラハン親衛隊が現れた。その速度は勇者にはとらえきれないほどの早さだったが泰雅にはしっかりと見えていた。
「離れろ!」
「勇者討ち取ったり」
泰雅の言葉に反応し盾を前に構えたアルギだが、敵の攻撃を食らうともの凄い勢いで飛ばされた。
「敵には良い指揮官が居ると。ギガントスやれ」
「「ルォォォォォオ!」」
二匹のギガントスは手に持っていた木を投げ飛ばした。近場に木がある限りどんどん投げ続けた。
「魔法使いは火炎系魔法で木を焼き払え!」
「無理です!魔力がもうありません」
泰雅は無理と言い張る魔法使いのうなじを掴み魔力を注いだ。その注いだ魔力の量は尋常でない。魔力を注がれた魔法使いは体から魔力が溢れていた。
「出来るか?」
「はい!」
魔法使いは杖を強く握りギガントスの投げた木に向かって魔法を連射した。泰雅は戦場が安定してきたことを確認するとアルギを救出しに向かった。
アルギが多くの木々に当たり吹っ飛ばされたのが分かるように木のど真ん中が人が一人入りそうなほどの穴が開いていた。その穴を覗くと数メートル先にアルギが倒れていた。
「おい、大丈夫か?」
「・・・」
返事は無かった。泰雅は脈を確認した。アルギはまだ生きていた。泰雅はヒールを使いアルギの傷を回復させ、アルギを背負い前線に戻った。
「あいつらは、あそこから動かないのか。そこの君。こいつを医療室に運んでくれ」
「了解しました」
兵士はアルギを担ぎ上げると医療室のあるバイエルンに向かった。
「作戦の遂行は不可能か。ギガントス撤退だ帰るぞ」
「ワカッタ」
作戦の遂行が不可能と考えたデュラハン親衛隊はギガントスに撤退命令を出し帰って行った。撤退しているのを確認すると魔法使いたちと魔術師らは疲労により一斉に寝ころんだ。
「あぁー疲れた。今度はさすがに終わったと思いましたよ。ハハハ」
「まだまだ、攻勢は激しくなるだろうな。それに、備え武器を変えないといけない。弓兵はあまりにも火力不足だ、魔法使いが居ないと。火力不足は死につながる。魔法使いと魔術師は今日はゆっくり休め。今日はクエストを受けようと考えるなよ」
「「「分かりました」」」
泰雅はそう言い残すとワイバーンやガーゴイルに破壊された街を眺めながら寮に帰った。
おはようございます。クソ雑魚なめくじのまきゆづです。夜間の襲撃の対処は結構疲れそうですよね。私も夜間のゲームは頭が壊れそうです