授業
まきゆづはその夜仕方なくソファーで寝た。そして、翌朝にセシルのまぶたに日光が当たる。柔らかいベットの上で目覚めたセシルは急激に顔を真っ青にした。
「すいませんご主人さま?」
セシルはまきゆづが寝ていると思われるソファーに向かったが居なかった。
「呼んだ?」
まきゆづがソファーの下から現れた。セシルは驚きを隠せず少し引いていた。
「何でそんなところに居るんですか?」
「暗殺が怖くてついやってしまった後悔はない。次回は光魔法でどうにかする。光を屈折させればいける」
「何を言っているのかわかりませんが私はお食事を取りに行ってきます」
「え?」
「え?」
「手作りじゃないの?」
「良かったら手作りに変更できますけど、、、」
「明日からそうしてくれ」
「分かりました」
セシルは満面の笑みで答えた。ふと、まきゆづは時計を見ると時刻はまだ8時を過ぎた所だった。八時?と言う事は急がなければ遅刻なんですが、、、
「ん?時間!見てください八時ですよ、は・ち・じ!」
「やべ、じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
セシルはにっこりと笑みを浮かべながら見送った。そして、何事も無かったかのようにまきゆづの朝食を取りに行った。
「それでは、ホームルームを始めるぞ~。欠席は無し、遅刻もまきゆづはぎりぎりセーフっと。今日から勉強の始まりだ。私は魔法の先生そして、君達の主任を務めるメルゾだよろしく。では、早速各自自分の教室に移動だ」
まきゆづは魔法教室に移動した。座席は特に指定はされてなく自由に座った。少し待っていると他のクラスの子たちがぞろぞろと入って来た。まきゆづの隣に座ったのは勇者のアルギだった。
「やぁ、四年間よろしく」
「あぁ」
とてもやる気に溢れていない生返事を返すまきゆづ。されど、アルギはとにかく話しかけてきた。
「おいアルギ静かにしろ、勇者だからってうるさくしてもいいとは限らないぞ」
「すいません」
アルギはやっと黙った。おしゃべりな奴ほど先に死ぬと聞くがこの時のまきゆづの感想は媚び売ろうとしてんじゃねぇよと言うぐらいである。
「今回は特別授業でまきゆづに先生をしてもらいます。おそらく彼がここの中で一番強いでしょう。皆さん彼の話をよく聞いて自分の糧にするように」
「「「分かりました」」」
まきゆづは教卓に早速立ち黒板にオリジナル魔法の作り方を書き始めた。
「今回はみんなのオリジナル魔法を作ってみようと思う。ここにきている人たちは大半の魔法を使えるだろう。なら、その威力の向上はこの先生に任せるとしてこの一回しかない授業でそれぞれの得意な分野に合わせた自分だけのオリジナル魔法を作ろう!」
「「「うぉぉぉぉ!」」」
生徒から歓声が上がった。自分だけのオリジナルと聞くと皆欲しがるのは当たり前だまきゆづは早速その工程を黒板に書いた。
「まず、最初に自分の得意な魔法を理解することが大切だ。俺は大半の魔法が得意だからほぼほぼ全部作れるがみんなは違うだろ?炎系統が得意ならカッコよくて尚且つ威力が高い物を作ろう!次に名前を考えるんだ。名前は創造力を高めてくれるんだ。名前が無くては何も考えられない。最後は自分の創造力を信じろ!。では開始!」
まきゆづの合図でみんなが一斉に名前を考え始めた。まきゆづはバハムートを呼んだ。
『どうしました?』
「言いにくいんだけど、みんなのサンドバックになってくれない?」
『お安い御用ですよ』
バハムートが広い教室の中で元のサイズに戻った。みんなはそれに驚く暇もなく自分だけの魔法を考えていた。
「まきゆづ先生これはどうですか?」
一番最初に出来たのはアルギだった。アルギは自分に闇魔法と光魔法を付け相手を怖気させるというとんでもな物を考えてきた。
「名前はエディターです」
「はぁ、、、」
まきゆづはバーサーク2の副作用を全て開放すると何も起こってはいないのに空気が重くなり息苦しくなった。
「すいませんでした。考え直します」
アルギが元の席に戻ると今度は裾が引っ張られた。まきゆづは引っ張られた裾を見ると杖を持った少女がいた。その少女はバハムートに杖を向けると魔法の詠唱に入った。
「深淵に理を得た者共よいまこそ邪心の力を解き放つ時。狂え、踊れ、悶えよ!響け、グロズニーエンペルド!」
その時、まきゆづは嫌な予感がし魔法の矛先をバハムートから帝国の平地に魔法陣を移動させた。
「危なかった。オリジナルの深淵魔法はやめよう。絶対に死ぬ。みんな最初に攻撃か回復か先に言ってくれ。この少女みたいな詠唱だから判ったけど詠唱が無いときはやばいからな。さぁ、みんな続けてくれ」
そう言いまきゆづも自分のオリジナルを考え始めた。
眠いクソ雑魚ナメクジのまきゆづだぉ。寝かせてくれ。もう疲れたんだ。寝てもいいだろう?




