本境界線召喚
なんとなくの思い付きで日本を登場させてみました。
グレイル歴1398年7月20日
・本境界線召喚
前回試験的に開いた境界線から三百キロ離れた海岸に、前回境界線を開いた魔導士たちが、一列に並んでいた。今回は航空戦力で敵市街地を破壊したのち、帝国海軍の艦艇による海上封鎖で攻め込む計画である。そのため海岸線にはところ狭しと、艦艇が浮かんでいる。
今回は、お昼頃に境界線を開く計画だ。早朝より日が高く昇っているときの方が、明るくて敵を視認しやすいからだ。
前回同様に、詠唱が始まりオーロラが発生して境界線が開いた。予定通り600㎞ほどの長さだ。境界線の中央に近いあたりから1万騎もの空騎士が乗ったワイバーンが飛び立っていく。
境界線から20㎞ほど離れたところに陸地を見つけた、空騎士たちは、地上すれすれを飛んでいく。高層建築物のたくさん立ち並ぶ大きな都市を見つけた。今回の作戦の指揮を執るのは前回の偵察でリーダーとなったマウロである。
彼は、一瞬この天を貫かんとする高層建築を壊すことにためらいつつも、魔通信で高層建築を目標として破壊することを、命じる。この高層建築が一瞬で廃墟になれば我々の力に驚きひれ伏すだろう。そう考えての作戦である。
そのころ都市では、お昼ご飯を食べ終わって職場に戻ってくるサラリーマンがたくさんいた。彼らは高層建築の中へと戻っていく。午後の業務を再開したとき、あるサラリーマンの目に大きな鳥が写った。その直後大きな鳥の放った火の玉が自分のいる建物に向かって放たれるのを目撃した。その数秒後、彼の意識は強制的に途切れた。
ワイバーンたちは、どんどんと高層建築を破壊していく。建物の中腹に命中し発生した火災による熱で上から崩壊する建物や、土台を吹き飛ばされ、コップが倒れるように崩壊する建物がたくさんあった。
パニックになって建物の外に出ようとするものもたくさんいたが、崩れてきた建物の下敷きになって、死んでいく。頭部が、石の塊に置き換わったものや、ミンチになったもの、両足を挟まれ「ぐぁぁぁぁぁ....あっ足がぁぁぁぁぁ.......助けてくれぇぇぇ.......」と叫びながら大量出血で死んでいくもの、火に包まれて「ギャァァァァ......アヅゥイアヂュイアヂュィ」と言葉にならない声を上げるもの、都市は地獄絵図であった。十分ほどで、都市は廃墟と化していた。この十分で東京二十三区にいた三十万人近い人間が死んだ。
xマウロは不思議に思った「なぜ敵の軍隊が来ないのか?もしかして軍隊を持っていないのか?」そんな楽観的な考えが浮かんできたが、万が一の被害を避けるために、長居をせずに部隊を撤収させる。損害ゼロという大勝利であった。