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6 『赤、晴れ』『苦し紛れで』
★ お題:『赤』『晴れ』
真夜中過ぎに思い立って車を走らせた。たどり着いたのは、海辺の小さな町だ。車を降りて海岸線に立つ。
東の水平線が濃いオレンジ色に染められ、やがて世が明けた。晴れた空に、真っ赤な太陽が顔を出す。
この景色が見たかった。
最期に。
神々しい光を全身に浴び、俺の身体は塵になった。
★ お題:『苦し紛れで』
またきつねうどん? 最近多くない?
「下心アリ?」と問い詰めると「俺の好物だ」って苦し紛れの言い訳。いなり寿司もあるのに。
騙されたふりをして、あたしは一口食べて尻尾を出す。
なによ、嬉しそうな顔して。
思う存分モフモフしなさい。
あなただけだよ、妖狐に触れること許されてるのは。
※4‐2『隠しきれない』の裏返しみたいな話になりました。
(2017/03/30執筆)