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59 『彼女、毛布』『どうせなら』
★ お題:『彼女』『毛布』
彼女がベランダで毛布に包まり、夜空を見上げていた。明るい光が南西から北東に進む。彼女はそれに向かって手を振った。
ISSから見えるわけがない。でも彼女は手を振る。そこにいる恋人に向かって。
僕のときは見上げてすらくれないだろう。でも僕は君を探して見下ろす。傍らに彼がいるとしても。
※ ISS=国際宇宙ステーション
★ お題:『どうせなら』
関西に来たのだから、どうせならと奈良公園に行った。
広い敷地には木が生い茂り、夏でも心地よい風が吹く。
春日大社に参拝していると、境内の近くに生き別れになった母を見た。が息を飲んだ刹那、陽炎のごとく消えた。
この幻が私の運命を大きく変えることを、その時の私は知る由もなかった。
(2017/05/22執筆)