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50 『名前、女』『腰を抱く』
★ お題:『名前』『女』
勾配の急な男坂を避け、私は女坂をのんびりと登った。
子供を連れてきたかったが、生意気にも「神頼みなんて柄じゃない」と拒否された。
社務所で絵馬を買い求め、一文字ずつ丁寧に志望校と子供の名前を書く。
親ができることなんて、本当に限られている。
春には桜が満開になりますように。
★ お題:『腰を抱く』
兄の赤ちゃんを膝に乗せ、落ちないようにしっかりと腰を抱く。
にこにこ笑いながら僕の顔に手を伸ばす赤ん坊は少しミルク臭い。でもそれが幼い日を思い出させるようで、妙にくすぐったい気持ちになった。
ガラス越しの日差しが心地いい新緑の季節だ。
僕は仕事を忘れ、穏やかな気持ちに包まれた。
(2017/05/13執筆)