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29 『耳障り、知らない』『濡れた唇』
★ お題:『耳障り』『知らない』
何度質問されても、知らないものは答えようがない。お前がやったのだろうと問い詰められ、否定しても何度も言われる。執拗に繰り返されるうちに、頭の中がおかしくなって、耳障りな幻聴が聞こえ始めた。
私の判断能力は著しく低下し、とうとう相手の言葉にイエスと答えた。
冤罪だと解っていたのに……。
★ お題:『濡れた唇』
柔らかで芳醇な香りを放つ肌に、目が吸い寄せられた。少し赤みがかっているのは、羞恥心の現れか。
私は唇を舐め、魅惑的な肌に歯をたてた。
君の流す蜜は舌をとろけさせ、私を恍惚とさせるほどに甘く酔わせる。
濡れた唇は、さらに君を貪りつつける。
ああ美味い!
やっぱり桃は岡山産が一番だ。
(2017/04/22執筆)




