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23 『醜い、赤』『悪夢を見た。』
★ お題:『醜い』『赤』
真っ赤な嘘だよ、と舌を出して終わるはずだった挑発が発端となって、醜い争いになった。売り言葉に買い言葉の応酬で互いの行動はエスカレートして行き、とうとう引くに引けなくなった。
もう後がない。この諍いを止めるには、これしか方法がない。
自棄になった私は、核ミサイルのボタンを押した。
★ お題:『悪夢を見た。』
また悪夢を見た。
取り憑かれた私に、眠りは安らぎにならない。
目を閉じるたびに襲ってくる無数の夢は、ある人物に収束する。昔捨てた彼女が、なぜ今ごろ私の眠りを妨げるか。
まぶたに映る彼女の顔を消すために、私は銃をこめかみにあて、引き金を引いた。
これで穏やかに眠れるだろう、永遠に。
(2017/04/16執筆)