表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

化け猫の噂。

ユキさんはオカルト嫌い。

マサハルはオカルト大好き。

第2話の始まりです。

昼休み。

「ユキさん、知ってます?」

マサハルが目を輝かせて話し掛けてくるときは、決まって怖い噂を仕入れてきた時だ。

だいたい、話す前から「知ってます?」というのも、おかしいわけで。


「どうせ怖いようで怖くない、ちょっと怖い話なんだろ?」

「それが、今回のはかなりきてますよ。出る場所がこの学校ですし」

「んっ…」

あたいは悲鳴を堪える。


あたいは幽霊とか、怖い話が大の苦手。

子分の前だから強がってるけど、さっきから鳥肌が立ちまくってる。


「三年生のユタカくん、先週の水曜からずっと休んでいるんですけど。休んでいる理由は、見たからなんですって」

「な、なにを?」

「ば、け、ね、こ」

マサハルがあたいの耳元で渋い声で囁く。


「んふぅっ…」

怖い、怖すぎる。

頬が強張って、血の気が引いていくのが分かる。


「ば、化け猫ぉ? そんなの、いるわけねーにゃん?」

恐がっているのをごまかそうと、手でネコミミを作っておどけてみせる。


教室の隅に固まってる3人組がこっち見てる。

なんか「猫耳萌え」とか聞こえるよ。

変態予備軍め。


午後の授業のチャイムが鳴り、髭マッチョが入ってきた。

「はぁーい、席についてぇ。楽しい授業を始めるわよぉ」


放課後、マサハルの家に行く。

あたいの家では、おやつと言ったら煎餅と緑茶だけど、マサハルの家ではポテチとコーラなの。

だから行くわけではないよ。ないからね。

子分の家庭訪問は親分には必要なことじゃない?


マサハルが、テレビ番組を録画したのを再生させる。

去年の夏に放送された心霊特番だ。

あたいの家でも両親がテレビで見てたけど、あたいは部屋で「サタン伝説」を読んでた。

すごく残虐な性格だけど、素朴な顔のために、色々と誤解されながらも懸命に生きている高校生のハートフルコメディ漫画だ。


それはさておき、健全な男子だったら、布団の下には親に隠れて見るようなのが有るはずなのに、マサハルの場合はお気に入りだという怖いやつだ。

もしかして、マサハルも特殊なタイプの変態なのかな?

ニュータイプってやつ?


「ユキさん、ここのシーン見てくださいよ」

テレビには、丑の刻詣りの再現映像が映されている。

もう、これだけで怖い。 この人何してるのさ?

幽霊とかおばけじゃなく、人間だと言うのに。

白い着物で、頭にはロウソクを括り付け、金槌でワラ人形に五寸釘を打ち付けている。


「この後ですよ」

草むらで音がして振り向くと、そこには尻尾が二本有る大きな猫がいた。

輪郭がぼやけててよく見てないけど、口は耳まで割け、目は不気味に光っているのがわかる。

あたいはテレビを見るフリをして、視点をずらすんだけど、ぼんやりと怖い姿が見えてしまう。

「こんなのが学校に出るんですよ。 素敵じゃないですか!」

どのあたりが素敵だ?

マサハルは、日本語の使い方を間違えてると思うんだ。


しかし困った。

こんな奴が学校に出るなんて、怖くて昼寝、ではなく勉学に身が入らない。

化け猫なんているわけないよ。

だって、本当にいるなら、とっくに捕まっていて、動物園とかに入れられているはずだもんね。


化け猫なんて、嘘さ。

化け猫なんて、無いさ。

どこかの変態が、悪戯してるだけさ。

「よし、確かめに行こう。変態退治だ!」

「化け猫ですってば」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ