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蜂のように刺しちゃうぞ!

マサハルには、変態を引き寄せる魅力があるようだ。

でも、盗撮変態怪人ミキウシは寄ってこなかった。

と言うことは…

あたいの推理が間違っていなければ。


「マサハル、スカートはいてみてよ」

「い、いきなり何を言い出すんですか?」

マサハルは驚いている。そうだよね。

男の子にスカートだもんね。


「急に言われてもスカートがないですよ」

そっち?はきたくないとかじゃないんだ。

「この風呂敷を腰に巻けばスカートっぽく見えますよ」

ユタカが黒い風呂敷を取り出す。

さっそくマサハルの腰に巻いてみる。

短パンを隠すように巻くと、遠くから見ればスカートに見えなくもない。


ユキとユタカは垣根に隠れる。

「じゃ、がんばって」

マサハルの背中を押して、ミキウスから見える位置に出す。

マサハルはさすがに恥ずかしいのかモジモジしながらミキウシに近づいていく。


あのタイプの変態なら放っておかないだろう。

果たして、ミキウシはマサハルに気が付いた。

ミキウシは抱きついている女の子を放り投げると、マサハルに突進してきた。


かかった!

事前に立てた作戦通りに、マサハルはユキの隠れている垣根に戻ろうと踵を返した。

すると、ミキウシは後ろ足だけで立っていたのだが、四つん這いになり後ろ足で地面を蹴る。

鼻息も荒い。まるで、闘牛場の牛だ。

マサハルの魅力は絶大だな。


こんなところで暴れられたら大変だ。人目の付かないところへおびき寄せなきゃ。

「マサハル走れ!」

マサハルはユキのいる垣根まで走る。

ミキウシもマサハルを追いかけてくる。


間一髪。マサハルは垣根まで走り、横に飛ぶ。

ミキウシは勢い余って、垣根を突き破って走り去っていく。

「あとはまかせな」

ユキが赤い風呂敷をはためかせ、マサハルの前に立つ。

ちなみに、赤い風呂敷もユタカが出してきたものだ。


「かかってこい!変態怪人!」

ミキウシが憤怒の表情でユキを見る。

とても国民的人気のキャラクターには見えない。

「ギュモー」

もはやミキウシの面影はなく、猛牛に変わり果てた。

ユキは挑発を続ける。


「盗撮なんてせこい変態行為しやがって。マタドールが許しても、あたいは絶対許さない!」

ミキウシは猛烈な勢いでユキに向かって走ってくる。

ミキウシの角が大きくなりユキに襲いかかる。


ユキは、直進してくるミキウシを直前でかわし、がら空きとなった背中に縦笛を振り下ろす。

蝶のように舞い、蜂のように刺す作戦だ!


しかし、ミキウシの突進が速すぎて、ミキウシを狙った縦笛は宙を切ってしまう。


突進をかわされたミキウシは、鼻息を荒げて再び突進してくる。

その度にユキはかわかわしながら縦笛を振り下ろすのだが、何度やっても宙を切るばかりだ。

ことままで、いずれやられてしまうかもしれない。


もっと早く。もっと鋭く突かなきゃ。

ギリっと奥歯を噛みしめる。

すると時間がスローになった。


髭マッチョの時と同じだ。

ミキウシの動きがはっきり見える。これならやれる!

ユキは渾身の力を込めて笛を振り下ろすが。


あれ?あたいもゆっくりとしか動けない。

髭マッチョの時は一瞬だってから気が付かなかったけど、あたいが速く動けるわけじゃないんだ。

ミキウシの背中が離れていく。


「逃ーがーすーかー!」

縦笛の軌道を強引に曲げ、ミキウシを狙う。

ミキウシの巨体は半分以上が通り過ぎてしまっている。

もう狙える部位はあそこしかない!


振り下ろす手首を曲げ、地面と水平にする。

「オーレィ!」

ミキウシの臀部めがけて、縦笛を右手で叩きつける。

バッチコーンッ!


「モッフーン!」

ミキウシの四肢が伸びて硬直する。

勢いで倒れからも地面を転がっていく。

そして、砂煙が立ちこめる中、ミキウシの巨体が止まった。


こうして、デステニーランドに出没していた変態怪人ロリンギューは、HKBのユキとマサハルに退治されたのだった。

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