札束の恋(恋愛?)
亡者どもの嘆きをどうぞ。
だからか黒いのが多いような。
グロ・エロ・ヒドイのは無いです。ご安心を。
初心者の方にも優しいはずです。
薄暗いワンルームの中で。食い入るようにパソコン画面を見つめる札束くんひとり。
札束くんは、あるミュージックビデオの動画の虜になっていました。
画面の中の彼の名前はマイケル・ホーリクス。昔に音楽活動していたイギリス人です。札束くんは彼の、くるくる移り変わる表情や笑顔の魅力にメロメロになり、恋心が芽生えてしまいました。
でも自分は普通の札束。百万円です。この種別を乗り超える恋愛なんていうのは無理があるのです。たぶん。
札束くんは、ちゃんとその事はよく分かっていました。そして所詮は叶わぬ恋なんだと、諦めていました……。
「なら……なら、せめて」
札束くんは、このミュージック・ビデオを購入する事にしました。このビデオを抱いて一緒に寝たりしようとか、そんな事を考えていました。とにかくどんな形でもいいからずっと側に居て欲しい……札束くんの苦しい気持ちは、何処にも行く所が無かったのです。だから……だから、せめて……!
2日後。ピンポーン。
ネット注文した荷物が届きました。もちろん、あのミュージック・ビデオです。
札束くんは嬉しくて嬉しくて、飛び跳ねながら玄関へと駆けて行きました。
待ち遠しくて待ち遠しくて。決して叶わぬ恋だけど、これでずっと一緒に居られるんだねと。札束くんは、張り切って荷物の受け取り印にサインをしました。『SATSUTABA』と。
「まいど〜代金引換で〜す」
札束くんは宅配のお兄さんに もらわれて行きました。
相変わらず薄暗い部屋の中には。ポツンとビデオの入った小包が一つ。
……アレ?
《END》
【あとがき】
作者、イギリス人にハマッた影響が小説に。動画の向こうの彼に会う方法を考えたりしています。時々。
いっそマイクロチップを私に植え付けてくれと知り合いに相談したら「もうすでにされている」とか言われる始末で。
はあ〜(ため息)。
ここではボツになった理由などを暴露しますが、
今作は主人公が札束の為、共感を得られないという理由からです。
と言いますか、コレってボーイズラブ?
ええ〜@
作者、札束大好き。音の響きがいい(それだけか?笑)。
読了ありがとうございました。
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