20、冒険者ギルド
本日は2話連続投稿です。
7/9 ぶつかったチンピラの名前を変更しています。カーゴン→メイガン
誤字修正しました。
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朝の冒険者ギルド、様々な種族が忙しく出入りしている。
鎧を着こんだ大男、短剣を2本腰に差した獣人、杖を持った魔術師。
どれも戦うことを生業にした人種たち。
皆、依頼が張り出された掲示板を見上げ、仲間内で一喜一憂している。
朝の冒険者ギルドで見られる日常風景。
冒険者ギルドは4階建ての建物で、1階は受付と買取カウンター、酒場が併設されている。
そこに、幼さが残る2人の男女、そしてまだ幼い白髪の少女が1人。
恐る恐るといった感じで扉を開き、中を窺いながら入ってくる。
まるで、ダンジョンの扉でも開くように……
新人によく見られるタイプだ。もしかしたら依頼人なのかもしれない。
冒険者たちは一瞥すると、また仲間内で相談ごとを始める。
「あの……冒険者登録を行いたいんですが、ここでいいですか?」
黒髪の青年がギルドのカウンターに受付に立つ少女に声をかける。ひょろっとした体躯、腰には申し訳程度の短剣を差している。
「はい。冒険者登録ですね。こちらで受け付けております。なお、登録にはお一人100Gの費用が掛かりますが、よろしいでしょうか?」
受付の少女は、青年と同じく黒髪と瞳をしている。彼女は、笑顔でマニュアルに沿った受け答えをする。だが、それは、まだたどたどしく、受付の業務に慣れていないことがわかる。
「では、俺たち3人分の登録をお願いします。」
黒髪の青年は、銀貨を3枚取り出した。
「はい。丁度お預かりします。では、こちらの用紙に名前・性別・種族・出身地とあと得意なことをご記入ください。」
受付の少女は、3枚の用紙とペンを渡すと、席を立って奥にひっこんでいく。
3人の男女は、サラサラと用紙に必要事項を記入していく。白髪の少女は得意なことがないのか何も書けないでいた。
しばらくすると、黒髪の受付少女が何かを抱えて戻ってきた。一抱えもありそうな、水晶玉のような物だ。
「はい、ユウマ様、アイリ様、サフィーナ様ですね。得意なことは空欄でも構いませんよ。
ご記入が終わりましたら、こちらの鑑定玉に手を翳してください。」
3人は頷き、順に鑑定玉に手を翳していく。
「ありがとうございます。これからステータスプレートの作成を行ないます。その間、お時間が少々かかりますので、冒険者ギルドのご説明をさせていただきます。お時間大丈夫ですか?」
「はい。よろしく頼みます。」
黒髪の青年の丁寧な物言いに、受付の少女は好感が持てた。
「では、説明させていただきます。
冒険者ギルドは、冒険者の互助組織となります。冒険者の方は強さやギルドへの貢献度によって、ランクが上がっていきます。G・F・E・D・C・B・A・Sと8段階にランク分けされています。
まずみなさんは登録された時点でGランクに分類されます。ギルドの掲示板に貼られた依頼を受注していただき、こなしていただきます。実績を積むことでランクを上げることができます。
現時点で皆さんはGランクと一つ上のFランクまでの依頼を受注できます。基本的に、ご自身のランクの上下一つまでの依頼が受注可能となります。万が一、受注した依頼が達成できなかった場合、ランクアップの査定のマイナス要因となります。ですが、最初は、無理だと判断したら依頼失敗の報告をしてください。Gランクだとこれ以上、ランクは下がりませんので。あと、依頼と実際の内容が異なる場合、依頼失敗とはみなされませんのでご安心ください。
ランクアップの査定についてですが、依頼達成と討伐した魔物の数と内容、ギルドに持ち込まれた魔物素材やアイテムなどがプラス要因となります。また、Cランク以降のランクアップには試験が存在します。主に実技試験ですが、その時に随時説明いたします。
それから、ギルドを通さない依頼についてです。これは基本的には、ギルドとしては認めていません。例外としては、護衛契約を個人的に結ぶ程度でしょうか。ギルドを通さない場合、依頼人の信頼度が低い場合が多く、気付いたら犯罪に加担していたという報告も上がっています。犯罪の度合いにもよりますが、最悪の場合、ギルド除名の処分が下されますのでご注意ください。
最後に、冒険者同士の私闘についてです。これにつきましては、ギルドは一切関知しません。あまり酷い様だと除名、ランクアップのマイナス要因として査定されます。逆に、ランク下位の者を引き上げる助言、行動などはプラス要因と判断されます。
ふぅ……言えたぁ。あ、すいません。ここまでに何か質問はありますか?」
長い説明を言えたことに満足そうな受付の少女。
「今のところは大丈夫だと思います。またわからないことがあれば、聞くかもしれません。あ、そういえば、お名前をお聞きしてもいいですか?」
「あ、はい。申し遅れました。私はエイミーと申します。冒険者ギルド受付嬢をしております。解らないことがあれば、いつでもご質問くださいね。あ、ステータスプレートができたようです。最後に、血を一滴プレートに垂らしていただければ、登録が完了となります。」
エイミーと名乗った受付嬢は、銀色のステータスプレートと待ち針をそれぞれに手渡していく。
それぞれ顔を顰めながら、指に針を刺し、血を垂らしていく。
すると、プレートが淡く輝き、無事表示される。
「これで、俺たちも冒険者ってことだな。」
「そうですね。」
「そうだねー。」
男女3人は嬉しそうに顔を見合わせる。
「あらためまして、ようこそ!!エイラム、冒険者ギルドへ!!」
エイミーは3人に一番の笑顔を向ける。
†
無事に登録ができたな。怖かったのはアイリのステータス表示だった。だが、杞憂だったようだ。アイリの種族はハイエルフではなくエルフとなっている。これは、ガート村の半樹精マールから教わった裏ワザだ。【隠ぺい】をCランクまで上げると、自分だけでなく、他人のステータスも変更することができる。それで、俺はアイリのハイエルフの記述をエルフに変更したのだった。
今、ギルドのカウンターでそれぞれのステータスプレートを確認している。受付嬢のエイミーは微笑ましそうにそれを眺めている。黒髪……日本人みたいな顔立ち、アイドル級に可愛いぞ。
おっと、それぞれのステータスプレートは……
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■ステータス
名前/有村 悠真
Lv.5
種族/人間 年齢/18歳 職業/冒険者
スキル
‐【薬草術】【気配察知】【気配消失】【剣術】
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■ステータス
名前/アイリーン・ドスティアームズ
Lv.3
種族/エルフ 年齢/16歳 職業/冒険者
スキル
―【薬草術】
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■ステータス
名前/サフィーナ
Lv.3
種族/人間 年齢/10歳 職業/冒険者
スキル
なし
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サフィーナには可哀想だが、スキルなしで……。あ、アイリもレベル上がってるんだな。きっと盗賊討伐で魔法使ってたからな。命を奪わなくてもレベルは上がるんだな。これ、レベル高すぎるか……今、ギルドにいる冒険者の平均4くらいだし……まぁ、大丈夫か……。
あ、エイミーが俺たちのステータスプレート見て固まってる……まずかったか?
「えと、エイミーさん?なにか俺たちのステータスプレートに問題でも?」
「い、いえ。そんなことはありません。ただ、そちらのサフィーナ様のレベルを始め、皆さんレベルが高いので……。」
やっぱりまずかったようだ……
「それは、俺たち村で狩人してたから、主に罠を使ってだけど……それで魔物も倒してたからレベルが上がったのかもね。」
「そ、そうでしたか。そうですよね。こんな可愛い子が魔物を倒してるなんて想像できませんし。」
若干、表情は緩んだが、まだちょっと引きつってるな。話題を変えよう。
「あ、あの……そういえば俺たち魔物の素材とか魔核石持ってるんですけど、買取はこちらでもやってるんですか?」
「へっ?あ、はい!向こうにある買取カウンターに出していただければ査定の後、買取が行われます。ただ、登録前に討伐した魔物の魔核石、素材に関しては、残念ながらランクアップ査定には含まれませんのでご了承ください。もちろん換金は問題ありませんのでご利用下さい。」
まぁ、初心者がボス級の魔核石持ち込んでランクアップしたってすぐ死ぬだろうしな。
「ああ、ありがとうございます。あ、アイリ。俺、依頼出してくるから、代わりに換金しといてくれる?」
そう言って俺はアイリとサフィーナにこれまで手に入れた魔物素材や魔核石をザラザラと渡していく。
エイミーはそれを見て、緩んできた顔がまた引きつっている。まぁ、ウルフ・イーターの爪とか目の前で手渡しされると驚くよな……
「あ、あの……すごいいっぱいの魔物を狩ったんですね。さすがレベル5です。」
エイミーが憧れの眼差しを送ってくる。一応、納得してもらったか……
「あの、田舎者なのでよく解らないのですが、レベル5ってそんなにすごいことなんですか?」
「すごいことですよ!そうですね。冒険者の方で言えば、ベテランの域ですね。騎士団に入れる基準がレベル4と聞いてますし……。レベル1~2で駆け出しレベル。3~4で一人前、5~6でベテラン、7以上は一流の域ですよ。」
レベルを今から変更するのも怪しまれるから、このままでいいか……。
「はぁ……そうなんですね。教えていただいてありがとうございます。あ、それから依頼を出したいんですが、依頼料などの相場を教えていただけますか?」
「えっ?依頼を出されるんですか?内容にもよりますが、どんな内容のご依頼でしょうか?」
「アイリもサフィーナも戦える技術を持っていないので、それを教えてくれるような方を探しているんです。できれば、弓・投擲・剣・魔術などを教えていただければ助かるんですが……」
エイミーはカウンターの下にあるであろうマニュアルとにらめっこしている。
「……えーとですね。もうちょっとで……あ、あった。まずは、依頼を出すにあたっての料金の内訳の説明をさせてもらいます。冒険者の方への成功報酬、仲介料、掲示板使用料の3つから成り立っています。仲介料は成功報酬の10%、掲示板使用料は一律で1日10Gとなります。この使用料は、たとえば10日分お支払があったとして、3日でこの依頼が受注されたとしても、残り7日分の返金等はありませんのでご了承ください。また、追加で使用料をお支払していただくことは可能となります。
えーと、戦える技術でしたか……どのくらいの技術にもよりますね。初級程度ならDランクの冒険者の方から探せますが、中級、上級となると高ランクの冒険者を雇わないといけませんので、必然的に高額な料金となります。」
「そうですか……ちなみに、初級の弓・投擲、剣とかの近接武器、魔術ならそれぞれおいくらほどになるでしょうか?」
「それだと……そうですね。少々お待ちください。」
エイミーはペラペラと名簿のようなものを見ながら、うんうん唸っている。
「弓、投擲ならば、レッスン料6時間600G、剣および近接武器なら6時間800G、魔術なら6時間1800Gほどが相場でしょか。相場より高いとより早く人が集まり、低いとその逆になるとお考えください。ちなみに、これらがDランクの冒険者に依頼した場合です。ランクが上がるごとに、だいたい倍ほどに依頼料が上がっていきます。あと、魔術の習得に関してのみですが、魔術師ギルドの魔術学園を利用するということもできますね。」
魔術師のギルドもあるんだな……魔道具とかも売ってそうだな。
学校とかあるのか……たぶん行かないと思うけど、一度は見てみたいな。
「丁寧な説明、ありがとう。とても解りやすかった。じゃあ、弓と投擲の初級の依頼を出して欲しいんですが……とりあえず3日間の掲示板使用でお願いします。これで、えーと690Gで相場ですか。じゃ、成功報酬を700Gで……合計800Gをお支払しておきますね。」
「えーと……700Gが依頼料で…仲介料が……は、はい。それで大丈夫です。計算早いですね。ユウマ様。これなら早くに依頼を請けてくださる方が見つかるはずです。」
やっぱりこの世界に人は暗算が不得意なようだ。でも、褒められるとちょっと照れる。
「複数いた場合は、こちらで面接させてもらうってことも可能でしょうか?」
Dランクの冒険者の実力ってのが、よく解らない。もし使い物にならないようなら、さらに上位の冒険者に依頼することにするか。
「はい。それは大丈夫です。ただ、人によっては自分の実力を見せることを嫌がる人がいますので、お話を聞くことくらいは可能だとおもいますが……」
まぁ、自分の実力は人には知られたくないよな。俺もそうだし……なら、手を抜いて適当に教えられる可能性もあるのか。
「そうですか。それでも大丈夫です。そうですね。一応、面接の日時を決めておきますね。3日目の夕方に面接することにします。まぁ、人が集まっていればですけどね。」
「承りました。依頼書にもその旨を表記しておきます。」
「ありがとうございます。あ、それから依頼書に追記をお願いしたいのですが……」
「はい?依頼書に表記できる範囲であれば可能ですが、いかがしましょう。」
「そうですね……。『優れた技術を持った方、当方に目に見えた上達が見られた場合、追加でボーナス。最大100Gアップ。さらに、同条件で依頼の継続をお願いする場合あり。』とまぁ、こんなところでしょうか。ボーナス分の仲介料は必要ですか?」
「それは……ちょっと待ってください……えー……それはチップの範囲内と判断されるので仲介料は必要ありません。」
これなら、適当に教えられるってことは防げるだろう。それに、運が良ければお金に困ってるDランク以上の冒険者が依頼を請けてくれるかもしれないな。
「では、この内容で張り出してください。よろしくお願いしますね。」
俺は、最後にエイミーにお辞儀をしてカウンターを去った。さぁ、集まってくれるかな。
お、もうアイリたちは換金が終わってるみたいだな。
「悪い。待たせたな。魔物素材ってどれくらいで換金できた?」
「すごいですよ!とくにウルフ・イーターの魔核石は5000Gにもなって、合計5450Gで買い取ってもらいました。」
へぇ、ってことは後のゴブリンやゴブリンバーサカー、グレイウルフの魔核石はそんなにしなかったってことか。
「ありがとう。アイリ。よーし!!これから買い物だ!サフィーナ、道すがら食べたい物があれば食べ歩きするぞ!!」
「おぉーー♪ユウマ。たべつくーす!!」
俺たちは、冒険者ギルドを後にした。
中央通りに沿って、街の中心部に向かって歩いていく。その途中、いろんな露店が並んでいる。中には香ばしい匂いや甘い匂いを漂わせている店もある。俺たちは、その都度足を止め、1つ買っては3人で別けながら、少しずつ色んな店の食べ物を食べていく。
豚肉っぽい串焼き、バーベキューソースとマッチして旨かった。
固いベビーカステラみたいなもの 蜂蜜が上にかかってる アイリの目がとろけてた。
トルティーヤにフルーツを撒いたクレープ的なもの サフィーナがお替りを所望。
何かのモツの煮込み これは俺がハマった お酒が飲みたくなるが自粛
じゃがいもっぽい芋に塩がかけられているもの シンプルだが旨い。
うどんっぽい麺類 スープは鶏ガラでラーメンっぽいが これはこれでイケる。
ううっ……ちょっと食べ過ぎた。ん?まだ食べるの?二人とも……いいよ。食いねぇ。食いねぇ。
ふぅー……なんとか二人の食欲が満たされたようだ。でも、3人でこれだけ食べても100Gも使ってない。
「アイリ、この辺りで俺たちの防具を揃えたいんだけど、どこかいい店しらないか?サフィーナには革製の丈夫な服なんかが良いと思うんだけど。」
お腹をさすりながらも、スイーツの露店を未練がましく見ているアイリに呆れながら声をかける。
「そうですね。あっちは革製品の専門店が多いです。あっちに行ってみましょう。」
「おっ、そうか。アイリも鎧までは行かないまでも、丈夫な服は必要だろ?気に入ったのがあったらプレゼントするぞ?」
アイリも丈夫ではあるが旅装の範囲を超えるものではない。この先、冒険者として依頼をこなすなら必要になるかも……ん?アイリはどう思ってるんだろ……
「えっ!?あの……ぷ、プレゼントしてくれるんですか!?」
「あ、女の子へのプレゼントが革の服ってのも、なんだな。嫌ならいい。」
「い、嫌じゃないです!全然嫌じゃないですよ!!」
アイリが顔を真っ赤にして慌てるように否定する。必死だな……必死に嫌なの隠してるのか?
「そ、そうか……別に他のものでもいいぞ。えーと、アクセサリーとか?可愛い服とか……」
といっても、何がいいかさっぱりだよな。女の子とのこういった経験なんてほぼ皆無だし……
「クックックー。ユウマー。選んでアイリに選んであげるのが男ってもんだよー?」
サフィーナ、お前にどの程度男ってもんが解ってるんだよ!!
「じゃ、じゃあ革のお店覗いたら、他の店も覗いてみようか?」
「は、はい♪」
アイリは嬉しそうに返事をする。やっぱ、革の服のプレゼントはハイレベルすぎるよな。これで喜ぶのは一部のマニアだけだろう。
俺たちは革の専門店街をぶらつくことにした。鞄から靴、服や防具のようなものまで幅広く扱っているみたいだ。そして、俺たちは1つの店の前で足を止めた。そこには、黒光りする綺麗な光沢を放った革のようなものでできたマントが飾られていた。細かい装飾も施されており、高い技術がうかがえる。看破してみると……
『黒牛鳥のマント』:レアランクC。黒牛鳥の革を丁寧に鞣した質の良いマント。多少の耐刃性と耐火性を兼ね備えている。
うん、良い物みたいだな。
そうやって、店の前で俺たちが眺めていると店の人が出てきた。
「あぁ、それはうちの目玉商品だよ。ちょっと値が張るが、丈夫だし肌触りもいいんだ。今なら、名前を刺繍するサービスもしてるけど、どうだい?」
出てきたのはドワーフだった。立派な黒ひげを二つに分けて編み込んでいる。いかにも職人然としたドワーフだった。看破してみると 【革職人/Bランク】とある。かなりの凄腕なんだろう。他の店の人も看破してみたが、この人がここら辺では一番優秀なんだろう。この店で決定だな。
「あぁ、とってもいい物ですね。丁寧に鞣してあるようだし。」
看破で知り得た情報をさらっと言ってみる。まぁ、革の良し悪しなんて全く解らないんだけど……
「おぉ!!解るのか!なかなかいい目を持ってるようだな。」
「いえいえ。それで、これ1つおいくらですか?」
「そうだな……兄ちゃんになら1つ2300Gでどうだい?」
23万円……本革のコートと比べると、高いが黒牛鳥とかいうファンタジー素材だ。許容範囲だろう。
「えーと……この子たちの分も買うからもうちょっと勉強してくれませんか?……3つで5000で!」
「むむぅ……それは厳しい6300でどうだ?」
「じゃあ、5200なら即買います!!この子たちのこの目を見てよ!!このマント大切に使うから……」
「おじさん……お願いします。」
「お願ーい♪おまけしてー。」
ナイスアシストだ!!こういう連携はいいんだよな。
「うーん……それでもなぁ……ええい!!5500だ!これ以上は無理だからなっ!!」
「買った!!」
まぁ、落としどころかな。もうちょっと粘れば安くなったかもしれないが、今後もこの店は使いたいからな。
「アイリ、さっきの換金したお金出して。あと大銅貨5枚出すから。」
「はい。ユウマさん。店主さん。これで5450Gあります。確認してください。」
「……確かに5500Gだ。黒髪の兄ちゃんには参ったな。それに、こんな可愛い子に頼まれたら断れないからな。」
ドワーフの店主は頭をポリポリ掻きながら代金を受け取っている。
「いやー、いい買い物をさせてもらったぞー。今後ともひいきにするからなー。よは満足じゃー。」
サフィーナ!言動がオッサン臭いぞ!!それに言葉のチョイス!!
「本当に良い買い物でした。俺はユウマっていいます。この辺りをぶらつきましたが、この店が一番質がいいですからね。本当にまた使わせてもらいますよ。」
「おっ、やっぱり兄ちゃん解ってるな!ユウマってのか。他の嬢ちゃんの名前も教えてくれよ。名前を刺繍してやるからな。」
「私、アイリといいます。」
「サフィーナだよー。」
「ユウマ、アイリ、サフィーナだな。よーし、30分ほどで出来上がるから、それくらいしたらまた来い。ほれ、これが受取証だ。」
俺たちは受取証をもらうと、雑貨やアクセサリーを扱う露店を冷やかして回った。もちろん、あとで2人にプレゼントする下見なんだけど……
そんなときに、人々が行きかう喧騒のなか、一際大きな声があたりに響きわたる。
「おい!!そこのガキっ!!今、メイガン様の靴を踏んだだろ!!」
あからさまにガラの悪い連中に、サフィーナが絡まれていた。
最後まで読んでくださってありがとうございます。




