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 上原隼人の胸の内

上原君の一人称です!

―――昨日の放課後、詩音に呼び出された。これから話すのは、その時のことだ。

「詩音」というのは俺の幼馴染。家も近く、同じ陸上部なので、たまに下校中に合流して一緒に帰ることもある。ただし、最初に言っておくが、俺は詩音に対し恋愛感情のレの字も抱いたことがない。あいつを恋愛対象として見るということは、あいつに支配されたも同然、そう思っている。




詩音が俺のクラスにやってきて、「話あるから放課後待ってて!」と一方的に約束されたことについて、

どうせ部活の連絡か何かだろう、今日は部活、ないけど…などと考えていると、なんと詩音は「誰もいないところで話したいから」などと言って俺を体育館裏まで連行していった。

一体何の話だろうか。何かやましいことでもやらかしたのか…。

不審に思ったものの、長い付き合いの中で「詩音に逆らうと後で怖い」ということをしっかり学んでいたので、黙ってついていった。


にしても体育館裏かあ。そういえば、ここで去年、告白されたっけ。体育館裏って告白スポットだもんなー。

で、その体育館裏に到着し、周りに誰もいないことを確認した詩音は、まっすぐに俺を見つめて言った。



「ずーっと、あなたのこと好きでした。付き合ってください!」


「はい?」


反射的に俺は聞き返していた。何だこいつ。頭大丈夫かなあ。


「――――ってな感じで、告られなかった?最近」

詩音はあっけらかんとして聞いてきた。

え?そういえば、告白…


「された…」


茫然として答えると、詩音がにやりとした。

直接言われたわけではないものの、たしかに、そんな感じの文面のラブレター(らしきもの)をもらった…。

詩音のやつ、なんで知ってるんだ?!


「やーっぱりっ!それでそれで、お相手は~~~~~っ 斑鳩すみれ、でしょ~っ!」

「えぇぇぇぇぇぇぇ!」

「やったー、当たった?!」


本当に、こいつは何なんだ?!ストーカーか!じゃなければもしかして超能力者とか?『幼馴染は実は超能力者』か。定番だけど、この設定けっこう好みかな。


「で、テレパシーとか使えるわけ?」

俺が尋ねると、

「はっ?何言ってるの?頭大丈夫?というか、私を何だと思ってんの?!私、テレパスなんかじゃないから!そんなヘンな力持ってたらもっとつつましく生きてるし!」

あ、今、全国に推定3162人いるテレパスさんを全員敵に回した。


「――話をもとに戻すけど……やっぱ、すみれから告られたんだね~。まぁよく観察していれば、すみれが隼人のこと好きだってことくらい、すぐわかっちゃうからねー、予想するのも簡単って感じ」

そうなのか…

「で、返事はもうしたの?」

「いいや、まだ…」

そう。返事はまだしていないのだ。斑鳩には悪いとは思っているのだが、どうやって、どんな言葉で伝えればいいのか分からない…。

今まで告白してきた女子には、すっぱりとこう言ってきた。

「俺、君のことよく知らないから」

でも、斑鳩は…


斑鳩は、小学5年生のころから同じクラスだ。彼女も俺と同じように、ピアノを弾く。元気いっぱいで、よく笑う、明るい人だ。

男女関係なく人間として考えると、俺は斑鳩のことが好きだ。

恋愛的に考えると……そんなの、全然わからない。

だから、困っている。返事が出来ない自分をもどかしいと思うし、斑鳩に悪い…と思う。

かと言って、あいまいな返事を返せば、斑鳩が傷つく気がする。


要するに、俺はどうすればいいのかサッパリ分からない!


「なんだーだめじゃない!すみれ、隼人が返事くれないんできっとそわそわしてるよ?好きか、嫌いか、はっきりしなさいよ!男なんだから!」

と言われましても…。

「あ、好きか嫌いかも分かんないの?」

図星です。

「じゃあ、とりあえずすみれと会話しなさい!」

「って、今まではずっと向こうから話しかけてきたからどうやって話しかければいいか分かんないんだけど…」

「えー?!情けないなー…。じゃあ、授業中を利用してでもいいから、とにかく話すきっかけを作るの!そうしたら、すみれも少しは気が楽になるんじゃない?」

「なるほど!」

さすがは詩音!やっぱり女子のはしくれだ。

「うん、うん。すみれを無駄に傷つけちゃダメだからね!隼人、恋愛に関してはすごく不器用なんだから!じゃ、私これから遊びに行くから~じゃあねー」

詩音は颯爽と体育館裏を出て行った。

よし、じゃあ早速明日斑鳩と話そう!いやー詩音もやっぱり女子だったんだな。

なぜ大事な放課後の時間を削ってまでも、そんなことを俺に言いたかったのかは謎だが、まあそれは女子特有の行動ということでいいだろう。


さぁ、下校だ!

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