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4 強敵は幼馴染。

告白の翌日は、なんにも起こらずに終わった……。



そう、あのままなーんにもないまま、学校が終わってしまった…。


というか、考えてみれば上原君と今日一言もしゃべってないし!うわぁぁやばい…このままじゃ、今まで築き上げてきた関係が危うい…。

そんなの絶対嫌だ!でも、告白のあと話しかけるなんて……。いくら元気はつらつな私でも、無理ですよ~。

というわけで、上原くーん、はやくお返事くださいな~できれば「OK」っていうヤツを~。



やきもきしながら家に帰ると(部活がないのだ、今日は)、私よりも先に帰宅したらしい蘭からメールが来ていた。私はいつものようにベッドに寝転がると、メールを読み始める。

題名は、「緊急事態!ガチで大変!」。蘭はこんな題名のメールをよく送りつけてくる。たいていは超どうでもいい内容だけど。

メールを開いた。すると、目に飛び込んできたのは、「いつもデコメいっぱいキラキラ目がチカチカメールを書く」のがポリシーの蘭らしからぬ、文字だけのシンプルな画面。



情報通のルナちゃんから聞いた話!上原君が今日の放課後、詩音(うたね)に体育館裏に呼び出されてたって!もしかすると……やばいかもよ、すみれ~!!

Ran



終わった~~!私の青春~!



詩音こと、神沢(かみさわ)詩音は、私や蘭、上原君等々…と同じ小学校。そして、上原君とは幼稚園時代から家族ぐるみで仲が良い、いわゆる「幼馴染」というおいしすぎるポジション。

うん、詩音は正直、上原君のことを好きなんだと思う。詩音とは小3・4の時クラスが一緒だったけれど、その時も別のクラスの上原君に休み時間にめちゃめちゃ会いに行ってたし。

上原君の幼馴染は詩音のみ。で、上原君は唯一詩音のことだけを、名前で呼び捨てしている…。


……詩音がいるからあきらめそうになったことはいっぱいある。でも、ずーっと告白できずにいて、やっと、やっときのう想いを伝えられたっていうのに…。

こんなオチはないでしょ。


『主人公すみれが3年間恋した上原君は、幼馴染の詩音ちゃんとお付き合いすることになり、すみれは人生のどん底に突き落とされました。《おしまい》』




うわぁぁぁぁぁぁぁなんというバッドエンド!こんなの嫌だ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


よし決めた!なんとしてでも、返事もらう!もう、弱気でいるのはやめる!このまま上原君が詩音と付き合うことになったら、そしてもし目の前でイチャイチャされたら、不登校になってやる!


強気になった私は、ベッドからすくっと起き上った。反動で腰が痛いのはトシのせいかしら。

よぉーし!まずは蘭に、詩音が体育館裏で本当に告白したのか聞かないと!負けるな私!


部屋でひとりで気合を入れていると(あやしい者ではありませんよ)、ピロリロ~ンと軽やかな着メロ。

またもや蘭からのメールだった。今度は短い。


すみれー大丈夫?撃沈してるの?返信ちょうだい?

Ran


そして今度は「いつもデコメいっぱいキラキラ目がチカチカメールを書く」がポリシーの蘭らしく、一文ごとに5個の割合で、ハートやら星やらキラキラしたモノがいっぱいついている。


ふっふっふ蘭め、私がそういつまでもうじうじしているとでも思っておるのか?私と幼少時代からの付き合いの割には、私のことをよくわかっておらんようだな!出直してくるべし!


調子に乗りまくった私は、勢いですぐ返信。冷静なオトナ女子を装って、こんな文章にしてみた。


え?別に?詩音が上原君のこと気になってるとは前から思ってたし、二人は幼馴染だし。私は私で頑張るから、だいじょーぶ!

それより、本当に詩音が上原君に告白したのか何か情報ある?

すみれ


実際はこんな「余裕だぜ~ヘーイ!」みたいなノリじゃないけどね。強気にはなったけど、詩音に勝てる気しないし…。

とりあえず蘭からの返信を待とう。私がするべきことは、それだけだぁっ!

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