二年一組 出席番号三番 上原隼人
上原君の一人称です。
今朝学校に来て机の中を見てみたら、見知らぬルーズリーフが一枚、入っていた。その時教室には誰もいなかったから、その場で取り出してみると、それは手紙らしく、以下のような内容だった。
上原君へ
ずーっとあなたのこと、好きでした。
お返事ください。
二年一組 斑鳩
なんだ、これ…?
あ、もしかしてラブレターってやつ?それなら、以前にも渡されたことがある。でもそのときの差出人の女子は、どピンクでハートが飛び交っている模様の便せんを使っていたから、これはラブレターではない、と思う。ラブレターっていうのは、もっとド派手なものだろうから。俺はそういうの嫌いだけど。
でもそれじゃあ、「ずーっとあなたのこと、好きでした」っていうのは何?
うーん…やっぱりラブレターか、これは…。
困った。「二年一組 斑鳩」というのは、小5のころからクラスが同じ、斑鳩すみれのことだ。つまり、斑鳩が俺にラブレターを渡した、ということになる…のか?
「斑鳩」と「ラブレター」が、どうしても結びつかない。斑鳩は元気はつらつで、こんなことをするような性格じゃない…と思う。あのさっぱりした性格なら、わざわざ手紙なんて書くか?
いろいろと頭を悩ませていると、廊下からぱたぱたという足音と、数人の女子の話し声が聞こえてきた。はっとして時計を見ると、朝のHRがはじまる20分前…。俺の貴重な読書時間がぁぁぁぁっ!
20分でもいい。読書は大切だ。
俺はそのルーズリーフを机にしまい、借りていた本を持って図書室に直行した。
同時に、同じクラスの飯坂蘭と数人の女子が教室に入ってきた。そう言えば飯坂は斑鳩と仲がいい。あれ、というか飯坂は俺の友達の筑波嶺雪耀の彼女だ。
そんなことはまぁどうでもいい。今は読書だ、読書!