8 親友、お手柄!
突然ですが、今日の日付は7月1日。期末テストが終わり、点数と学年順位を見て地獄の底へ落とされて…でもそんな苦痛も過ぎ去り、そう、夏休みまでのカウントダウンが今はじまる!
その前に告白のお返事を頂きたいのですが。
蘭は詩音にそれとなく質問してくれたらしいけど、結果を教えてくれない。それにいつものように「きゃは★」みたいなキャラじゃない。どうしたんだろう…。何かよくないことでもあったのかなぁ…。
「蘭ー」
「…」
ほらまたボーっとしてるし…。そんなにボーっとしてたら筑波嶺君が心配して駆け付けてくるよ。
「蘭ってばぁ!」
「…へ、あ!す、すすすすみれぇ!」
…おかしい、あきらかに挙動不審だよ。絶対何か隠してる!
「隠し事はやめようね~」
「はっ!へ!な、なな、なんのことぉ?」
ふふ、蘭のやつめ。蘭がもっとも苦手とするもの、それはポーカーフェイス!表情でもうバレバレなんだから白状しなさーい!
「なにを隠しているのかなぁらーんちゃぁぁぁん?」
「な、ななな何もか、かか隠してまっせぇぇぇん」
ひきつった笑顔の蘭。不気味な笑顔で身を乗り出して蘭に迫る私。他人から見れば、どう考えても私が脅迫でもしてるって思う光景だね。私の変人度がぐぐーんとUPする前に、白状せい!蘭!
脅しでは何も言ってくれないので、路線変更。私はしょんぼりうつむくと、ボソボソ呟く。
「……こんなに言っても教えてくれないんだね?」
「す、すみれ…?」
「私たち、親友なのに?」
「うぐっ…」
「私、蘭だけは裏切らないって信じてた。なのに……」
「すっ…すみれぇぇ!」
よしよしよし!蘭はこういうのに弱い。現になんか涙目になってるし。
「すみれぇぇっごめんねぇぇぇぇっそうだよね、すみれ、すみれに頼まれてやったことだもんねぇぇ」
今にも泣きださんばかりの蘭。なんか、無駄に泣かせようとした罪悪感が半端ない…。
「うん、うん…ありがとう…。で、結果はどうだったの?」
すると、ついさきほどまではうるうる涙目乙女だった蘭が、またおどおどし始めた。
「あ?!け、結果ね結果…それがさーあはは」
「……何があった?」
「えーとえーと」
蘭がもたもたしていると、授業はじまりのチャイムが鳴っちゃった!休み時間中に聞き出そうと思ったのに、さっきの脅迫やら泣き落としやらの努力が水の泡…。
「―――では、好きな友達同士で英語で質問しあってください」
英語の授業。私英語好き!何故かというと、ペアワークとか質問をしあうとか、板書する内容が少ないから!文法とかぜんっぜんしらないけど!
私はいつものように、最初に蘭の席に質問しに行く。
「蘭ー。やろー」
「あ!!す、すみれ」
蘭はガバっと顔を上げると、私に可愛いメモを手渡した。
ピンクの水性ペンで、「すみれへ♡」って書いてある。何?手紙?
「あ、あのね…その、さっき伝えられなかった、詩音に聞いた結果…。読んでね!」
「あ、うん。ありがとう…」
「それじゃあ!」
蘭は超ハイスピードでほかの友達のところに行っちゃった。
あ、あれ?蘭ってば、肝心の英語での質問をしてませんよ?優等生の蘭が…。どうしたんだろー…。
それにしても、なんでわざわざ手紙?直接言えばいいことを…。でも手紙ってことは、あの優等生の蘭も授業中手紙書いたりするのね…。なんか安心したよ。
「す、み、れ…」
昼休み。机に突っ伏している私のもとにやってくるのは、蘭。
「…」
私は答えない。
「すみれ…?」
私はがばっと顔をあげた。多分私の顔はきらきらに輝いてると思う。
「詩音が上原君のこと好きじゃなかった、って…。ほんとに?」
「あ!う、うん。ほんと」
「蘭ーーーーーーーーーーーーーー!!!」
思わず蘭に抱きつく。だってだって…。
あぁ我が友よ!
ポーカーフェイスド下手なくせに私のために頑張ってくれて、そのうえこーんな嬉しい結果をだしてくれた!
もー蘭だいすきッ!
「これで私の人生も開けたって感じ!蘭ありがとぉぉぉぉ」
「す、すみれ、おお、落ち着いてっってば…」
「はぅ~…」
嬉しいよぉぉっ!てっきりこれで私の青春が幕を下ろすんだって思ってから。
「うぅぅ~~これでこの先もがんばります」
「あう、うん…そ、そうだねっ!……まだすみれに伝えてないことあるけど…」
「はへ?最後の方なんて言った?」
「あ!!な、なんでもないよ!き、きき気にしないで!」
ん?なんか蘭の顔が(´・∀・`;)って感じなんだけど…なんでだろ?なんかおどおどしてるし…。
「…まだなんか隠してる?」
「え!!!!!!そ、そんなことはごご、ございませんっ」
えっなんかむちゃくちゃ挙動不審なんだけd
「す~みれ~っ」
わたしの思考を強制ストップさせたのは、なんと詩音!いやー噂をすればなんとやらってやつだね。
「はっ!!!!へっちょっ」
あれ?詩音が来たら、蘭の挙動不審度があがってる…。絶対なんか隠してるだろ……。
まあいつもなら私も「詩音」という言葉を聞くだけで、挙動不審になってたけどね。でも詩音、上原君のこと今は好きじゃないんでしょ?あぁぁぁー心に羽根が生えたようだよ。
「詩音ー!何しに来たの?」
「あのねあのね~」
私が詩音のそばに行くと、「ちょっと耳かして?」「ん?」
で、詩音が私にささやく。
「隼人のこと好きなんでしょ?応援するよっ♪」