二年一組 出席番号一番 飯坂蘭
蘭の一人称です!
こんにちは、読者の皆様!イカすみの親友、飯坂蘭です!
自己紹介はこれくらいにして、と…。
只今帰りのHRが終わり、詩音を待っているところ。そう、放課後に呼び出して、詩音が上原君をどう思っているかそれとなく聞くってわけ。
んー、正直、そんな難しいことじゃないと思う。だって聞けばいいだけでしょ?「ねー上原君と詩音って幼馴染じゃん?なんかそーゆーのうらやましいんだけどさ、詩音は上原君のことどう思ってるー?」って。
自慢じゃないけど、ポーカーフェイスは結構得意!私トランプゲームの「ダウト」で負けたことないもん!いかすみのためだし、ひとはだ脱ぐ!
すると、HRが終わった隣のクラスから、詩音が出てきた。
「詩音!」
「はい?あ、らんらんかぁ」
…一つ言っておくけど、私のことを「らんらん」なんてフザけたニックネームで呼ぶのはこの詩音だけだからね。真似しないように。
「なぁに?」
「今日部活ある?」
「ないよー」
まぁ陸上部がないのは確認済みだけどね。順調順調。
「じゃあさ、いっしょに帰らない?途中まで…」
「ん?べつにいいよー」
「やったぁっ!じゃあ帰ろー」
心の中で思わずガッツポーズ。イカすみぃ、いい感じになってきたからね!
こうして詩音といっしょに下校し始めたんだけど、なかなか本題に入るのが難しい…。もう私と詩音の分かれ道が見えてきちゃったし…。何とかしなくては…っ!
「――でね、…らんらん?」
「あっ、う、うんうん!」
「――――それでー、隼人ってばその日の夕飯作る時ケチャップとマヨネーズ間違えちゃったんだってー!やばくない?きゃはは」
チャーンス!よく聞いてなかったけど、知らない間に話題は上原君の何かについてになってる!
「あ、あのさ!」
「うん?」
「詩音と上原君って幼馴染なんだよねーなんかそういうのってマンガとかドラマとかでは最終的にカレカノ関係になるけど詩音は上原君のことどう思う?」
ふー、言ったよ私!でも一息もつかずに言ったからく、苦しい…。
「え…うーん」
なんか考え込んでる…もしかして私が上原君を狙ってるとでも思った?私には雪耀君がいるけどね。雪耀君を振るなんて今じゃ考えられないけどね。
「んー…。まぁ正直言うと、前は好きだったよ」
前は?
「でも今は……なんか、『親友』ってかんじ?私幼馴染は隼人しかいないから、私のことをよく分かってくれてるしね」
「へーえ…そうなんだー」
な、なんか安心した…。本人がそう言ってるんだから、そうだよね?詩音は上原君のこと、恋愛的に好きじゃないってことだよね?
「それに隼人、最近すみれから告られたしね」
「あ、そうそう…」
…ってえーーーー!知ってるの?なんで知ってるの?!あぁあれか、上原君はそんなことまで詩音に相談してるってこと?!
私が驚愕のあまり、酸欠の金魚みたいに口をパクパクしていると、
「あ、もしかしてそれをききだすために私を誘ったとか?」
すがぁーん!図星です図星!
「あ、え、えっとその」
私はまだ口パクパク状態。ちょっと待ってよー!これじゃ私の特技、ポーカーフェイスも役に立たないじゃない!
「あ、そうなんだ?でも安心していいよ、私は隼人に告白しようとか、そんなことさらさら考えてないから。あぁあと、隼人は『自分でも斑鳩のことが好きかよく分かんないから、ちゃんと考えてから返事する』みたいなこと言ってたよー。その様子じゃ、まだすみれ返事もらってないみたいだけど…」
……イカすみ、もう私どうすればいいのー…。
もうバレちゃったんだから、詩音に協力してもらおうか…。いいよね?イカすみ?
「し、知ってたんだ」
声が震える~!さっきまでの「順調順調!イエィッ!」みたいなノリはどこかに吹っ飛んだ。
「えー、うん。だってすみれ見てればそんなことバレバレだしさー。で、さっきも言ったけど、隼人はすみれのこと嫌いではないから―――。じゃ、またね!」
いつの間にか分かれ道に来ていたから、詩音は言いたいことだけ言って去って行った。ちょっとぉぉぉぉぉ!イカすみにどう説明すればいい?イカすみのことだから、詩音にバレてたこと知ったらどうなることやら……。
親友のための恋愛リサーチって大変なのね…。