1 やっちゃいました。
うわぁぁぁぁぁぁ!!なんだってこんなことしちゃったんだろう?!えぇぇぇぇぇぇ?!馬鹿だ、私、これじゃ正真正銘の馬鹿だぁ!
えっ?何をしたかって?告っちゃったんですよ!好きな子に!
私は一介の女子中学生、斑鳩すみれ。5歳からピアノをちょっとかじっていて、ファッションと料理とSNSが趣味の、何の変哲もない女の子。悩みは、なぜか友達に「イカすみ」とか呼ばれること。何だよ、イカすみって!
そして、さきほども書いたように、告白してしまったのだよ…。
気になるお相手は、上原 隼人君。誕生日は3月24日。血液型はO型。
一言で言うと、頭もよくスポーツもでき、優しくて素敵な子。あとピアノも上手。本当何でもできるんだ…。
彼はいわゆる癒し系?なんだけど、陸上部のエースでスポーツ万能。成績はまあ言うならば上の上の上の中ってところかなぁ。テストの順位は毎回一ケタだし。万年三ケタの私が言うことじゃないけど。
小柄で、なんだかぽわんとしたイメージ。でも、「男の娘」という感じではないんだけど…。そこにいるだけで場の空気があったかくなるというか、ちょうどいい程度に天然系というか。でもやる時はめちゃくちゃしっかりやる、「もうこの人何なの?!」と言いたくなるほどいい人。
私が上原君に出会ったのは、かれこれ3年前、小学五年生の春。
クラス替えで初めて同じクラスになり、「いかるが」と「うえはら」なので名前順で席が隣だったりして何かと話すようになり、優しい人だなー、素敵だな―とか思ってたらいつのまにか好きな人になっていた。
それから中学校に入学して、一緒のクラスになれるか不安で不安で仕方なかったけど同じクラスになれた。うえーい私ってなんて運がいいのー?!という喜びもつかの間、上原君はいつのまにか「秘かなるモテ人」と化していた。私がうかうかしている間に、何人かやり手のほかの学校の子たちが告白したらしかったけれど、彼が誰かとつきあったという噂は聞いたこともない。女の子に興味がないのかも。
特にこれといった進展もなく、今年四月に中二になり、なんと今度も同じクラスに!この時は本当に奇跡だと思ったなぁ。
今までの私の恋愛ダイジェストはこんな感じ?
まぁそんなこんなで超ゆるゆると上原君にアタック(?)してきたわけですが、ついに告白してしまいました…というか、いわゆる、ら、らぶれたぁ的な手紙を彼の学校の机の中につっこんできました。(「ラブレター」という単語を発するだけでどぎまぎしてしまうんですけど…)さすが上原君、机の中は超きれいだったよ。私とは大違い。
あああ、本当にどうしよう?
どうしようどうしようって騒いでるのは、上原君が迷惑しないかってことと、今までゆるゆると築いてきた上原君との交友関係ががらがら崩れないかが心配だから。
さっきも言ったように、彼は何度か告白されているらしい。でもそれはまだほぼ初対面の子からだって聞いた。私のように付き合いがやや長い人からそんなことされて、上原君が迷惑するのが一番嫌だ。
え?じゃあ、なぜ告白したのかって?
好きだからに決まってるじゃん!