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第二話 異世界(12)

理穂「凄い…神の力…絶大だ!」


ミリアム『そんな事より、美紀さんを…』


意識を失った私は、この通路の一角にある小さな小部屋に運ばれた。


そして、傷の手当てを受け、深い眠りに落ちていた。


瑞穂「美紀さんの力…彼女が気付いて無いだけで本当に大きな力だった。」


私が寝ている横で優希と瑞穂がこんな話をしていた。


それは、私と優希の再会の時の事。


けして、順調な再会ではなかった。


むしろ、記憶を無くしている私が優希を恨む展開だった。それなのに…


優希「優希が悪いんだよ。…あの時、美紀ちゃんの前に優希が現れなかったら…」


瑞穂「違うよ。優希ちゃんは、何も悪くないよ。精一杯やったんだもの。」


優希「美紀ちゃん…わあーーーっ…」


理穂「美紀の記憶は、必ず戻る。だから、優希、今は、美紀の側にいてやってくれ。」


私が眠りから目が覚めたのは、数時間後…


それなのに誰一人私の側を離れる者はいなかった。


それは、私のため…


優希「美紀ちゃん、目が覚めたんだね。優希は…優希は…」


目を潤ませて私の手を握る優希。


美紀「大丈夫だよ。優希ちゃんが私の側にいてくれたんだね。」


理穂「美紀…優希は、ひと時も美紀の側から離れようとはしなかった。一番心配したのは優希だと思う。」


美紀「そう…ありがとうね。優希ちゃん…」


優希は、美紀の肩を抱いて起こすと持ってきた水をコップに入れて手渡す。


私は、あの後の記憶がない。


天聖の力を出した事も…


何一つ思い出せない。


でも、その事に触れようとしない優希たちの気持ちが嬉しかった。


瑞穂「ここに長居は出来ないの…美紀さん立てる?」


美紀「うん、大丈夫!」


徹「隊列を変更しよう。先頭は、僕と優希ちゃん…」


そう、徹が言いかけた時、私の思いが大きく膨らんだ。


いつも、前に立ちたい…


わがままかもしれないけど、前に立ってみんなを守りたい…


そんな気持ちが前面へと押し出された。


美紀「ううん…私と徹が先頭…今までと同じでいい!」


三咲「美紀さん、無理してない?」


美紀「大丈夫!私…前に立ってみんなを守りたいの。お願い!」


徹「うん、そう言うと思ってた。僕の彼女だからね、美紀は!」


美紀「うん、私の彼氏は、徹だよ。」


後ろで三咲と理恵がこそこそ話をしている。


三咲「こんな状況で…」


理恵「彼氏、彼女なんて…」


理穂「それが美紀だよ。二人でひとつなんだよ。あいつ等は!」


徹「じゃあ、出発します。」


ミリアム『もうすぐお城の中に入れます。頑張りましょう。』


暫く歩くと通路が無くなる。


徹「行き止まり?」


美紀「ここまで来て…嘘でしょ…」


ミリアム『ここで、確かに合ってます。でも…このがれきの山は…』


優希「よいしょ…よいしょ。」


あんなに力仕事を嫌がっていた優希が、がれきの山を一個づつ崩している。


瑞穂「優希ちゃん…私もやるよ!」


二人が三人になって全員でがれきの山を崩し始める。


いつまで続くのかわからない。


それでも一個づつ取り除いていく。


次第に疲れの色が濃くなってくる。


食料も底を尽き始めている。


焦りと疲労が徐々に出始めて来た。


理穂「もう、みんな限界だよ。引き返す方に切り替えた方がいいかもしれない。」


美紀「そうね。その方がいいかも…」


徹「急がば回れって言葉もあるからね。」


ミリアム『もう少しだけ頑張りましょう。後、少しですから…』


美紀「でも、もうこれ以上は、無理よ。」


殆ど諦め掛けた時だった。


徹「後ろから何か来る!」


緊張感が全員に走る。


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