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第二話 異世界(11)

ミリアムと徹は、一緒になって噛みこんでいる紐を外した。


もう、後戻り出来ない徹は、先にその場所を通り過ぎて行った。


反対側に辿り着いた徹は、三咲と息を合わせ紐を引っ張る。


その後、細い紐から太い紐へと順番に変わっていく。


手前の紐と反対側の紐を括り付けると今度は、私達が反対の方へ向かう番だった。


一人づつ足元を確認しながら慎重に進んだ。


優希、三咲、理恵、瑞穂…四人が渡り切った。


そして、理穂が渡る頃には、外の光が夕闇に消えつつあるところだった。


暗闇は、私が渡るとき、訪れた。


足元が全く見えない。


そんな過酷な状況の中で私は、反対側にいるみんなの所へ行かなければならない。


でも、そんな事は出来ない。


目が見えていても危険な場所だ。


諦めるしかなかった。


私は、ミリアムに心の言葉でその事を訴えかけた。


ミリアムは、私の所へもう一度舞い戻ってきた。


ミリアム『美紀さん大丈夫です。私達は、暗闇でも物を見る事が出来ます。』


美紀「どうするつもり?」


ミリアム『美紀さんなら出来ると思います。私の目を使ってください。』


美紀「ミリアムの目を使うって…?」


ミリアム『美紀さんからは、強い力を感じます。他の人達に無い大きな力です。』


美紀「そんなの…私には、無いよ…」


ミリアム「だったら…私の事は、信じる事…出来ますか?」


美紀「うん…それは…」


ミリアム『目を閉じてください。…見えますか?』


美紀「あっ…うん…見える…これなら、行ける!」


ミリアム『そう…ゆっくりでいいんです。慌てなくていいんです。』


足をを一歩づつ前に出し、紐を掴みながら前へと進む。


瑞穂「どうして…ここが美紀さんには、見えるの?…こんな暗闇なのに…」


徹「美紀には、神の力が眠っている。僕達みたいに神の力をリクアに封印されていないんだ。だから、ミリアムと共に助け合いながら前に進む事が出来るんだと思う。」


優希「凄いよ!やっぱり、美紀ちゃんは違う!」


暗闇の中で小石がコロコロと転がる音だけが聞こえる。


そして、渡り切る寸前の事だった。


美紀「みんな!逃げて!」


魔物の気配を強く感じ取った私は、声を大にして叫んだ。


そして、私は、紐を持ちながら魔物と応戦する。


ミリアム『美紀さん!逃げて!やられちゃう!』


美紀「出来ない!逃げる事なんて出来ないよ。ミリアムを残して何て行けないよ!」


木のスティックを振り回して応戦する。


しかし、あまりにも敵の数が多い。


傷つきながらも、そして、遠退く意識の中でも戦い続ける。


一方、そんな姿を見た仲間達も逃げ出す事はせずに共に戦っていた。


勝ち目のない戦い。


そんな事は、わかっている。


でも、仲間を見捨てる事なんて出来ない。


へとへとになっても、更に押し寄せる魔物と戦っている。


すると、不思議な事が起こった。


どうしてなんだろう。


神の力が蘇ったのかもしれない。


完全に意識を失った筈の私が宙に浮いている。


『天聖のロッドよ!我が手に舞い降りよ!』


空間がねじ曲がる。


そして、私は、天聖のロッドを掴む。


強くロッドを一振りする。


天聖のロッドの先から放たれる光と共に魔物たちは、次々と消え去っていく。


その強大な力に恐れを成した魔物たちは、次々と逃げ去って行った。


私は、その事を本当に覚えていない。


無意識のうちにそんな行動を取ったのだと思う。


魔物たちを追い払った後、私は、意識を失ってしまったのだ。


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