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第二話 異世界(7)

飛び出して行く優希。


その後を三咲と理恵が追掛ける。


険悪な嫌な雰囲気に包まれる。


徹「みんな、神の力を無くしてなかなか前に進めないから、いらいらしているんだと思う。早く力を手に入れないと…」


美紀「焦っちゃダメだよ。でも、私は、それでも前に進まなきゃいけないと思う。この国でも私達の町がかつてそうであった様に同じ運命を辿っている…だからこそ、しっかりしなきゃいけないと思う。」


徹「美紀…うん、美紀の言う通りかもしれない。でも、少し休息を取ろうよ。じゃないと、みんな潰れてしまうよ。」


ミリアム『私があなた方を混乱させてしまったのかもしれない。ごめんなさい。』


徹「これは、時が解決してくれると思う。少し時間をくれないか…」


ミリアム『時が来たら呼んで下さい。』


そして、ミリアムは、立ち去ろうとする。


美紀「待って、ミリアムさん。」


立ち去ろうとするミリアムを捕まえる。


心の中で私は、徹と同じ様にミリアムに問いかける。


美紀『ミリアムさん、私にお仕事をさせてくれない…』


ミリアム『徹さん以外で初めて言葉が通じました。お仕事は、あります。どうぞこちらに来て下さい。』


美紀「私は、働くわ。少しでも早くみんなを助けてあげたいから…」


徹「あっ…美紀がいいなら…」


その声に賛同したかのように瑞穂も理穂もミリアムに付いて行く。


徹「僕は、三咲さんと理穂さん、それから優希ちゃんを待ってる。」


美紀「先に行ってるよ。みんなを連れて来てね。徹!」


ミリアム『徹さんなら少し離れていても私の声が届くと思います。戻ってきたら声を掛けて下さい。』


徹「わかった。」


私達は、徹と別れて、三人でミリアムに付いて行く。


そして、一つの扉の前に辿り着く。


ミリアム『美紀さん、この扉を入った途端にお仕事は、始まります。お仕事は、私達と同じ仲間の面倒を見てくれればいいんです。簡単なお仕事です。』


美紀『面倒を見るって言っても…言葉が通じないよ。』


ミリアム『大丈夫です。美紀さん達なら出来ます。』


ミリアムが立ち去ろうとする。


私は、少し、焦ってしまった。


知らない土地に来て、言葉も通じない。


そんな中で一つの部屋の中でミリアムと同じ仲間の面倒を見る。


不安が過る。


それでも、私は、思い切ってドアを開けた。


そこは、広い空間にミリアムよりも、もっと小さな小動物がうごめいていた。


でも、その形は、ミリアムを小さくしただけの恰好だ。


瑞穂「子供たちだよ。ミリアムの世界の…」


美紀「声が聞こえる…うん、いいよ。」


その声は、美紀だけでなく、瑞穂や理穂にも聞こえている。


心の中に直接話しかけてくる声が聞こえる。


子供たちは、みんな寂しそうだった。


それは、たぶんこの部屋にずっと長い間閉じ込められている。


自由を奪われた環境の中で育ってきたのかもしれない。


外の世界は、リクアの世界に変わってしまっている。


だから、この場所の一番安全な場所に隔離されているのだと思う。


でも、そんな子供たちは、私達にとって慰めにもなると思う。


子供たちは、私に愛情を求めてきている。


頭に響くのは、『遊んで、遊んで…』そんな声ばかりだった。


私は、纏わりつく子供たちを精一杯、愛情を込めて可愛がった。


子供たちが喜べば、それは、私達への安らぎに変わってくる。


ふと、理穂や瑞穂の方を向くと彼女たちも私と同じ様に子供たちを可愛がっている。


女の子だから…と言うよりも、母性本能がそうさせているのかもしれない。


ミリアムが私達のストレスを気遣いここに連れ来てくれたのだろう。


安らぎは、心の中にあるストレスを癒してくれている。






その頃、優希は…


三咲と理恵が優希に追いついた。


優希「わーーっ!」


しゃがみこんで、大泣きしている。


三咲「泣いていいよ。優希ちゃんが泣いて気が済むなら泣きなよ。」


理恵「私が側にいてあげる。」


慰める言葉よりも、張り裂ける優希の小さな心を泣く事で癒されるならその方がいい。


自分よりもファンや周りの人達を気遣う、そんな優しい優希だからこそ、ここまで一緒にやってこれたのだと思う。


…泣き疲れた優希は、いつの間にか眠ってしまった。


そんな優希を理恵と三咲が交代で背負い、徹の元に向かった。


その頃、徹は、美紀の気配を感じていた。


徹「何だろう…この感じ…安らぎに道溢れている。」


そこへ、優希を背負った三咲が戻ってきた。


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