その6
自身の罪は業か誉かそれは神のみぞ知る。
~ユグド大陸記~
悪魔の章序文より抜粋。
シトラス達といったん街に戻り、用事をお互い終わらせたあと…ガイアから話があるから、と言われいつもの喫茶店に来ていた、金はもちろんライムに黙って貯めているヘソクリだったりするんだけど…。
「遅いな…ガイア」
チリンチリンと鈴が鳴る、来た?。
「マスターいつもの、砂糖多めで」
「あいよ」
違った…。
あれから何時間過ぎたのだろうか…店内のジャズのせいかな…眠くなってきた。
チリンチリンとまた音がした。
「待たせたね」
やっときた。
「ん…」
「何か頼んだのかね ?」
「いや…」
ヤバいまだ眠い。
「そうか…マスター!バナナジュースとフレンチトースト…君は?」
「ホットケーキとアイスミルクティーで」
「あいよ」
氷水の入ったグラスが運ばれてきて、一口含む…そして一息ついたところで話が始まった。
「遅くなってすまなかった」
「いや、いいよ…それで話って?」
ガイアがポケットからと黒と白が混ざり合っている小石を机の上に置いた。
「アクア、これ…なんだと思う?」
それは魔力と聖力を感じる…まさか。
「聖魔石…かな?」
「やはり、君もそう思う…か」
どうする?ライムやシトラスには…言えないこれは、今の俺やライムには危なすぎる、トラウマの種だ。
「どうする?一応オレは錬金術も修めているから、触媒にアレをやろうと思うんだが…」
確かに錬金術師からすれば最高の触媒であろう、聖魔石…。
「お待ち」
おっと注文していたのが届いてしまった、話はいったん中断かな。
「…」
「何を考え込んでいるんだ?アクア」
「なんで今更…って思ってさ」
そう今更なんだ…俺にすれば昔の話で存在すら忘れていた…聖魔石、光である聖力と闇である魔力、それを反発させずに存在させている石、過去の因縁を俺に刻み込ませた、忌々しい石…。
「そうか…君も、なんだな」
ナイフを走らせフォークで掴み口に運ぶ。
「まぁ…なんだ因縁は人それぞれ、気にしたなら謝るよ、すまん」
「…」
「なぁガイ」
「ん?」
俺は一呼吸おいて、ガイアに話をふった。
「これ、本当にアレに使う気…なのか?」
「あぁ、そのつもりだ」
「そっか…仕方ないな」
「あぁ」
こうして終始無言のまま、食べ終わりそして会計をすまし、ガイアに聖魔石の後始末を任せ、俺は家に帰ることにした。
「ライムに相談しないとな…」
これから忙しくなるのは目に見えているし…さ。
美徳を持つは自身からか他信からか。
~ユグド大陸記~
天使の章序文より抜粋。