第零話 始まりのお話
俺は何をしているんだろう?
「勇者だろ」
俺は何故、勇者をやっているんだろう?
「運命としか言えないな」
では、これも運命か……魔王?
「そうなんだろうな、少なくとも私はこの運命を恨んではいない」
それは悲しいな、俺は恨んでいる。
「では私からの質問だ、何故恨んでいる?」
何かをしようとすれば、何かを犠牲にしなければならない事だ。
「犠牲とは私か?」
今回はそうなるな。
「そうか……何故私を犠牲にする?」
俺の守りたいものを守るため。
「人間達の事か?」
そうとも言えるし、違うとも言える。
「なぞなぞか?よく分からんな」
答えが必要か?何にせよ俺達が戦う事に変わりは無いだろ。
「それもそうだな、では始めるとするか」
おっとその前に、最後の質問だ。
「最後なのか?」
また会えなければな。
「会えないか……それは嫌だな」
俺もな、そろそろ本題に入るぞ。
「いいぞ」
もし、平和が来たら何をする?
「う〜ん……山奥に家でも建てて隠居するかな」
それはいいな、それならそれが出来る様に終わらせるとするか。
「ああ、終わらせよう」
♢ ♢ ♢
その後勇者は消息を断ち、魔王も同じように姿を消した。
ある者は二人とも死んだと言い。
また、ある者は二人とも深い傷を負い長い休息をとっていると言う。
真相は誰にも分からない……はずだったのだが、運命は二人を逃がしはしないようだ。