暗黒世界へようこそ
視界が光に飲まれた、、
たどり着いた先はこことはあきらかに違う世界。
武田はふと上を向く。
こういう展開って、よくラノベやゲームにあったよな。
内心ドキドキしていた。まさか自分に起こるとは。意外と退屈だった日常から非日常へ。
きっと自分はその世界では特別な力を持っていて、きれいなお姫様や魔法使いに惚れられて、悪の大臣や竜や魔王を倒して英雄となる。
自分は多分、この物語の主人公になったのだ。
夏の新作アニメ映画が見れないのが多少残念ではあったが、、、
そんな期待と希望に満ちた眼差しで前方を見つめた。
、、、暗い。
、、何か違う。
水素で構成されてるとは思えない雲から赤い雷が堕ちている。
周りから生物の気配は感じられず、異様な静けさで満ちていた。
もう一度いう
何か違う。
こう、例えるならファンタジー世界ではなく未知の惑星に不時着したような感じ。
いや、タイムマシーンで末期の地球にきたような感じだろうか。
突然空を覆う雲が形を変え、人の顔のようなものに変化したと思えば、彼方から笑い声のようなものが聞こえてきた。
、、、帰りたい。
今すぐ帰り、心温まる新作アニメを見に行きたい。
ここは、暗黒世界だった。