B1 フレアバースト・ドラグーン
今度の連載はカードゲーム!頑張っていきますんで、読んでください。
世紀末、初めてのOCGである遊☆戯☆王デュエルモンスターズが誕生した。そして次々と新たなカードゲームが誕生していった。まさに、カードゲーム時代と言っていい。そして今、新たなカードゲームが世界を繋ぐキーアイテムとなった。
「うおおっ、ようやくゲットだぜ!フレアバースト・ドラグーン、7枚しかない『ドラグーン』!」
カードを見て、喜び小躍りしているこの少年は火道炎人10歳。カードゲーム『RIGHTFIGHTING』のプレイヤー、火のモンスターを主軸に闘う真紅の髪と目を持った一人の戦士である。今や世界は、政治的問題に国際問題、環境問題すらカードゲームで解決する時代に突入しているのだ。
「炎人、ちょっと遊びましょうよ」
炎人の部屋に入ってきたこの少女というか女性は、炎人の姉、火道天果19歳。炎人とは年が離れており、稀に親子と思われてしまう。
「姉ちゃん、ライファイすんの?オレって自慢じゃないけど強いぞ、大丈夫か?」
「お姉ちゃんをナメると、後で泣く事になるわよ~」
ライファイとは、このカードゲームの略語である。カードゲームは大半、略語で呼ばれる事が多いものだ。炎人はデッキをポケットから取り出し、机の上に置いた。
「始めるぜ!オレのターン、ドローパート。センターパート、ドンベエとラブレッドナイトを召喚!」
「あ、ゲージは20ね。解った?」
ゲージとは、遊戯王のLPやバトスピのライフと同じもので0になると負けである。
「お姉ちゃんのターンだね、ドローパート。センターパート、バッカラスをランク1で召喚」
ランクとはモンスターのデータの一部で、ランクは0から2まである。ランクが高いと、強力なパワーと効果を得られる。ランクを上げるには、自分の持つ『ストック』をそのモンスターカードに使わなければならない。これにより、天果のストックは残り2つだ。
「バトルパート!バッカラスで、ドンベエを攻撃するわ。パワー3000対2000、ドンベエを撃破できる!」
「姉ちゃん、『火力』を忘れてない?ドンベエは自分のフィールド上の火種族のモンスター1体をコストにする事で、『火力』を使えるのさ!よってパワーは、4000に跳ね上がるぜ!」
『火力』は火種族モンスターが持つ力で、バトル時に自分のパワーを上げる事ができる。これで天果のバッカラスは撃破された。
「やってくれる、ソイツはBGが2だから残りは18か・・・。ターンエンド!」
BGとは『ビートゲージ』の略で、モンスターが戦闘で勝利したり相手に直接攻撃した時に与えるダメージ数である。ドンベエはBGが2なので、天果のゲージを2減らした事になる。そしてその数だけ、天果のストックが増えて強力なカードに繋がる事にもなる。このゲームは結構、奥深いのだ。
「オレのターン、ドローパート!ストックパートにリピートパート、センターパート」
炎人は少し止まり、考える。相手のスキル(遊戯王で言う、魔法や罠のカード)による反撃、まして相手はもうすぐ二十歳の女。何もせずただただゲージを減らすハズはない。
「ドンベエをランク2に。パワーは4000、そしてさっきみたいにコストを払って火力を使う必要がなくなった。これでとりあえず、終了だ」
「ふ~ん、それじゃ火のデッキが泣いちゃうぞ。お姉ちゃんのターン、スキル『昂る風』を発動!」
『昂る風』は使用ストックが3の風種族のスキルで、相手のBG5以下のモンスター1体を破壊する。炎人のドンベエはスキルの効果で、あっけなく倒された。
「そしてパタッピーを召喚、このカードは風のスキル使用後に召喚した時BGを+3。そして、このまま攻撃するよ!」
「くそっ、4減った・・・」
ここまで、炎人は残り16。対する姉、天果は残り18。僅かに、天果が押している。
第8ターン、ココでゲームが動き出す。天果がキーモンスターを、デッキからドローしたのだ!
「センターパート!パタッピーとバッカラスをコストに、トップランクモンスター『大雲暴君クラウディオス』を召喚!!」
「風種族モンスター最強、クラウディオス。ただ単に、パワーだけのモンスターじゃないな」
大雲暴君クラウディオスは、ランク0の状態でパワー10000。暴君に相応しいパワーである。
「クラウディオス!爆炎の道士ザランを、攻撃!そして、『圧縮』の効果。戦闘で相手モンスターを撃破した時、相手は次のターンにドローができない!」
圧縮は風種族モンスターが持つ力で、相手モンスターを撃破した後相手にドロー不可を強制してしまう。妨害を得意とする、風種族デッキならではの力だ。
「ザランは破壊させない、スキル発動!『導きの篝火』は、相手モンスターの攻撃を直接攻撃として扱うカード。だからソイツの攻撃、オレ自身で受けてやる!」
導きの篝火は火種族のスキルで、相手モンスターの攻撃を直接受けるという効果を持つ。しかし、使用ストックは4。炎人の残りストックは3で、発動ができない。
「爆炎の道士ザランの効果!火種族のスキルを、ノーストックで使える。よって、導きの篝火を発動できる!さあ来い、クラウディオス!」
何とかモンスターの破壊を避けた炎人だが、そのダメージは大きかった。残りのゲージは僅か3、一気に10も減らされたのだ。
「う~ん、モンスターを残されたわ~。ストックも10増えちゃったし、ヤバイかも・・・」
炎人のターン、場には『爆炎の道士ザラン』と『ヒクイドリ』2体に『騎士ジョーネッツ』がいた。一番パワーがあるザランでも、クラウディオスには遠く及ばない。どうする、炎人。
「爆炎の道士ザランをランク2に上げ、これをコストに召喚するぜ!猛る炎光を纏う超龍、神聖なる勝利を創り出せ!『フレアバースト・ドラグーン』!」
爆炎の道士ザランのランク2の効果、火種族モンスター召喚のコストとなった時手札に戻る。モンスターが1体でも生きるようにと、炎人は考えた。
「フレアバーストをランク2に!これでパワー10000、クラウディオスと並んだ!」
フレアバースト・ドラグーンは、さっき炎人が引き当てたドラグーン。炎人は、勝利を確信する。
「さぁいくぞ、フレアバーストで攻撃!!」
「火力でパワー+4000、クラウディオスは撃破される。でも、このスキルさえあれば・・・!」
天果が発動しようとしているスキル『トルネイドシールド』は、自分フィールド上の風種族モンスターの戦闘破壊を回避する。もし発動してしまえば、次の天果のターンにクラウディオスはランクアップされ、パワー18000の止められない化け物となって炎人のゲージを確実に0にする。
「甘いな姉ちゃん!フレアバーストの攻撃時、相手はスキルを発動できない!!そして、スキル『霊山の大火』を発動!相手モンスター1体のBGの半分、フレアバーストのBGに加算する!」
「そんな!お姉ちゃんのゲージは残り12、フレアバーストはBGが12になって負けちゃう~!」
天果は力尽き、机にペタリと張り付いた。
しばらくして、炎人にあるものが届いた。ライファイ地区大会のパンフレットだ。大会はジュニアとシニアに分かれており、毎年300人近くが参加している。
「姉ちゃんは参加するのか?」
「もちろん!お姉ちゃん未成年だから、ジュニアになるの。炎人も参加する?パソコンで簡単登録できるから」
天果はパソコンを使い、自分と炎人を参加登録した。
「でもな~、姉ちゃんにそのカラダで未成年て言われてもな~」
「お黙りっ!」
天果の怒りを点火させた炎人は、一晩中姉のカード拷問に付き合わされる事となった。
今回のカード
フレアバースト・ドラグーン BG7
火種族 ハイランクモンスター(自分フィールド上のモンスターを1体破壊して召喚)
ランク0パワー7000 ランク1パワー8000 ランク2パワー10000
『火力』をどのランクでも使える。戦闘時パワー+4000。
ランク2の効果 このカードの攻撃時、相手はスキルを発動できない。