~明日は明日の風が吹く~
若いころには夢があった
満員電車に揺られながら
いつか自由になれる日を
指折り数えて働いた
四十年も汗を流して
会社のために頭を下げた
ようやく手にした自由の日
届いた年金通知にはため息ひとつ
ああ、人生ってやつは皮肉なものさ
自由になったら金がない
自由になったら金がない
スーパーの棚を歩きながら
卵の値段とにらめっこ
昨日は百円だったキャベツが
今日はどうして二百円なんだ
米は高いし、電気も高い
ガソリンだって空気じゃない
年金は昔のままなのに
物価だけは一人で走る
ああ、誰が決めたんだこの値段
財布の中身は風まかせ
財布の中身は風まかせ
だけど俺たちは負けやしない
安い豆腐で乾杯しよう
半額シールに夢を託して
明日の献立を考えよう
金はなくても知恵はある
シワは増えても夢はある
年金暮らしのブルースを
大きな声で歌ってやろう
病院の待合室に座れば
昔の仲間にまた会える
薬の袋は増えていくけど
昔話なら尽きやしない
孫に小遣いあげたいけれど
財布の中身は相談中
「今度またね」と笑ってみせる
じいちゃんだって見栄がある
ああ、若さは戻ってこないけど
笑い声ならまだ出せる
笑い声ならまだ出せる
年金制度はどうなってる
政治家先生、聞いてるかい
老後の安心、約束したのは
いったいいつの話だった
税金、保険料、介護保険
引かれるものは引かれていく
振り込まれたその日のうちに
右から左へ消えていく
ああ、数字の上では生きている
通帳の中では夢が死ぬ
通帳の中では夢が死ぬ
だけど俺たちは負けやしない
古いギターを引っ張り出そう
昔覚えた歌を歌って
近所迷惑も気にしない
金はなくても時間はある
足腰弱くても意地はある
年金暮らしのブルースを
明るい顔で歌ってやろう
若いころには見えなかった
道端に咲く小さな花
急ぐ理由もなくなったから
空の青さも見えてきた
出世競争はもう終わった
誰かと比べる必要もない
高級車には乗れないけれど
自転車ならまだ走れる
人生なんて長い旅
終着駅はまだ先さ
財布が軽くても胸を張れ
俺たちはまだ生きている
さあ、明日も起きて飯を食おう
安売りチラシを握りしめ
年金暮らしも悪くはないさ
生きてるだけで丸儲け
金はなくても知恵はある
シワは増えても夢はある
国がどう言おうと知ったことか
俺の人生、俺が決める
風よ吹け、もっと吹け
明日は明日の風が吹く
年金暮らしのブルースよ
まだまだ俺たちは終わらない!




