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俺は、ショタコンじゃねぇっ!!!!!!  作者: 陽日
1章-1節:ブリア王国編-始まりの町アインツ
19/25

17話:早朝ルーティン

あの後、材料費だけはなんとか受け取って貰ったりしつつ、俺の日常は過ぎていく。

ログインできなかった時もあるが、できる時は朝から忙しい。


まずは貴縁の鎖をソーリャに預ける。それから本屋に残る2人を残し、ウカと連れ立ってギルドまで行くのだ。すると隅の方に大きなリュックサックを背負ったレメがいるので、父親に挨拶をしつつ彼を受け取る。その後ギルドボードで、依頼をいくつか見繕って出発。

3人で目指す先は門の外── アンファン草原だ。


何回か通えば、草原の美しさにも慣れるもの。ただその爽やかさだけは変わらない。胸いっぱいに空気を吸うと俺たちは目標──ツキサシバニーを探しに、今日も歩き始めた。



というのもあの翌日。神殿の前で出待ちしていたレメの勢いに少し引きつつもソーリャが教えた、【召喚式】の獲得方法にすべての理由が存在する。

召喚石を獲得し、かつ自分で魔物図鑑を完成させられるほどの知識を蓄えること。それで昔のソーリャは【召喚式】を発現したのだと。そのことを噛み砕いて、この子に教えたのだ。


そこからはもう、レメの大立ち回りだった。すぐさまギルドへ駆けて行き、冒険者の登録をする。そうしないと魔物図鑑を、ギルドから支給してもらえないからだろう(俺も飛ばしたチュートリアルで、実はもらっていたりする)。ソーリャのは絶対に必要という意味ではなく、例えだったろうに。


このゲームでいう魔物図鑑とは、最初から中身が書いてあるものではない。冒険者ギルド創設者の、全ての冒険者が己のための図鑑を書き込んで作って欲しい。という意志の元、ほとんど白紙のものが配られる。

そこへ自在に、書きたいことを書き込んでいくのだ。


ちなみにゲームとしてはクソ面倒臭い仕様だからと、軽く炎上していたりする。だからプレイヤーは他人の公開されてるページを検索し、まるコピできるというアプデがされているのだ。創設者が泣くようなモノになっちまってるな。俺としてはページ埋めが、冒険者ランク上げ要素の一つになってたりするのでコピペ万歳。

だがNPCはそんな仕様もないので、本当に全てを1から作ることになる。


で、肝心のレメはというと魔物図鑑を受け取るとすぐにギルドを飛び出そうとし──そこを父親に捕まった。

いくら、年齢制限なく冒険者への登録はできるらしいとはいえね。親としてはこんな幼い子供を1人、旅になんてそうそう出さないだろう。


いったいいきなりどうしたのだと尋ねる父親に、彼は言った。

「【召喚式】を使えるようになるためのとっくんをするんだ。町のすぐ外に行くだけだよ、大丈夫!」と主張する。

「……町中じゃダメなのか?」

「うん、魔物を見たいから!図鑑を作るんだ」

ずいと分厚い本を押し付けられては、ギルド職員として大手を振って止めるのは難しい。だが、と男は言葉を続けた。


「外は危ないんだぞ。魔物だってもちろんそうだ。戦えもしないのに、どうやって──」

すると待ってました!!と言わんばかりに、子供は駆け出した。なぜか、俺の方に。

固まってると、ぐいと腰を掴まれる。


「カルお兄さんが、助けてくれるって!」

んなこと言った覚えはないが!?ギョッとしてレメを見やると、彼は腰元からじーっと見上げてくる。

父親も俺に気付いたようで、あの時の……と軽く目を見開いていた。


「……そうだよねっ!」

くいと、今度はローブの裾を引かれる。これが、無責任な応援の代償かっ……!!未来に関係ないし、なんてあり得ないんだ。何かを発言をした時点で。

父親が俺の戸惑ってた様子に気付いたらしく、「コラ、迷惑かけないっ!」と、彼と俺を引き剥がそうとし始めた。


ぎゅっと、子供の小さな指 手が今度は痛いほどに俺の指を握った。ちょっと待て、危ない。リアルならすでに不審者沙汰になっててもおかしくないし、お父様の目を見るのが俺は怖いぞっ!!

──なんて、焦ってる場合ではなく。


きっと、このままこの子を引き渡せば。当初の想像通り、俺は無責任な他人でいられるだろう。

だけど、

信じてくれた子供を裏切るのか……?

レメは今きっと、俺ならと頼ってきている。


もちろん。子供だからって全ての願いを叶えるのが正しいなんて、そんなことあるわけない。間違ってることは間違ってる、と正すことは教育上とても大切だ。人に迷惑をかけちゃいけない、嘘をついちゃいけない、そんなの当たり前の話である。


だけどこの魔法が好きで、ずっと追いかけ続けていた子供の願いは、そうして閉ざさなければならないのだろうか。

──果たして、この町でこの後。プレイヤーの手助けもなしに、叶える手段は見つけられるのだろうか。


父親が、ぐいと子供を引っ張る。子供の力じゃ、もちろん大人に全く敵わない。嫌だ嫌だ、とどれだけ望んでも。

だからレメは俺から引き剥がされていき、その一回りは小さな指も俺の手から離れそうなって。

「……や、やだ」

「レメ、ほらもう家に帰るぞ!最近、こういうことをやり過ぎ──」

「待て」


俺は、レメの手を捕まえた。


「──約束、している。街のすぐそばの草原に行く程度だが、そこで魔物退治の見学くらいならいいと」




つまりは、そういうことである。

俺は、彼を見捨てられなかったのだ。俺の根の性格を読み切った、レメの作戦勝ちである。くそっ、クール青年を演じたいんだけどなぁっ!!


この後、失礼だがただのGランクの方はとしぶる父親を、教えた責任を感じたのかソーリャだった。ボクEランクだし、あっちの子はCランクなんだよ〜と助け舟を出す(あれ、ウカは完全に巻き込んでしまったな……)。結果、そんなランクのお二人がいるならと、町のすぐ傍までは許可が出た。故にこうして迎えにきて、ツキサシバニーを探しているのである。回想終了。

ちなみにちょいと悔しくて、今俺もランク上げに挑戦中である。だから迎えに行く時に、依頼も確認してたのだ。


ツキサシバニーは、アンファン草原をほんの少し行けばすぐ出くわす。今日だって、あっという間に見つけられた。


するとレメは少し離れた場所で、背負ってた大きなリュックから、あの分厚い本──魔物図鑑を取り出す。俺はその彼の近くで本を取り出し、ウカは俺たちを守るように一歩前に踏み出すと、するり。腰から刀を抜いた。

さあ、やるぞ!!



「──【幻式】」

言葉に呼応して、世界は様相を変える。文字通り魔物の目の前に、光る花をぽんと出現させるのだ。こんなものがいきなり現れ、戸惑い動きが鈍ったところをウカが駆け寄り、刀で袈裟斬りにスパッと切り裂く。そして勢いを殺さず、流れるままに次の魔物の目前へと踊りでて一撃と。

その数一羽、二羽、三羽──うん、順調。

ウカは軽々と魔物を倒していった。


つよい。

最初の頃の俺のような、ぎこちない動きなんてまるでなく。そもそも魔物が、こちらへ攻撃する暇すら与えない。背後なんて勿論見えないだろうに、どこに何がいるのか全て分かっているかのよう。振り向きざまに、迷いのない一刀を浴びせるのだ。

俺じゃあ、逆立ちをしてもできない芸当。良くてカッコ悪く裾を踏んづけて、ダバっと転ぶだけだ。本当、すごい。


絶対、彼はこんな俺の補助とかいらないのだろう。なのに俺がスキルを使う度に、「助かるよ!」と手を空へ掲げ喜んでみせる。血のついた刀が空を泳ぐさまは少し不審だが、性格までも完璧と。

……そんなことをしてても一切、こちら側への魔物のすり抜けもさせないのだから、本当やんなっちゃう。

きみ転職してレベル1からになって、今3って言ってたよね?ありがたく、おんぶに抱っこをされてます。情けなさすぎる大人の図である。


さて、俺の背後ではレメが図鑑を開き、小さなペンで何かをずっと書き込んでいた。ツキサシバニーの観察記録だ。魔物としての姿を、その動き方を、倒し方を、落とすものを彼なりに書き記す。


その出来は、まぁ年相応といったところ。挿絵はなんとなくウサギ型の魔物なんだろうな、とわかる程度。なお、俺が描くよりはよっぽど上手い。

記述に関しても、ドロップアイテムの種類や、飛び跳ねる時の高さ、攻撃時の溜め時間の長さなど──あれ、けっこう有用な内容が書けてるな?

とりあえずそういった内容をとにかく沢山描き、記述している。


そして一通り倒したら、ウカとレメはドロップアイテムの回収。俺はレメのリュックの中に入ってるクッキーでMPの回復だ。諸々が終わったら、また次の一団が湧くのを待ち、また最初に戻る。


これが、最近の俺たちのルーティンだ。

なおこのクッキー。正確にはあのクッキー缶は、彼の祖先の召喚士が所持していたものらしい。その頃からあの家に缶があれば無限に、MP回復クッキーが出てくるのだそう。どんな遺物だ。

てか俺つまり、百年以上前の食べ物を貪り食ってるとかじゃないんだよな??……腹痛になるわけでもなし、これ以上考えるのはやめよう。


ちなみにこの一連の流れのおかげで、俺の【幻式】は1つレベルが上がった。

今回レベルが上がってからは、煌めく花のような幻想的なもの以外でも幻を作れるようになっている。たとえば、このツキサシバニーの幻覚を作れようになったのだ。初めて作った時は、レメが倒れるかってくらい興奮してた。

なお調合ブートキャンプで【調合】のレベル上げも起きてるので、まだ1番レベルの高いスキルの座は奪還できていない。複雑な気持ち。



「──そろそろ街に戻るぞ」

こうして時間は過ぎていき、リュックに詰めたクッキーがなくなったら終了。2人に声をかける。時間もだいたいよい頃合いだ。するとウカは刀の血を振るって鞘へと戻し、レメは手にいっぱいの石ころを抱え歩いてきた。


「今日は召喚石があるといいな」

「うん、カルお兄さんたち本当にありがとう!」

その場でぴょんぴょん跳んで、にっこり満面の笑み。うん、子供は元気がいちばんである。

とはいえ今の1番の問題はソレ、召喚石だ。魔物に対してのたくさんの知識をつけることと合わせ、ソーリャが語ったもう一つの要素の。


名前から受ける印象通り、この石を媒介に召喚ができるらしい。それ以外の方法もあるにはあるらしいが、基礎はそこから!だそう。

で、この召喚石。たまに売ってるそうだが、そうそうお目にかかれるものではないらしい。少なくとも実際、この町ではまだどこの店でも見かけてないし。

となると、入手方法はただ一つ。


魔物から、ドロップするのを願うことだ。

この確率、調べた攻略ページ曰くなんと1/2048。ちょっと気が遠くなる。他のプレイヤーも同様のようで、コメントには色んな足掻きの形跡が見られた。その中にあった同じ魔物を連続して倒してると、なんか気持ちドロップ率が高い気がする。にかなり評価がついていたため、俺たちもこうしてバニーだけを狩っていたり。

どうせデマ?うるさい、みんな縋りたいんだよっ!


しかもドロップしても、一般人には何がなんだか分からないのだという。本当にぱっと見は、ただの小石に見えるんだってさ。だから手当たり次第、今も拾ってるワケだけど……じゃあ、最終的にどうやって判別するのか。


それは【鑑定】では見分けられない。3レベルに上がって溜まったSP使って、取得するとこだったぞ!

なんとさらに上位スキルである【審美眼】というスキルが必要なのだとか。この【審美眼】というスキルは、商人でないと取得できないそうで──つまり、またソーリャ様の出番である。

とりあえず拝んだ。


そして俺が拝むべき人物は、もう1人この場にいる。俺たちの背後から近付いてくる少年へ、軽く手を上げた。

「ウカも、今日もついて来てくれて本当に助かる。ありがとう」

「ううん、そんなこと言わないで。俺はカルさんと一緒にいられて嬉しいんだ」

うーん、聖人。これで全身真っ黒なフード姿じゃなきゃ、完璧だったろう。「それに、」と、彼は薄い笑みを履きながら腰に差した真っ赤な鞘を撫でる。


「──見境なく切らない戦い方ってのを覚えるには、丁度いい慣らしになってるからね」

その発言は、やっぱこっわいなぁ!!





14サーバー 魔物図鑑 共有コード 人気ランキング上位より抜粋


ツキサシバニー

種族:バニー族

ペットにする難易度 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎★(とても仲間にしやすい)

出現地方:ブリア王国・サクス帝国

好物:フルーツ系全般

苦手:ニンジン


各地でさまざまな亜種が確認されている、ふわふわな黒いウサギ型の魔物。頭から突き出た小さな角が特徴。


頭をのツノの大きさはメスの方が大きくなりやすく、夫婦喧嘩をするとオスがほとんど負けている。


ブリア王国産の個体と比較し、サクス帝国の個体は角周りの毛が逆巻になっている確率が高い。またサックス帝国でも、北へ行けば行くほどその割合は高くなる。毛が長くなるなどの変化はない。


目の色と好きなフルーツの系統には法則があると考えられ、法則は下記と推測している。

……



コメント(784件)

・フルーツならなんでもよく食べるのに、よく調べたな

↪︎コメントありがとうございます♫107羽のウチの子たちの食事を、毎日全て観察していたら気がつきました!


・なんかたしかに、いつもより食いつきがいい気がする。

↪︎コメントありがとうございます♫もちろん瞳の色だけが全てではないですので、あなたの大切なツバちゃんのこと、観察してあげてくださいね!


・毛の向きまで調べてるとか変態かよ(褒めてる)

↪︎コメントありがとうございます♪このゲーム作り込みが凄すぎますので、色んなところまで調べたくなっちゃうんですよね!

誤字報告ありがとうございます!

とても助かります。

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