0話:後に大海原にて俺は叫ぶ
初めまして、どうぞお手柔らかによろしくお願いいたします
なーんで、こんなことになってんだ。
甲板の端で潮風に吹かれ、たたっ広い海を眺めることしか俺にはできない。
ゲームをはじめてからずっとお世話になっていた初期国の大地は、すでに地平線のはるか彼方。視認することはできない。便利なポータルみたいなものもすぐには開放できないらしく、簡単には戻れない、と攻略にもあった。
"おかげさまで"、何もない青い海を見つめ小さなため息。ちょっと黄昏れ、感傷的な心地。
──そんな俺の周りでは子供たちが駆け回る。微笑ましさはあるが、そんなに大きな船ではないから、人にぶつからないだろうか。ああ、早速しっかり者な年上組が声をかけている。見た目ショタ詐欺をしている奴も混ざってるが、俺より大半が年下なのにしっかりしたもんだ。声をかけようと起こした体を、また船のへりへと寄り掛からせる。
こんな予定ではなかった。
俺は魔法使いとしてソロプレイに勤しみ──いや、ちょっとたまにはパーティを組んでみたいと思っていたことは認めよう。だがこんな何人も、それこそ片手で収まらない人数と行動を共にする予定はなかったし、しかもそれが……
ふと、誰かの言葉が耳に入る。
「あれ、プレイヤーだよな?」
「1人だけ年齢層違うし、そうじゃね」
「よくやるな……」
俺以外にも乗っていたプレイヤーだろう。少し前に甲板に上がって来ているのを見、
「ショタコンかよ、アイツ」
違う!!!!!!!!!
思わずくわっと振り返り、あまりの言葉に普段のRPも忘れ、俺は彼らに素で叫んでしまう。
「俺は、ショタコンじゃねぇっ!!!!!!」
瞬間、呼応するかのように彼らの背後でザバンッ!!と海が割れた。海面から飛び出してくるのは、ツノが生えたシャチのような何か。だが直後に俺たちの目の前で魔法が弾け、刃が一閃を放ち──
気が付けば、船上にはデデドンと討伐された魔物が転がっていた。俺たちプレイヤーが、武器を握る間も無く。「大丈夫、怪我はない?」と気を使ってきたり、船の護衛をさらにぽんぽんと喚んだり、海を覗き込んで他にもいたらしい魔物を討伐しているこの子たちを前に、そっと空を見上げる。
本当に、どうしてこうなった………
いずれ、ここに繋がる物語




