表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/43

第3話:日常のずれ

翌朝、学校に向かう道すがら、陽翔は昨日の通知のことを考えていた。

「見ている」「近くにいる」――たった二行の文字が、頭から離れない。

スマホを触らずにはいられない衝動と、恐怖心が交錯する。


教室に入ると、いつもと変わらない景色が広がっていた。

窓際の席に座る陽翔の前に、美咲が明るく手を振る。

「おはよう、陽翔!」

彼女の笑顔はいつも通り、太陽のように眩しかった。


でも、どこか違和感があった。

美咲の目の端が、ちらりと陽翔を追うように動いた。

何でもない動作なのに、陽翔の心はざわつく。

自分が意識しすぎなのか、それとも…

そう思いながらも、彼はスマホをポケットに隠す。


授業中、教室の通知音が一瞬だけ頭の中で響いた気がした。

同級生のノートの音、先生の声、窓の外の風――

すべてが少しずれて聞こえる。

違和感は小さく、でも確実に日常を侵食していた。


放課後、陽翔は親友の翔太と図書室で待ち合わせた。

「おい、陽翔、最近変だぞ。顔色悪いし、なんか悩んでるの?」

翔太の明るい声に、少し救われた気がする。

でも、心のどこかで、昨日の通知のことを口に出す勇気はなかった。


ふと、机の上に置いたスマホの画面が光った。

通知ではない。スクリーンに、昨日と同じように白くぼやけたアカウント「Eve」が表示されていた。

画面にはまだ何も書かれていない。

ただ、存在している――それだけで、陽翔の胸は少し重くなる。


「…またか」

呟いた声は、図書室の静けさに吸い込まれて消えた。

周囲はいつも通り、ページをめくる音、机を叩く音、窓の外の木々のざわめき。

でも、陽翔の世界はもう、昨日のあの瞬間から少しずつ、何かがずれているように感じられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ