表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/43

第16話:教室に潜む気配

放課後、陽翔は一人で教室に残った。

昨日まで録画した映像をスマホで確認しながら、微細な光と影の動きのパターンを頭の中で整理する。

目に見えない力――意図を持った何か――が、教室内に確かに存在していることを、陽翔は肌で感じていた。


慎重に机の間を歩く。

光の揺れや影の動きに合わせ、目を凝らす。

ノートのページが、勝手にめくれる。

椅子が微かに揺れる。

誰も触っていないのに、物の動きが自分の目の前で起きている。


「…ここにも、何かいる」

つぶやき、息を整える。

胸の奥のざわめきが、恐怖と好奇心に変わる。

世界は普段通りに見えるのに、日常の輪郭は確実に歪んでいた。


教室の隅で、黒板の影が微かに伸びる。

それは人の形にも、物の形にも見えない。

しかし、確かに存在し、陽翔を見つめているかのような感覚がある。


スマホの画面に目を戻すと、やはり「Eve」の存在があった。

文字も通知もない。

それでも、そこにあるだけで、教室の空気がさらに不自然に感じられる。


勇気を出して、陽翔は影の近くに歩み寄る。

椅子やノートの微細な動きが、彼の足音と同期するかのように繰り返される。

心臓が早鐘のように打ち、冷たい汗が背中を伝う。


その時、スマホが小さく震え、赤い通知アイコンが光った。

表示は一つ。文字はない。

ただ存在している――その存在感が、教室内の異常さをさらに強調する。


「…もう、逃げられない」

陽翔は心の中でつぶやく。

胸の奥のざわめきは、行動への衝動に変わっていた。

目の前に広がる微細な異常――

その正体を、自分の目で確かめ、記録し、理解するしかない。


教室は静かだ。

しかし、微細な光と影の裂け目、音のずれ、物のわずかな動き――

日常はすでに、静かに侵食され始めている。

陽翔は、スマホを握り直し、決意を胸に、教室の中の影を追い始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ