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第13話:日常の裂け目

放課後、陽翔は再び教室に残った。

昨日録画した映像をスマホで確認しながら、机や椅子、教科書の位置を細かく見比べる。

映像には、目で見るだけでは気づかなかった小さな違和感が、いくつも映っていた。


ノートのページは、昨日よりも明確にめくれているように見える瞬間がある。

光の角度も微妙に変化し、黒板の端に置かれたチョークがわずかに傾く。

誰も触れていない、教室の空間そのものが、少しずつ歪んでいる――

そう陽翔は感じた。


そして、画面をよく見ると、新たな異変の兆候があった。

光の影に、人の気配のようなものが、ほんのわずかだけ映り込んでいた。

影は完全に人型ではない。だが、確かに、教室の空間の中に存在していることがわかる。


胸の奥がざわつく。

「…これは、ただの偶然じゃない」

声に出さず、つぶやく。

今までの違和感は、偶然ではなく、確実に何かが日常に入り込んでいる証拠だった。


窓の外の光が一瞬揺れ、カーテンがひらりと舞う。

教室の空気が、昨日までよりも少し重く、冷たく感じられる。

誰もいないはずの教室に、目に見えない力が存在している――

陽翔は、それを肌で感じ、背筋が凍る思いだった。


スマホの画面には、「Eve」の存在だけがある。

文字も通知もない。

だが、その存在感が、教室全体の異常を一層強調しているように思えた。


陽翔は深呼吸を一つして、決意を固める。

「…この異常を、完全に理解しなければ」

胸の奥のざわめきは、恐怖だけではなく、行動への衝動となっていた。

世界の端に広がる影――

それを確かめ、解明することが、今の自分に課せられた使命だと、陽翔は静かに理解した。


教室の空気は静かだ。

だが、確実に、日常は侵食されつつある――

陽翔は次の行動を決め、スマホを握り直した。


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