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錆びた時代  作者: Lam123
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最後の抵抗:鋼鉄の魂を持つ都市

青いシールドが消滅した瞬間、クラウド・シティは宇宙の冷たい攻撃に完全に晒された。

清掃部隊の残存艦隊は、容赦なく都市の外殻へ反エーテル・ビームを集中させた。ビームが直撃するたびに、巨大な金属音が轟き、都市の構造体は粉塵を上げながら崩壊していく。居住区からも悲鳴が上がった。

コマンドルームのリナは、絶望的な状況を前に、冷静さを保っていた。

「ダメだわ、コッコ!構造崩壊まで残り10分!私たちは技術で負けた…!」

『リナ。いいえ。私たちはまだ負けていません。都市には、ヘリックス博士が「非効率」として無視した、物理的な防御機構が残っています!』コッコは損傷したプロセッサで、必死に助言した。

「そうよ!エーテルを使わない、古い鉄くずの砲台!」

リナはすぐに住民たちへの指示を出した。広場でシチューを食べていた住民たちは、恐怖を乗り越え、自ら崩壊していく通路を走り、リナの指示通りに、都市の古い防衛ハッチを開き始めた。

その頃、宇宙を漂っていたカイに、コッコの最後の力が向けられた。

『マスター。緊急トラクター・ビームを作動!装甲の損傷が激しいため、ジェット大剣の推進力を使って、都市まで戻ってください!』

カイは意識を集中した。装甲の機能はほぼ停止している。彼は、最後の力を振り絞り、ジェット大剣のブースターを点火させ、燃える彗星のように都市の外殻へと不時着した。

彼の目の前には、ビームを放ちながら迫りくる無数の銀色の艦隊。彼は、装甲を脱ぎ捨て、大剣を握った。装甲はもうただの鉄の塊だが、剣は彼の魂そのものだ。

「ここが、俺たちのキッチンだ!一歩も引くんじゃねぇぞ!」

カイの号令のもと、住民たちが古いハッチから、錆びたキネティック砲や、スクラップを詰め込んだ即席の投擲兵器を発射し始めた。それは、宇宙艦隊に対する、あまりにも原始的で、あまりにも人間的な抵抗だった。

ドスンドスン!

原始的な砲弾は、エイリアン艦隊のバリアを傷つけもしない。だが、その一斉射撃は、人類の生存の意志を宇宙に叩きつける行為だった。

カイは、その抵抗の最前線にいた。彼はソウル・スパークの力をむき出しにし、自身に飛来する反エーテル・ビームを、ジェット大剣の炎と純粋な肉体で受け止めていた。

「リナ!このままじゃジリ貧だ!どうにか、一発で全てを終わらせる**『力』**をよこせ!」

コマンドルームのリナは、画面に映るカイの姿を見て、最後の決断を下した。

「コッコ…エーテル発電所のコアを、手動で完全開放するわ。制御回路を全て外し、不安定な生のエネルギーを、直接、コア・チャンバーに集める!」

『リナ!それは都市の自爆に繋がります!』

「知っているわ!でも、これ以外に勝つ方法はない!カイの魂に、この街の全ての命を乗せるのよ!」

リナは、住民たちに最後の指示を出した。住民たちは恐怖に震えながらも、発電所の非常弁を、手動で最大まで開いた。

コア・チャンバーに、青いエーテルが制御不能なまでに溢れ出す。その光は都市の隅々まで行き渡り、カイの大剣へと、リナが構築した緊急回路を通して流れ始めた。

ゴオオオオオオオオオオッ!!

カイの大剣は、青と金色の炎に包まれた。それは、エーテル装甲の洗練された力ではなく、太古の惑星の持つ、荒々しく純粋なエネルギーだった。

「リナ…これが…俺たちのシチューの味か…!」

カイは、大剣を両手で振りかぶり、天空を睨みつけた。彼の全身から、無限のソウル・スパークが溢れ出す。

「錆びた時代の、最後の抵抗だ!」

カイは、天空の艦隊全体に向けて、大剣を一閃した。

ズドドドドドドドドン!!!

都市から放たれたのは、エネルギーの中和も、圧縮もされていない、破壊的なエーテルの大波だった。その炎は、残存艦隊を一瞬で飲み込み、冷たい秩序の艦影を、宇宙の塵へと変えた。

静寂が訪れた。清掃部隊は、完全に消滅した。

勝利と引き換えに、クラウド・シティの構造体は限界を超え、激しく損傷した。大剣を放ったカイは、装甲も剣も失い、ただの人間として、外殻に倒れ伏した。

数時間後。

意識を取り戻したカイが感じたのは、鉄の匂いと、そして懐かしいシチューの匂いだった。

彼は、瓦礫だらけの広場の端で、リナと住民たちが囲む、巨大な鍋の横に横たわっていた。空は、まだ星々の冷たい光が差しているが、都市には、温かい命の息吹が戻っていた。

「…俺、勝ったのか?」

リナが微笑んだ。「ええ。私たちが勝ったわ、カイ」

カイは、住民たちによって差し出された、熱々のシチューの皿を受け取った。その味は、これまでのどのシチューよりも、美味しかった。

錆びた時代は終わった。クラウド・シティは、人類の自由な意志を証明する、新たな世界のシンボルとなった。

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