表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錆びた時代  作者: Lam123
3/31

コーラ争奪戦と初の空中戦

スクラップランドの灼熱の砂漠を、カイとリナは急いでいた。手首のコッコは、勝利の興奮を打ち消すほどにうるさい。

『マスター!緊急です!私のエネルギーレベルは現在、**5%**です!このままでは、あなたの生命維持に関わる分析サポートが停止します!至急、炭酸飲料を!』

「わかってるっての!腹減りすぎて炭酸が飲みたいのは俺だって同じだ!」

カイは汗まみれの顔を拭った。

リナは古地図を読み上げながら、苛立たしげに言った。

「文句は後にしなさい。コッコのデータによれば、ここから2キロ先にオールド・ワールド時代のコンビニ跡がある。運が良ければ、未開封のコーラが残ってるはずよ」

「コンビニ…コーラ…天国か!」カイの目が輝き、疲れていたはずの体に力が満ちる。

ドシン!

二人が崩壊寸前の錆びた建物の前に辿り着くと、確かに陳列棚の奥に、埃を被った古いアルミ缶がいくつも見えた。

「あったぞ!」

カイが棚に飛び込もうとした、その時。

ヒュン!

一陣の風が吹き抜け、カイよりも早く一人の男が棚の前に立ちはだかった。その男は目出し帽を被り、両腕に小型ジェットブースターを装着している。そして、その手に、探していたコーラ缶が握られていた。

「チッ、一足遅かったか」男は鼻で笑う。「この『疾風のケン(Shippū no Ken)』に目をつけられた獲物は、もう誰にも渡さねぇぜ」

「てめぇ、それをよこせ!」カイは「鉄クズ」に手をかけた。

「残念だったな、スクラップボーイ。俺はテメェの鈍重な攻撃には付き合わねぇ」

ケンはそう言うや否や、腕のブースターを起動させた。

ヴウウウウ!

ケンは垂直に上昇し、不安定な瓦礫の空間を縫うように空中を高速で移動し始めた。そのスピードは、歩くのが精一杯のカイとは段違いだ。

「空を飛びやがった!卑怯だぞ!」カイは悔しそうに大剣を振り上げるが、空中で加速するケンには全く届かない。

『マスター。分析開始。対象の動きは通常の人間が視認できる限界速度の1.8倍です。現在のあなたの攻撃命中率は0.003%。回避が最優先です』コッコが警告する。

「うるさい!見てりゃわかる!」

ケンは空中から、小型のドローンを射出。そのドローンは電磁ネットを展開し、カイの動きを封じようとする。

「カイ!動かないで!」

パン!

リナが遠距離から狙撃し、ドローンを正確に撃ち落とす。しかし、ケンはリナの位置を特定し、小型のプラズマ爆弾を投げつけた。

「危ない!」カイは咄嗟にリナをかばい、爆発から守る。

「くそっ、このままじゃ埒が明かない…」リナは焦燥感を露わにする。「カイ、鉄クズを投げて牽制して!コッコ、彼のソウル・スパークの流れを一時的に加速させられないの?」

『理論的には可能です。ただし、加速による負担でマスターの体は一瞬で崩壊する危険性があります。生還確率20%』

「20%?上等だ!」カイは迷いなく叫んだ。「コッコ、やれ!どうせ腹減って死ぬか、戦って死ぬかだ!」

しかし、その時、リナがポケットから取り出したものを、カイの口に無理やり押し込んだ。

「馬鹿!死ぬ気にならないで!これよ!」

それは、ケンが落としたコーラ缶だった。リナが隙を見て回収していたのだ。カイは反射的に半分ほど一気に飲み干した。

ゴクッ、ゴクッ…プシュー!

『警告!異常なエネルギー入力!炭酸飲料に含まれる高濃度の糖分とカフェインがソウル・スパークと反応し、一時的な超加速状態に入ります!』コッコが叫んだ。

カイの全身から、オレンジ色だけでなく、コーラの色をした茶色いオーラが噴き出した。

「うおおお!なんか、力が…溢れて…ゲップが出そうだ!」

(力が漲る代わりに、ゲップの衝動が押し寄せるという、カイらしい現象だ。)

「今よ、カイ!その力を空中戦に使って!」

「おう!」カイは叫び、ジェット噴射式大剣「鉄クズ」を背中から外し、逆手に持った。

「絶技:炭酸!反動ジャンプ・クラッシュ!」

カイは剣のジェットエンジンを真下に向けて全開にし、反動噴射の力を利用して、自身も空中へと飛び上がった。まるで人間ロケットだ。

「なっ…バカな!あんな重いもんで!?」ケンは驚愕し、回避しようとするが、カイの速度はケンを上回っていた。

ドオォン!!

カイは空中でケンに追いつき、大剣ではなく、噴射エンジンのノズルで直接ケンのジェットブースターを叩き潰した。

ケンは制御不能になり、地面に叩きつけられた。

「…クソッ、こんなバカに負けるなんて」ケンはうめき声を上げるが、すぐに煙幕を張り、地面に埋めていた小型ブースターを起動させて、猛スピードで逃走した。

カイは地面に降り立ち、荒い息を吐いた。手首のコッコが再び冷静に語りかける。

『マスター、勝利です。なお、炭酸の持続効果は残り15秒です』

リナは安心したようにため息をついた。

「なんとか助かったわね。これでコッコも満タンになったし、スクラップランドを抜ける準備はできたわ」

「ああ…」カイは空を見上げる。ケンが逃走の際に落としていった、小さな電子チップが光っていた。

『チップを回収。これは「雲上の覇者」の輸送ルート情報です。マスター、次の目的地が確定しました。この地上を離れ、**『天空への第一歩』**を踏み出します』

空腹を満たしたカイは、今、巨大な敵の影と、伝説の地を目指す、本格的な冒険の幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ