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錆びた時代  作者: Lam123
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双頭の指揮官:要塞都市の反撃

リヒター艦隊の猛攻は止まらない。しかし、『天の槍』を防いだカイの力は、リヒターの計算を完全に狂わせた。

旗艦のブリッジで、リヒター将軍は静かにモニターを見ていた。「非効率な力だ。一人の人間が、戦艦一隻分のエネルギーを制御している…」

将軍はすぐに戦略を切り替えた。「全艦隊に告ぐ。目標を再設定せよ。奴の装甲は、都市のメインエーテルグリッドから直接供給を受けている。我々は、都市の動力導管と外部エネルギー供給ラインを狙う。装甲を『空腹』にすれば、あの暴徒は自壊する」

リヒター艦隊は一斉に散開し、集中砲火から、都市外周の目立たないエネルギー供給ポイントへと攻撃を切り替えた。

クラウド・シティのコマンドルームは、今やリナとコッコが切り盛りする司令室となっていた。

「ダメよ!リヒターは私たちの弱点を見抜いたわ!」リナが叫んだ。「敵機が、外部配線のセクターH-7に向かっている!そこを破壊されれば、シールドの維持に影響が出る!」

『マスター、迎撃機を出しますか?』コッコが尋ねる。

「迎撃機は全て旧式で、武装も貧弱よ!カイは最前線にいるから、手が回らない…くそっ、この巨大な都市は、動きの遅い戦艦と同じだわ!」

その時、リナの脳裏に、ジジイが残した古いシステム図が浮かんだ。彼女は必死にシステムを操作し、都市の最も古い防衛システムにアクセスした。

「コッコ、これよ!『クラウド・ヴァイパー』ドローン!ヘリックス博士が非効率として格納庫に封印していた、無人小型迎撃機の群れだわ!」

『確認。ヴァイパーは旧規格ですが、機動力は現行機を凌駕します。ただし、制御は手動です』

「私がやる!コッコ、セクターH-7への進入ルートを設定して!敵艦隊の注意を逸らす!」

リナは、カイが命がけで守ったこの街を、自分の力で動かそうとしていた。彼女はいくつもの古い操作盤を同時に叩き、小型迎撃機の群れを、空へと解き放った。

ヒュン!ヒュン!

クラウド・ヴァイパーは、まるで蜂の群れのように静かに高速で飛び出し、セクターH-7へ向かう敵戦闘機に襲いかかった。敵機は、予想外の迎撃に慌てふためき、フォーメーションを崩す。

「よし!今よ、カイ!」リナは通信を送る。

最前線で多方面からの攻撃に晒されていたカイは、その隙を見逃さなかった。装甲のエネルギー残量は激しく低下していたが、リナが作った**「時間」**は最大の武器だった。

「サンキュー、リナ!鉄クズ・ブースト!」

カイはエーテル装甲の全推進力を使い、リヒター艦隊の通信とエネルギー攪乱を担当する中型ジャミング艦へと猛進した。

彼は、敵の防御を無視し、装甲と一体化した大剣を突き出した。それは、都市のエネルギーを限界まで凝縮した、青い槍だ。

ガアアアアアアアン!!!

ジャミング艦は、一撃で船体中央から切り裂かれ、制御不能な火花を散らしながら雲の底へと落ちていった。

『成功!敵の通信能力が一時的に50%低下しました!』コッコが歓喜の声を上げる。

しかし、その瞬間、カイの装甲からも赤色の警告灯が点滅した。

「警告!ローカルエネルギー供給、一時停止!装甲、戦闘機能停止!」

ジャミング艦の爆発の余波が、カイのエーテル接続を一時的に断ち切ったのだ。カイは力を失い、重力に引かれるまま、都市の外壁へと不時着した。

「くそっ…!力が…消えた…!」

リヒター将軍のブリッジ。ジャミング艦の損失に、将軍は眉一つ動かさなかった。

「ふむ。見事な突撃だ。しかし、これで証明された。あの暴徒は、この都市がなければ、ただの高性能な鉄の塊に過ぎない」

リヒターは、クラウド・シティへと通信を繋いだ。その音声は、コマンドルームにいるリナと、外壁で崩れ落ちたカイの耳にも届いた。

『クラウド・シティの管理者へ。貴殿らの反撃は、我々の予想を上回った。だが、エネルギーを浪費し、指導者を失った今、抵抗は無意味だ。我々は、明日正午、最終攻撃を開始する。その前に降伏せよ』

カイは、装甲の損傷した外壁に身体を預け、悔しさに歯を食いしばった。戦闘はまだ終わっていない。しかし、力の源を断たれた今、彼らは絶体絶命の窮地に立たされていた。

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