天空の開戦:エーテル装甲、初陣
リヒター艦隊からの最初の砲撃が、再起動したばかりのクラウド・シティの青いエーテル・シールドを直撃した。
ドゴオオオオオオオッ!!
都市全体が、凄まじい振動に襲われる。コマンドルームのリナは、制御盤に叩きつけられた。
「シールド強度、20%低下! 相手の火力は想定以上よ!」リナが歯を食いしばる。
『リヒター艦隊は、戦艦クラスを主力とする旧時代規格の精鋭です。シティの防御システムが完全にオンラインになるまで、この衝撃には耐えられません』コッコが報告する。
「黙って見てろ、秩序野郎ども!」
中央タワーの格納庫から、青い光の筋が空へと射出した。それは、全身をエーテル装甲に包んだカイだ。装甲の推進器は、彼のソウル・スパークと発電所のエネルギーを直接繋ぎ、戦闘機を遥かに凌駕する速度とパワーを生み出していた。
『マスター。装甲の戦闘効率は500%。エーテル・フィールドを展開し、敵の迎撃に入ります!』
「了解だ!リナ、コッコ!俺が道を開ける!」
カイは敵艦隊のV字編隊へと一直線に突っ込んだ。リヒター艦隊の小型戦闘機が、一斉にパルスレーザーを放つ。
バチバチバチ!
しかし、装甲から放射される青いエーテル・フィールドは、レーザーを弾き返すどころか、周囲のエーテル流を取り込んで増幅し、カイ自身のエネルギーへと変換した。
「まるで、この空全体が俺の体みてぇだ!」
カイは敵の戦闘機へと肉薄し、大剣を使う代わりに、青く輝く右拳を突き出した。
「炭酸!エーテル・ブレイク・フィスト!」
増幅されたソウル・スパークが、純粋なエーテル爆発となって炸裂する。戦闘機一機どころではない。その爆発は連鎖し、編隊全体を巻き込み、瞬く間に十数機が木っ端微塵となった。
「な…なんだと!?あれは兵器ではない!人間兵器だ!」
リヒター将軍は旗艦のブリッジで、その光景を見て驚愕した。これほどの個人的な力を持つ存在は、旧時代末期以来、存在しなかったはずだ。
「予測不能なノイズめ!全艦隊、目標をクラウド・シティの中枢、タワー・コアに集中せよ!奴の相手をするな!」将軍は冷静に命令を下した。
艦隊の数隻の大型戦艦が、ゆっくりと巨大な砲門をクラウド・シティへと向けた。それは、エーテル・シールドを貫通するために開発された、旧時代の禁断の兵器、**『天の槍』**だ。
リナが悲鳴を上げた。「カイ!ダメよ!敵の旗艦が主砲を向けている!シールドじゃ防げない!」
『リナの計算、一致。シールド耐久度はゼロになります!』
カイは、その巨大なエネルギーの集中を「魂の共鳴」で感じ取った。それは、彼がこれまで感じたどのエーテル流よりも、冷たく、濃密で、破壊的だった。
「クソが!シールドがダメなら…俺が防ぐ!」
カイは目標を全速力で変更し、エーテル装甲の全推進力を限界まで高めて、シールドの最も薄い一点へと突っ込んだ。
VROOOOOOOM!!!
その瞬間、『天の槍』が火を噴いた。白く輝く巨大なエネルギーの筋が、天空都市の心臓めがけて射出される。
カイは、その光線に真正面から突っ込んだ。
エーテル装甲の全身の導管が悲鳴を上げる。彼は、ビームを物理的に弾くのではなく、「魂の共鳴」を最大展開し、ビームを構成するエーテル粒子と自分のソウル・スパークを同調させた。
キュイイイイイイイイン…!
ビームは凄まじい摩擦音と光を放ちながら、カイの青い装甲に触れた瞬間、エネルギーの流れが乱れ、方向を失い、天空へと散逸していった。
クラウド・シティは救われた。しかし、カイはビームの余波で装甲ごと吹き飛ばされ、エーテル・シールドの縁に叩きつけられた。
『マスター!生存確認!しかし、装甲のエネルギー効率が極度に低下しています!』コッコの声が震える。
カイは、荒い息を吐きながら、シールドの縁に立ち上がった。彼の周囲には、まだ何百もの敵艦隊が整然と浮かんでいる。
(この装甲は、シティの命そのものだ。俺が戦うことは、この街が生きていることの証明なんだ…!)
カイは、青い光を再び高め、敵艦隊全体に咆哮を響かせた。
「俺が、この街の盾だ!かかってこい、秩序の鉄クズども!」
天空都市は、天空の戦場と化した。




