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錆びた時代  作者: Lam123
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チキンAIの暴言と泥棒の襲撃

機甲カニの爆発が残した煙と、オイルの焦げ付いた匂いが充満する中、カイはへたり込んでいた。目の前には、残骸から転がり出たエーテル・コアが変形した、ブレスレット型のチキンAIが装着されている。

「マジかよ……肉にならなかったどころか、ブレスレットになっちまったのか」

カイは手首の金属製ニワトリを指で弾いた。

『起動完了。私は「クラウド・シーカー・ユニット03」。コードネームは**コッコ (KOKKO)**です。今後、あなたのナビゲーター、戦闘データ支援、そして命の恩人として活動します』

コッコは電子音で、どこか偉そうな口調でまくし立てた。

リナが駆け寄ってきて、コッコのブレスレットを興味深げに覗き込む。

「クラウド・シーカー…伝説級の遺物じゃない。カイ、あんた本当に運だけはいいわね」

「コイツ、売れねぇんだぞ!」カイは泣きそうな顔で訴える。「リナ、この高性能AIを動かすにはどんな特殊燃料がいるんだ?」

コッコが即座に答えた。

『私のエネルギー効率を最大限に引き出すためには、プレミアムエンジンオイル、または糖分を多く含む炭酸飲料が必要です。マスターの遺伝子コード「空腹」を分析した結果、緊急時には栄養価の高いジャンクフードでも代用可能です』

「…なんだって?」カイとリナの声がぴったり重なった。

「高級オイルか、コーラ…?」リナが目を丸くする。「伝説のAIが、まさかそんなジャンク仕様だったなんて…」

『その通り。マスター、早くエネルギーを補給してください。あなたの体内エネルギーは現在、戦闘適性ゼロです。このままでは、すぐそこまで迫っている「錆喰い鳥 (Sabikui Dori)」の餌食になりますよ』

「錆喰い鳥?」カイは眉をひそめた。

リナがすぐにトランシーバーに手をやった。

「ちっ!コッコの言う通りだわ。カニの爆発音を聞きつけて、このエリア一帯を縄張りにしてる盗賊団が向かってきてる!推定五人、武装は旧式レーザー銃とチェーンソーよ!」

「最悪だ!腹が減って力が出ないんだ!」カイは噴射式大剣「鉄クズ」を背負い直したが、重くてよろめいた。

『マスター。一つアドバイスを』コッコがブレスレットから無機質な声で語りかける。『彼らは現在、戦闘態勢のあなたを警戒しています。しかし、そのリーダーは、あなたの**「空腹による注意力の散漫」を利用し、残骸の影から接近中です。あと3秒**で射程圏内に入ります』

リナが叫ぶ。「カイ!右後方!」

ドン!

爆音と共に、残骸の山から大柄な男が飛び出してきた。チェーンソーを頭上で振り回すその男こそ、「錆喰い鳥」のリーダー、ギルだ。

「ヒャッハー!俺たちの縄張りで何やってやがる!てめぇらの獲物エモノは、俺たちのモンだぜ!」

ギルは疲弊しているカイめがけて、容赦なくチェーンソーを振り下ろした。

ガキンッ!

間一髪、カイは鉄クズで受け止めたが、疲労から来る踏ん張りの弱さで、すぐに押し込まれる。

「くそっ…重い!」

『マスター、分析完了。対象リーダーの戦闘力はあなたの**60%程度。しかし、現在のあなたのパワー出力は35%**まで低下しています。このままでは勝てません』コッコが冷静に状況を報告する。

「うるせぇよ、飯食ってから言え!」

その時、リナが動いた。

パン!パン!

二発の狙撃弾がギルの部下のレーザー銃を正確に破壊した。

「あんたの援護は任せなさい、カイ!あんたはそいつをぶっ飛ばすことだけ考えなさい!」リナの力強い声がトランシーバー越しに響く。

カイの目に再び闘いの炎が宿った。そうだ、勝てば飯が食える!

彼は残りのソウル・スパークを体中に集中させた。オレンジ色のオーラが燃え上がる。

『警告!エネルギーオーバーロード!しかし、生還確率100%。目標は敵のチェーンソーの回転軸の直上です!』

コッコの分析を信じ、カイは全力で鉄クズを上に押し上げた。そして、チェーンソーの回転軸の真上にめがけて、右ストレートを叩き込んだ。

「空腹の…フック!」

バチィッ!!

ソウル・スパークをまとった拳が、ギルのチェーンソーの接続部を直撃。チェーンソーは弾け飛び、ギルは驚愕の表情のまま吹き飛ばされた。

カイは荒い息を吐きながら、地面に倒れたギルを見下ろした。

「覚えておけよ、小僧!」ギルは血を吐きながら叫んだ。「テメェが手に入れた『鍵』は、ただのガラクタじゃねぇ!ありゃあ…『雲上の覇者』が欲しがるもんだ…!」

「…雲上の覇者?」

その言葉は、カイにとってただの脅しにしか聞こえなかった。しかし、コッコは冷たく分析した。

『データと一致します。マスター、私たちは今、この地を支配する**「巨大組織」**の監視下に置かれました。ここを離脱し、「クラウド・シティ」を目指すことが最優先事項です』

「巨大組織…雲上の覇者…」リナも駆け寄り、事態の大きさに顔色を変える。

カイは手首のコッコを強く握りしめた。冒険は始まったばかり。だが、まずは…

「リナ、近くにコーラが売ってる廃墟はないか?」

彼らの旅は、一缶の炭酸飲料を求めて、この錆びた大地で始まった。

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