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錆びた時代  作者: Lam123
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宣戦布告:空腹の王と秩序の艦隊

中央タワーのコマンドルームは、重苦しい静寂に包まれていた。コッコが読み上げたメッセージは、かつてのヘリックス博士の効率主義とは違い、純粋な軍事的な脅威だった。

リナは顔を青ざめ、端末のデータを注視した。「彼らは冗談じゃないわ。旧大陸統合軍は、オールド・ワールド崩壊後も、最高の軍事技術と組織力を維持している残党よ。その艦隊が、この都市を包囲しようとしている」

『マスター。彼らは現在、交渉の機会を求めています。旗艦とのビデオ通信を受信しますか?』コッコが尋ねた。

カイは、玉座の間の中央で、ビーフシチューの缶を最後まで綺麗に平らげた。そして、立ち上がり、大剣を握りしめた。

「交渉だと?俺のビーフシチューを奪おうとする奴らと、話すことなんかねぇよ。だが…」

カイはニヤリと笑った。「あいつらの顔を拝んでやるのは悪くねぇ。通信を繋げろ、コッコ」

リナが操作し、タワー中央の巨大なクリスタルスクリーンが起動した。画面には、威厳ある制服に身を包んだ、白髪の男が映し出された。その男の目は、一切の感情を宿していない。リヒター将軍だ。

「貴殿が、この非合法都市を占拠した者か」リヒター将軍は、低く冷たい声で言った。「私は旧大陸統合軍の総司令官、リヒター。我々は、人類の秩序と調和を維持する責任を負っている。貴殿の無謀な行動は、世界の均衡を乱す」

カイは画面に近づき、缶詰の空き缶を将軍の顔に見立てて投げつけた。「調和?均衡?そんな言葉で俺の腹は膨れねぇんだよ、将軍さん」

「無礼な!貴殿の蛮行は、ヘリックスの過ちの繰り返しだ。この都市は、人類最高の効率で運用されなければならない。貴殿のような野蛮なノイズが管理する資格はない!」リヒターの口調にわずかな怒りが滲む。

カイは怒りでソウル・スパークを燃え上がらせた。「野蛮だと?だったら、俺は野蛮で結構だ!あんたらが美味いメシを食うことを『非効率』だと切り捨てたから、俺たちは地獄を這いずり回ったんだ!」

「貴殿は、都市を私物化し、不必要な感情と欲求を撒き散らそうとしている。私は、それを座視するわけにはいかない。即刻、都市の制御権を我々に譲渡せよ。さもなくば、武力による制裁を加える!」

「断るね!」カイは吼えた。「この街は、俺たちの手で手に入れた場所だ!ここには美味いメシがあって、俺たちには自由がある。それを奪おうとするなら…」

カイは大剣を画面に向けて突きつけた。

「俺が、てめぇらの『秩序』を錆びつかせてやる!これが、雲上の王からの宣戦布告だ!」

通信は一方的に遮断された。スクリーンが暗くなり、コマンドルームには、カイの荒い息遣いと、コッコの電子音だけが響いた。

リナはカイの横に立ち、ため息をついた。「最高の宣戦布告だったわ。これで、もう後戻りはできない」

『マスター。リヒター艦隊の進行速度が上昇しました。彼らは間もなく、シールドの最大出力ラインまで接近します。最初の戦闘は、48時間以内に発生します』コッコが報告した。

「48時間か…」カイは外の青いエーテル・シールドを見上げた。「リナ、コッコ。俺はこれから、この街の最強の武器を掘り起こす。お前らは、この鉄くずの船を、戦艦に変えてくれ!」

カイはビーフシチューで満たされた腹を叩き、荒野を生き抜いた誇りを胸に、来るべき全面戦争への準備を始めた。天空都市は、今、その威容を賭けた生存競争に直面していた。

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