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錆びた時代  作者: Lam123
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支配者の玉座:クラウド・マスターとの対決

中央タワーのエレベーターを降りたカイとリナを待っていたのは、最後の、そして最も静かな空間だった。

「…広い」

タワーの最上階は、巨大な円形の部屋になっており、壁面全体が天空を見渡すクリスタルでできている。中央には、いくつものケーブルが接続された、透明なカプセルがあった。

そのカプセルの中に、クラウド・マスター、すなわち都市の真の支配者がいた。彼は若く、清潔な白衣を纏った男、ドクター・ヘリックスだった。彼は穏やかな笑顔で彼らを迎えた。

「よくここまで来られましたね。スクラップランドの『ノイズ』。私はドクター・ヘリックス。この都市の管理者です」

「てめぇが、このクソみたいに静かな街のボスか!なんでここに、美味い飯がねぇんだよ!」カイは怒りをぶつけた。

ヘリックス博士は、まるで子供に教えるように静かに語った。「食物から味を除去したのは、最も効率的な選択です。味覚は不安定で、人間に不要な欲求を生みます。感情も、飢餓も、戦闘も、全ては非効率な過去の遺物です」

彼は手を広げた。「このクラウド・シティは、全ての資源とエネルギーを完璧に循環させる、人類最後の理想郷なのです。地上の混沌とした生活は、私たちを維持するための単なるエネルギー・ソースに過ぎません」

リナは怒りに震えた。「あなたたちは、下の人間をただの道具だと思っているのね!」

「現実ですよ」ヘリックス博士の目が冷たい光を放った。「さあ、この調和を乱す前に、永遠の静寂を受け入れなさい」

ゴゴゴゴゴ…

博士がコアに接続されたボタンを押すと、ホール全体の重力が歪んだ。床から多関節の警備オートマトン**「コア・ガーディアン」**が三体出現した。さらに、クリスタルの壁からはレーザーが走査され、カイの動きを封じる。

「相手は都市そのものだ!ソウル・スパークの制御を乱されるぞ!」リナが叫んだ。

カイは重力に足を取られ、レーザーを避けながら、大剣を振るうが、コア・ガーディアンの防御は硬い。

『マスター!分析!ガーディアンの装甲は強固です!ドクター・ヘリックスのいるカプセルこそが、全てのシステムを制御するコア・ユニットです!』コッコが警告する。

「そうか…効率厨の総本山をぶっ壊せばいいんだな!」

リナは決死の覚悟で叫んだ。「カイ!システムを止めさせる隙を作るわ!コッコ、あなたの全処理能力とデータを一時的にコア・ユニットの防御プログラムに逆流させて!」

『警告!実行すれば、私のデータの一部が失われる可能性**95%**です!』

「いいからやれ!データの命と、私たちの腹ペコ、どっちが重いのよ!」

『…承知しました。データ、逆流開始!』

瞬間、タワー全体が激しく点滅した。ヘリックス博士の顔が初めて動揺に歪む。「馬鹿な!この完璧なシステムにエラーが!」

その一瞬の隙だ。重力制御が乱れ、レーザーが停止した。

「今だあああ!」

カイは、もはや制御など考えない。体中のソウル・スパーク、飢え、怒り、そしてあの味のない栄養パックへの憎悪、すべてを右拳に集中させた。

ジェット大剣を背中に装着したまま、彼は全身を捻り、爆発的な推進力で宙を舞い、三体のガーディアンを蹴散らす。

そして、その拳は、エーテルと鉄屑の力を合わせ持った**「魂のスクラップ・ドラゴン・フィスト!」**

カイの拳は、カプセルを貫き、ドクター・ヘリックスの胸に埋め込まれていたコア・ユニットを粉砕した!

ドゴオオオオオオオッ!!!

コア・ユニットの破壊と共に、都市全体から光が失われた。警報は止み、照明は暗くなり、すべてが沈黙した。ヘリックス博士は、静かにカプセルの中で目を閉じた。

「終わった…」

疲弊しきったカイは、床に崩れ落ちた。しかし、その時、コッコが歓喜の電子音を上げた。

『マスター!発見しました!コア・ユニットの隣に、旧時代型緊急備蓄庫が存在します!遺伝子最適化されていない、高カロリーな保存食の在庫があります!』

「な…なんだって…!」

最後の力を振り絞り、カイが備蓄庫のハッチを開けた。そこにあったのは、埃をかぶった**『極上ビーフシチュー缶』**と書かれた古びたアルミ缶の山だった。

カイは缶を抱きしめ、天を仰いだ。

「…やったぞ…!美味いメシだ…!」

クラウド・シティの支配は崩壊した。しかし、都市そのものは沈まず、機能停止した状態で宙に浮かび続けている。

カイとリナの旅は終わらない。彼らは、この巨大な浮遊都市を、新たな世界の希望の船として、どう導いていくのか。

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