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1、二人の始まり

「君、名前は?」


 唐突に少年に声をかけてきたのは、上品な男であった。彼の動きは余裕があるようで、無駄や隙は一切ない。名前を聞かれた少年は、首を振る。男は、金の瞳を瞬かせた。


「名前ないの?」


 少年は、コクリと頷く。少年の髪がフワリと揺れ、目映い金の髪が、太陽に反射してキラリと光った。


「あ、私はアエラス・クレアティオ。アエラスって呼んでね」


 少年は戸惑ったように輝くような緑色の瞳でアエラスを見つめた。そしてコクリと頷く。


「君は……。あ、君っていい続けるのも良くないね。名前どうしようか?」


 アエラスは少年に尋ねるが、少年は瞬きもせずにアエラスを見つめるだけだ。アエラスは困った表情を浮かべる。


「君さえ良ければ、私が名前をつけてもいいかな?」


 少年はまた頷いた。声を出さない。アエラスは、少年を見つめた。髪は黄金。瞳は翡翠のような緑色。彼は汚れているが、よく見ると端正な顔立ちをしている。


「ルースってどう?」


 アエラスの言葉に、ルースは花が綻ぶように明るく笑った。それを見たアエラスも表情を緩ませる。


「じゃあ、君は今日からルースだ」

「ルース……」


 その少年は、与えられた名前を恐る恐る口にした。やっと声を発した彼を見て、アエラスは満足げに頷く。


「家がないなら、私と一緒に来ない?」


 そう言ったアエラスは、ルースに手を伸ばした。ルースは、恐る恐るといった様子でその手をとった。


 これが二人の始まりだった。




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