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量子脳で覚醒、銀の血脈、異世界のデーモン狩り尽くす ~すべて解析し、異世界と地球に変革をもたらせ~  作者: 藍沢 理
16章 神界の「街」

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315 無謀な作戦

 生死不明のデボンを救出するため、半日かけて入念に準備をした。セレスト(おう)の支援もあり、バンダースナッチの装備、そして俺たちの装備が神界製のものへと一新された。とはいえ、バンダースナッチは永遠回廊(えいえんかいろう)結晶を使用しているため、大きな変更はない。


 一変したのは俺たちの装備だ。これまで使い古していた俺の革鎧は引退となり、セレスト翁から金属鎧を勧められたものの、目立ち、さらには動きにくくなるとして辞退した。結局俺は、蒼天(アイテール)の布地で仕立てられた、身軽ながらも堅牢な普段着風の鎧を身につけることとなった。もちろん防御力は比べようもないほど上がっているのだが。


 仲間も各々で、自身の装備を吟味し、選定していた。


 食料も大量に積み込み、倉庫はパンパンになってしまった。空間拡張魔法で広げようとも思ったが、欲張りすぎてもいけないし、それなりの量を分けてもらうにとどめた。


「では、お世話になりました。できるだけ早めにデボンをつれて帰ります」


 俺たちはセレスト翁に感謝の意を伝え、エルベの街を飛び立った。


 人々の安全は、エーテリュクスに委ねた。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 二万メートルの高空。地上はすでに闇に包まれているものの、ここはまだ明るい。バンダースナッチの透明化を行なっているが、スリオンのような化け物がいれば、簡単に見つかってしまうだろう。


 セレスト翁によると、スリオンは神々の軍勢と合流したらしい。現在はベナマオ大森林の駐屯地にいるようだ。前回のように攻撃されたら、ひとたまりもない。そのため、いちおう俺たちが空にいると連絡を入れている。


 エルベの街を飛び立つ間際、セレスト翁はバンダースナッチに識別魔法陣を施していた。だから何も言わずとも大丈夫なのだが……リアムが大反対をしたのだ。スリオンに殺されかけたのだから、それは無理もないだろう。


永遠回廊(えいえんかいろう)障壁、展開完了。上空にて停止するっす」


 モニターには神界の獣人自治区が映っている。とはいえ獣人自治区があるわけではなく、ただの盆地だ。濃い冥導(めいどう)のおかげで地上が見えていないが、あの中に必ず数多のデーモンがいる。


 神の軍勢から得た事前情報によれば、デーモンの数は百万。本来なら神界で生存できないデーモンが、長きにわたって陣を貼っているとのことだ。この辺りの情報はすでに共有済み。作戦を決めるため、魔導通信機でエンペドクレスと話し合おうとしたところ「勝手にしろ(・・・・・)」という塩っぱい対応で終わった。


 エンペドクレスは軍神デボン救出よりも、俺と共闘したくないという私情を優先させた。


 神々の軍勢を率いるのは、そんな人物である。エンペドクレスは俺の魔法を封じた裁判官でもある。そのため、彼にとって俺が好ましくない存在であることは明白だ。


「さーて、生きてるのか死んでるのか知らんけど、デボンを助けに行くぞ。後部ハッチに移動しようか」


 あとは降下するだけ。転移すれば、その瞬間だけ魔力が漏れるから、これからの潜入作戦(・・・・)が水の泡となってしまう。今回の鍵は隠密行動にある。


 俺は仲間全員の顔を見渡す。みなほどよい緊張と恐れの気配を漂わせつつも、同時に冷静さを失っていない。いい感じだ。


「リアム、頼むぞ」


 今回はリアムひとりで留守番だ。といっても、何もしないわけではない。


「ご武運を!」


 リアムの言葉を受け、俺たちは操縦室から移動を開始した。


 後部ハッチに到着し、視界を確保するため、みなでファーギ特製ゴーグルを装着する。夜の闇に加え、濃い冥導(めいどう)の中でデーモンと相対しても不利にならないようにだ。このゴーグルがあればデーモンを見逃すことはないだろう。


「開けるぞ」


 開閉ボタンを押して、後部ハッチが開く。俺たちはお互いの顔を見て頷き合い、星々が煌めく漆黒の空へと身を投じた。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 今回も俺は単独行動だ。仲間たちはすでに班に分かれて行動中で、ここにはもういない。ゴーグルを着用したまま山頂に立つと、たたらをふむほどの強風が吹き荒れていた。


「……」


 何だあれは。上空からだと、濃い冥導(めいどう)のせいで黒い雲海のように見えていたが、街があるとは……。というより、城壁で囲まれた城郭都市だ。さすがにこれはない。バンダースナッチのカメラ舐めんなよ? 


 ということはカメラを欺く何かがあるはず。そう思って見上げたものの、何も見当たらない……。おかしい。何か細工しなければ、モニター越しの映像が変わるはずもない。


「……なるほど」


 辺りをキョロキョロ見回して、ようやく気づいた。眼下の大地には、隠蔽魔法陣が無数に描かれている。この地の冥導(めいどう)の濃さが加われば、隠蔽魔法陣の効力は極限まで発揮されるというわけだ。

 そのおかげで、デーモンは地上の情報を隠蔽することに成功していた。とりあえずは連絡を入れよう。


『地上は隠蔽魔法陣だらけだ。エンペドクレスとセレスト翁からの情報、バンダースナッチから見た光景、全て違ってると思っていい。街の規模から推測すると、この地のデーモンは百万を大きく上回るはずだ』


 城郭都市の規模からデーモンの数を推し量り、仲間全員に念話を送る。


『やっぱりか……。街があるのはおかしいと思ってたよ』

『だと思ったよ……。どうするソータ。いったん引くか?』


 ミッシーとファーギが応じる。


『いや、計画の変更は無しだ。数が多いなら逆に都合がいい』


 ファーギは少し慎重になっている。しかし続行だと返事しておく。


『そうか。こっちは位置についた。……はぁ? あの四角いやつ、あれは冥導(めいどう)結晶か?』


『四角いやつ?』


 ファーギの言葉で、デーモンの街中をよく見てみる。濃い冥導(めいどう)のせいで視界が悪いが、ゴーグルのおかげで何とか視認できた。街の真ん中に黒い立方体がそびえ立っている。一辺が約五十メートルと、かなり大きな冥導(めいどう)結晶である。


『ソータ、あれは重要施設っぽいな。ワシが壊しておく。あのドアから、デーモンが出入りしているから、おそらく冥界と繋がるゲートがあるはずだ。できるだけ目立つようにやっておくからな』


 今回ファーギは、単独で陽動を担当することになっている。あれが冥界とのゲート施設なら、壊せば目立つこと間違いなしだ。


『……分かった。ミッシーとメリルはどうだ?』


『事前情報とだいぶん違っているが、宮殿に到着した』


 ミッシーは三人で行動している。同行しているのはマイアとニーナだ。彼女たち三人が、軍神デボンの救出を担当する。


『こちらも準備できました』


 メリルはテイマーズの三人と共にいる。彼女たちはファーギや俺と同じく陽動だ。


 ふたりの返事を受け取り、俺は指示を出す。


『始めるぞリアム、準備はいいか』


『いつでもいいっすよ』


『始めてくれ』


『了解っす』



 しばらくすると、盆地の北側で大きな爆発が起きた。これはリアムが落とした神威神柱(グローイングピラー)だ。神界の神威(かむい)に耐えうるデーモン、そいつらに効き目があるとは思えないが、今回はこれでいい。


 盆地には黒い石材で出来た街が広がっている。その北側から時計回りに、次々と爆発が起きていく。


 やはりさしたダメージは与えられていない。あの黒い石材、ただの石ではないようだ。街の建物も城壁も、まるで巨岩のごとくびくともしない。


 しかし、轟々たる爆音と眩い閃光に、街は蜂の巣をつついたかのような騒ぎとなっている。家屋から次々と飛び出してくるデーモンを、俺は鷹の目で観察する。ほとんどが灰色のヒト型デーモンだ。全てが漆黒の鎧に身を包み、剣や槍、弓、さらには魔導銃らしき物まで、多種多様な武器を手に全力で駆けていく。その様は、まるで黒い津波のようだ。


 事前情報と現実のギャップに戸惑いつつも、一筋の希望が見える。それは街の中央部にそびえ立つ宮殿だ。生死は不明ながらも、そこに軍神デボンが捕らえられているという。これは神々の軍勢の諜報が調べた結果で、確度の高い情報だと聞いている。


 だからなのだろう。デーモンたちは軍神デボンを逃さないために、宮殿へ向かっていた。この行動から、デボンが生きている可能性が高まったと言える。


 結果、陽動のための爆撃は効果が薄かった。街はほぼ無傷で、街の外壁にデーモンを誘き寄せることは叶わなかった。


 次はメリルたちが陽動作戦を開始する。といっても、テイマーズの召喚するスライムだが。

 ただし、スライムの数は膨大である。外輪山にいる俺にまで、スライムが現われた音が聞こえてきた。


 さすがにこれでは無視できまい。常日頃からヒュギエイアの水に浸かっている聖なるスライムたちが、家屋や倉庫、空艇(くうてい)の発着場に攻撃を仕掛けている。周囲のデーモンを滅ぼしながら。


 よしよし。デーモンたちがスライムの方へ向かった。ただし全てではない。


 数が多いとはいえ、スライムが暴れているのは街の一角。街が広すぎるため、効果は限定的だった。


『リアム、次の陽動を』

『了解っす』


 その声とほぼ同時に、暗闇を裂き、光が溢れ出る。静寂の中、一瞬の轟音が響く。炎と煙が渦巻いて、衝撃波が破壊の拳を振り抜く。


 ――街の北側で炸裂した加圧魔石砲だ。


 黒い石も、これには耐えられなかった。外壁は壊れて崩れ落ち、家屋は跡形もなく吹き飛んだ。


 うーむ。弾が魔石であっても、冥導(めいどう)で出来た建築物に効果があると証明された。加圧することによる威力の増大で、あの黒い石をも破壊できたのだ。


 この攻撃は、宮殿へ向かうデーモンの流れを変えた。北側の外壁が壊れたのだから、そりゃもう慌てまくっている。彼らはまさに、神の軍勢が奇襲をかけてきたと勘違いしていることだろう。


 しかし、デーモンは甘くない。暗い夜空に向けて、幾筋もの魔法が飛んでいく。空から何度も攻撃されて、さすがに何かいると察知したようだ。

 ただし、バンダースナッチの姿は見えていないようだ。闇雲に暗い雲に攻撃する様子は、それを証明している。


『リアム、いったん離脱で』

『了解っす!』


 リアムは魔法が届かない高度、いや、デーモンが飛べない高度で待機することになっているので大丈夫だろう。スリオンみたいなのがいない限り。


 眼下の街では火の手が上がり、濃い冥導(めいどう)の中でもデーモンの姿がくっきりと見える。


 その中で、夜空に飛び立つ部隊がいた。空艇(くうてい)は使わず、浮遊魔法で急上昇していく。リアムを追いかけるつもりなのだろうが、あいつはもう宇宙空間まで達しているはず。さすがに届くまい。


 次は俺の番だ。


 夜空を駆け上がっていくデーモンに、一発のファイアボールを放つ。


 同時に俺は転移魔法を使う。百メートルほど先の山頂を目指して。


 転移先で空を見上げると、夜空で爆発が起き、デーモンは木っ端微塵になっていた。


 すかさず俺がいた場所に、地上からの攻撃魔法が飛んできていた。やはりファイアボールという目立つ魔法を使えば、一発で位置がバレる。


 俺のいた山頂が爆発している。しかし、すでに転移済みだから問題はない。やはりデーモンは侮れない。


 ターゲットが俺に切り替わったようだ。今いる山頂に向けて、地上から攻撃魔法が飛んでくる。闇脈(あんみゃく)を纏った、ファイアボールだ。この場所がバレたのは、転移魔法を使ったからだろう。


 今回は陽動なので、これでいい。


 地上に向けてファイアボールを放ち、同時に転移する。転移先に攻撃魔法が飛んでくると、もう一度転移。それを繰り返しながら、デーモンの意識をかく乱していく。


 次々と飛んでくる冥導(めいどう)魔法。数は多いが、俺の転移する速さには追いつけない。すでに外輪山を一周する勢いで、短距離転移を繰り返していた。


 そろそろ来るかな、などと考えていると予想通りだった。ラコーダクラスの巨大デーモンが一体、転移してきたのだ。こいつらがいることは、神の軍勢から情報を得ている。だから慌てずに対処しよう。


 相手がデーモンなら、蒼天(アイテール)魔法が効果的だ。そう、以前セレスト翁から教わったことを思い出す。


 風が吹きすさぶ山頂。巨大デーモンは俺を見下ろし、その赤い瞳に殺意を宿しながら、口を開いた。


「貴様、……神の軍勢ではないのか」


 しまった。速攻でバレてしまったか。俺はセレスト翁からもらった服を着ている。だから、どちらかというと一般人の格好をしているのだ。性能はピカイチだが、鎧を装備した神の軍勢には見えないだろう。


「見た目で判断するなよ――」


 俺は即座に転移した。今のデーモンと相対した感触では、ラコーダの強さにはほど遠い。体格と力は比例しないようだ。しかし、能力が低いというわけでもない。俺の転移先に、すぐさま巨大デーモンが現われた。


「逃がすかっ!!」


 巨大デーモンの冥導(めいどう)魔法が、俺に向けて放たれた。これまで何度も見てきた黒線だ。


「逃げるさ」

「貴様っ!!」


 おちょくる言葉を残し、黒線が命中する前に転移する。


 しかし巨大デーモンは、まるで影のように転移で追いすがる。


 そのおかげで、盆地を囲む外輪山は、まるで花火大会かのように派手な戦闘の舞台と化した。もくろみ通り、デーモンの援軍が、次々に転移して現われる。そいつらをおちょくって、また転移する。頭に血が上ったデーモンたちは、まんまと俺の誘導に引っかかり、外輪山を何周も回ることになっていた。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 物陰に身を潜めたファーギは、囮になっているソータを見やり、唇をへの字に歪めていた。彼の視線は派手に動き回るソータを追っている。周囲のデーモンは、ほとんどが外輪山の(ソータ)を殲滅せんと準備に勤しんでいた。


 そんな中、ファーギは黒い立方体――巨大な冥導(めいどう)結晶へと視線を戻した。

 おもむろに取り出した魔導ライフル。それは真っ白な銃身で、これまで使っていたものとは違う。彼は魔導ライフルを構えて一発放った。


 ――ドッ


 銃声は周囲の喧騒にかき消されたが、巨大な立方体を貫いた真っ白な線を隠すことはできなかった。ファーギの耳に、デーモンのどよめきが届く。同時にそこへ、デーモンの攻撃魔法が炸裂した。


「こっちにも侵入者がいるぞ! ……あ、あれ? いなくなってる。クソッ! 転移魔法か!」


 魔法を放ったデーモンは、その場にいた侵入者がいないことに気づいて、怒声をあげた。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 デーモンの住居が建ち並ぶ住宅街にて、ダンピールの四人が暴れ回っていた。逃げ出すデーモンもいれば、立ち向かうデーモンもいる。その場面だけを見れば、メリルとテイマーズの四人は、悪逆非道の徒にしか映らなかった。


「あひゃひゃひゃっ! 死ねえええっ!」

「弱いっ! 弱いっ! 皆殺しだああっ!」

「ちょっとー、調子に乗ってると、また叱られるよ?」


 アイミーとハスミンは、デーモンを倒しまくるスライムを見て、まるで面白いショーでも見ているかのように目を輝かせている。それを見たジェスが咎めている。周囲は漆黒の石で築かれた住宅街が広がり、一見すると平和な光景だが、兵士らしきデーモンの姿は見当たらない。しかしテイマーズは知っている。デーモンの女子供であろうと、ニンゲンを喰うことに変わりはない。彼女たちにとってのデーモンは、ただただ倒すべき存在だった。


 ――ズドンッ!


 テイマーズの後方で大きな爆発が起きた。


「ほら、油断してるとやられちゃうよっ!」


 そこにはメリルが立っていた。彼女は蒼天(アイテール)障壁で、デーモンの放った冥導(めいどう)魔法を防いでいたのだ。


 密蜂(みつばち)のメリルと、テイマーズ。この四人はダンピール――吸血鬼と人間のハーフ種――でもある。それなのに蒼天(アイテール)が使えているのは、ソータからもらった永遠回廊(えいえんかいろう)結晶のおかげである。彼女たちが首からさげた小袋からは、強い力が漏れ出ている。それが彼女たちを覆い、本来なら毒となる蒼天(アイテール)から守っているのだ。


 魔法を放ったデーモンに、スライムたちが襲いかかる。デーモンにとってスライムなど、本来なら小指一本で蹴散らせる取るに足らない存在のはずだ。しかしながら、テイマーズの召喚するスライムは特別製である。ドワーフの国、ミゼルファート帝国の帝都にて、毎日ヒュギエイアの水に浸かった聖なるスライムなのだ。邪悪なデーモンでは、聖なるスライムの一体たりとも倒すことができなかった。


「アイミー、ハスミン、ジェス、ここはもういいわ。デーモンの集まりが悪すぎるから移動するわよ」


「はーい」


 メリルの指示にアイミーが返事をして、彼女たちは移動を開始した。


 ――ドン


「ふはははっ! チビドワーフがいると聞いて駆け付けたが、そこまでだ!」


 彼女たちの前に巨大デーモンが現れた。


「げっ、これラコーダってやつと同じタイプ?」


 ジェスはその姿を見て、少し怖じ気づく。


「同じ種族ってだけでしょ。いけっ!」

「やっちまいなっ!」


 アイミーとハスミンは意に介さず、スライムたちに指示を出した。


「スライムごときで、俺たちデーモンに敵うとでも――うっ!? ぐああぁぁっ!!」


 大きさが十五メートルもあるデーモンに、素肌が見えないほどスライムが張り付く。途端にデーモンは苦しみだし、家屋を崩しながら倒れ伏した。デーモンはそのまま手足をばたつかせ、スライムを剥がそうと試みるも、すでに手遅れだった。


 張り付いたスライムの隙間から白煙が溢れ出し、巨大デーモンは溶かされていく。ボタボタと漏れ出るのは体液だ。そこに他のスライムが群がっていく。時を経ずして巨大デーモンはスライムの養分へと変わり果てた。


「よーし、今度こそ移動するわよ!」


 成り行きを見守っていたメリルから指示が出ると、テイマーズの三人は元気よく返事をした。

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