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量子脳で覚醒、銀の血脈、異世界のデーモン狩り尽くす ~すべて解析し、異世界と地球に変革をもたらせ~  作者: 藍沢 理
4章 魔大陸

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121 大魔大陸からアラスカへ

 大魔大陸の名はお飾ではなく、本気でヤバい場所だった。一体一体の魔物がとにかくデカい。竜やワイバーンはいないみたいだけど、大型旅客機なみにデカいナマコが飛んできたり、地面から大型客船なみにデカいダンゴムシが出てきたりで、百体のスチールゴーレムも苦戦し始めていた。


 なので、追加で一万体のスチールゴーレムを創り、対抗させているところだ。

 結果は上々。破竹の勢いで魔物の殲滅が始まっている。


 美味しい副産物も山盛り得られた。

 ミニバンくらいの大きさがある魔石が、そこら中に転がっている。もちろん魔物が持っていたものだ。目に入る魔石だけでも、ひと財産どころか富豪になれる量がある。


 これは、ここに来るかもしれない獣人のために残しておこう。ゴーレムたちに、魔石の貯蔵庫を造るように念話で指示を出す。

 了解の返事と共に、別の念話が飛んできた。


『このままじゃ、魔物が絶滅するかもしれねえ。どうすんだ?』


『ここの魔物にとって、俺たちは侵略者だ。絶滅させる必要はない。この地に百五十万人が住めるよう、窮屈じゃない程度まで安全地帯を広げてくれ。あとは人間が住める街づくりと、防衛に勉めるように』


『了解だ』


 魔物とスチールゴーレムの戦いで、目の前の草原は穴だらけ、そこら中に肉片が落ちている。奥に見えていた森も木々がなぎ倒され、ずいぶん遠くまで開けてしまった。


 人間が生きていくって大変なんだな……。


 こけし三名に声をかける。


「ドリー、ブレナ、二人に憑いていたレブラン十二柱の話なんだけどさ、俺が滅ぼしちゃったでしょ。アンガネスに戻ったら怪しまれるよね。なにか怪しまれない策はある? 俺は獣人には協力するけど、デーモンは認めない。絶対にだ。……あ、地球の悪魔(デーモン)じゃないからね?」


 バイモンから、じとっとした視線を感じたので、フォローしとく。


「それなら筋書きを考えましょう。私、ドリー、ブレナ、三名でソータくんを罠にはめようとして失敗。極悪非道なソータ・イタガキの策で、逆にレブラン十二柱を失ってしまったと。アンガネスでそう発表した後、ドリー区長の名で、極悪非道なソータ・イタガキを指名手配すればいいんです」


 おおう……。一言フォローしただけじゃダメだったのかな? とんでもない悪役に仕立て上げられてしまいそうになっている。極悪非道って二回も言われてるし。


 否定はしないけど。


「それでうまくいきそうなら、そうしてくれ。それとバイモン、ちょっと確認」


「はい」


「カナダのドーソンシティ近くで、巨大ゲートを開いたのはお前か?」


「……いいえ」


「誰?」


「マリア・フリーマン……。とてつもない魔力を持つ、この世界の魔女(カヴン)で、巨大なゲートの一つや二つ、簡単に作れます」


 あのフェス会場にあった魔法陣は、開くまで二十四時間かかるやつだったな。そんなに時間がかかるものを、簡単にとは言わない。マリア・フリーマンってやつが、実力を隠してこそこそ動いているって線か?


「…………ちっちゃいゲートしか開けないって聞いてたんだけどなあ」


「下っ端の構成員なら、それくらいしかできませんね。ソリッドリーパーは人数が多いので、能力にばらつきがあるんです」


「そっか……。もうひとつ確認。円形ドームで、獣人に憑いていたデーモンは、お前の配下か?」


「……ええ、そうです」


「さっきさ、全部引っ剥がしてこっちに召喚しちゃったんだけど、気配が消えてったんだよね。あれって冥界に帰ったって事?」


「その通りです。面倒なことしてくれましたね……」


「お前が黙ってるからだよ」


「その、お前(・・)って言うの、やめてくれませんか? 気分悪いです」


「……はい、すみません」


 悪魔だし雑に扱おうと思ってたのに、正論パンチ食らってしまった。


「これからなんて呼べばいいんだ?」


「ね、ネイトでお願いします」


 きしょい……。ミッシーの時とは訳が違う。化粧してきれいな顔してるけど、灰色の悪魔(デーモン)だ。それに、宿主(しゅくしゅ)のネイトは間違いなく男。なのに、顔を赤くするとは……。ドリーの鼻息荒くなってるし……。


「んじゃさ、これまでにネイト配下の悪魔(デーモン)が憑いた獣人は、どこに行ったんだ?」


「え、ハマン大陸に決まってるじゃないですか」


 ……ああ、そっか。地球の悪魔(デーモン)は、実在する死神(ソリッドリーパー)って枠で協力してるんだよな。てことは、獣人、デーモン憑きの獣人、地球産デーモン憑きの獣人、実在する死神(ソリッドリーパー)が、ハマン大陸に流れ込んでいることになるのか。


「ここにビーストキングダムを造るって、先走っちゃったなあ……」


「いいえ、聖人様、この地が安全であるなら、獣人の皆さんは賛同してくれるでしょう」


 ドリーの目が金貨になっている。そこら中に転がっている、巨大な魔石に目がくらんだみたいだ。まあでも、国家を運営するならお金は必要だしね。


「あの肉、食べられるのかな……?」


 ブレナは食欲優先のようだ。


『あとは任せるぞー』

『任せとけー!』


 ここでやることは、ゴーレムに緩い指示を飛ばしたところでおしまい。


「さて、三人ともアンガネスの近くまで送ろうか? 質問があるなら今のうちにしといてくれ」


 アンガネスのど真ん中にゲートを開いて俺が見つかれば、せっかくの計画がおじゃんだ。


「ソータくん、魔導通信機を持ってますか?」


「え、うん、持ってるよ?」


「番号を教えてください」


 何それ? 番号? 電話なのかこれは。

 魔導バッグから出して、魔導通信機を触ってみる。

 ふむ……。通話ボタンしか分からん。


「……まさかとは思いますが、使い方をよく知らないんです?」


「い、いやあ、そんな事あるわけないっしょ?」


「いいから貸してください」


 俺からもぎ取った魔導通信機を、ネイト、ドリー、ブレナで見られている。

 簡単な通信機なので、ファーギと喋った履歴などは残ってないはずだ。


「短縮ダイヤルに登録しました。ここを押すと私、これがドリー、こっちがブレナです。これでお互いに連絡できますので、魔導バッグではなく、身につけておいてくださいね?」


「おおう……ありがとな」


「はい。それでは失礼します」


 三人とも、ネイトの転移魔法で消えた……? ゲート無しで異世界間の移動ができるのか。

 そういえば、……バイモンは取り憑いているネイトに、どうやって戻るのかな?


 まいっか。


 俺はアラスカにある、アメリカ空軍の秘密基地にゲートを繋げた。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 とっても爽やかな目覚め。魔力、神威、冥導、共に全回復。体調は良好! だけど、二十六歳にもなると三徹は効く。壁に掛かった時計は十二時を指していた。


 というかここどこ? 俺は個室で一人、ベッドに寝かされている状態だ。

 んーむ? この建物の内装には見覚えがあるぞ。

 デナリ国立公園北部にある、第二十八特殊戦術飛行隊の空軍基地だ。


 この状況から察するに、俺はゲートをくぐった瞬間、気を失った、というか寝た。それでここに運び込まれたんだろうね。


 お世話になります。という意味を込め、天井の隅にある監視カメラに手を振る。


 しばらくすると、ダーラ・ダーソン少尉が、金色の髪の毛を振り乱しながら駆け込んできた。


「何なんですか、ソータの身体は!! 持ち物検査ができないし、血液検査の針も刺さらないって聞きましたよ?」


 あー、俺を助けるついでに、これ(さいわ)いと色々調べるつもりだったのか。デニムとシャツは脱がされ、手術着に着替えさせられている。腰のベルトに通した魔導バッグだけ、元の状態だ。


『ありがとな』

『どういたしまして』


「ちったあ俺の身体の方を気遣って欲しいんだけどな?」


「あっ!! ごめんなさい!! それはそうと、アンガネスから獣人が消えてしまって、大騒ぎになってます。ソータ、何をしたんですか?」


 ダーラは広くない部屋をバタバタ走り回り、壁に立て掛けてあったパイプ椅子を持ってきてベッドの脇に座る。そして、ぐっと顔を近づけてきた。


「俺は何もしてない。それより、アメリカ軍(・・・・・)のダーラ・ダーソン少尉に聞きたいことがある――」


 そこで一旦言葉を止め、監視カメラを見る。


「ウォルター・ビショップ准将、デボン・ウィラー大佐、二人とも来てくれないかな?」


「な、何よ、改まった声で、どうしたの?」


「三人そろってから話す。ちょっと着替えるから、あっち向いてて」


「えっ、ちょっ!」


 突然脱ぎ始めたので、ダーラはびっくりして背を向ける。俺は手術着姿なので、近くのカゴに入っている服に着替え始めた。

 ちゃんと洗濯してあるけど、風呂に入ってないからなあ……。後で基地の風呂を借りよう。あ、シャワーしかないのかな……?


『身体は清潔にしてますよ?』


『ああ、リキッドナノマシンが汚れを落としてくれるのは知ってるけど、気分の問題だ。湯船に浸かりたいの』


『贅沢ですねぇ』


 もうだいぶ湯船に浸かってないんだよ。


 なかなか来ないな、あの二人。ちょっと来てと言っても、あの二人がずっと俺を監視しているわけじゃないから、当たり前だけど。


 その間、ダーラと差し障りの無い世間話をしておく。具体的にはイェール神学校で何をやっていたのかなど。すると悪魔(デーモン)を倒す方法など、興味深い話が出てきた。深掘りして聞こうとすると、残念ながらノックが聞こえてきた。


 入ってきたのは、ご指名の二人。監視カメラがそのままなのか確認のため、そっちに視線を移す。


「カメラは切ってきた」


 ウォルターは俺の視線で、そう答えてきた。デボンが壁に掛けてあるパイプ椅子を二つ持ってきて、ベッドに腰掛けた俺の前に座る。まずは聞かせてもらおう。


「アンガネスを中心に、小さな飛行場が何カ所かありますよね。サークル・シティー、バーチ・クリーク、セントラル、他にもたくさん」


 冥界アンガネスで空を飛んで周囲を確認したとき、いくつか飛行場が見えていたのだ。

 誰と無しに喋ると、ウォルターが答えた。前回と同じく、一番の上官が責任を持って話すのだろう。


「ああ、アラスカは飛行機がないと、交通の便が悪くてな……」


「そこはアメリカ軍、アラスカ州警察、FBIその他もろもろで溢れかえってると思うんですが、こちら側(・・・・)の魔術師がどれくらいいるか把握できてますか?」


「――っ!」


 ウォルターは実在する死神(ソリッドリーパー)とは無関係かもしれないが、秘密基地の司令官だ。それくらい知ってるだろ、と思ってカマを掛けたんだけど、対人交渉下手くそか。そんな顔したらダメでしょ。


 ダーラとデボンは、あーあ、みたいな顔になっている。


「把握出来ているという前提で話しますね――」


 アンガネスの獣人が消えたのは、地球の冥界に行っているせいで、そろそろ戻ってくる。

 そのとき、溢れかえる獣人たちを見て、法執行機関がアンガネスに突入することは、絶対にやめて欲しい。

 特に、こちら側(・・・・・)の魔術師たちが勝手な行動をしないよう、目を光らせるようにと伝えた。


「どういう事かな、ソータ」


 ウォルターは地球の冥界(・・・・・)を抵抗なく受け入れ、魔術師が勝手な行動をしないように、という点を聞いてきた。だいぶ知ってそうだな、この人。


悪い(・・)実在する死神(ソリッドリーパー)が行動を起こし、アンガネスを襲撃する可能性があります。政府機関にも実在する死神(ソリッドリーパー)が入り込んでいるので、一気にそいつらをあぶり出せますよ」


 チラと視線を動かし、ダーラとデボンを見る。心拍数上がってますよー。


 この二人はアメリカ(・・・・・)実在する死神(ソリッドリーパー)だ。イェール神学校で、悪魔(デーモン)の滅ぼし方を学んだ者と、右目に聖痕(せいこん)を持ち、悪魔(デーモン)を見つけることが出来る者、その二人がアメリカ軍にいる。


 特に、デボンの聖痕(せいこん)だ。

 この目のおかげで、アメリカの実在する死神(ソリッドリーパー)は、ネイト・バイモン・フラッシュが悪魔(デーモン)だと知っていた。


 ダーラとデボンの言動から見て、アメリカの実在する死神(ソリッドリーパー)は、悪魔(デーモン)を是としないだろう。つまり、ビッグフットとアメリカの実在する死神(ソリッドリーパー)は、敵対している事になる。


 ダーラとデボンはアメリカ軍なので、民間施設に直接の攻撃をする事が出来ない。しかし、アラスカ州警察、FBIアラスカ支局、これらの法執行機関であれば、なんやかんや理由をつけてアンガネスに突入可能だ。


 そこにアメリカの実在する死神(ソリッドリーパー)が紛れ込んでいる可能性がある。


 悪魔は神に赦されました、信じてください、なんて言おうものなら、アメリカの実在する死神(ソリッドリーパー)から、俺が追われるかもしれないし、彼らを説得する時間があるとも思えない。


 悪いな、ダーラ、デボン。今はネイトたちに任せたい。やつは地球と異世界、両方の神に赦された悪魔(デーモン)なんだ。


「分かった。至急手配しよう! 今回のフェス会場の件で、我々も実在する死神(ソリッドリーパー)には手を焼いているからな」


 ウォルターはすくっと立ち上がり、部屋を出ていこうとする。判断が速いな……。


「あ、ウォルターさん待って。悪い(・・)実在する死神(ソリッドリーパー)が出てこない可能性もありますよ?」


 俺がここで言ったことは、ダーラかデボンによって、アメリカの実在する死神(ソリッドリーパー)に連絡が行くはず。それで尻込みして、出てこないかもしれない。


「構わんよ。州警察とFBIには絶対に渡さん! 軍で取っ捕まえて、アメリカ国家安全保障局行きだ!! ボロ雑巾になるまで情報を絞り出してやる!!」


 ウォルターは尻上がりに声が大きくなり、ズバーンとドアを閉めて出ていった。


 俺は残った二人から、じっとりじめじめ梅雨のような視線を感じていた。

お読みいただいてありがとうございます!


これにて第4章完結です。明日より5章開始ですよろしくお願いします。


現時点で少しでもおもしろい、続きが気になる!


なんて思っていただけましたら、ブックマークぽちっと、☆☆☆☆☆にぽちぽちいただけると作者がとても喜びます。


₍₍ (ง ΦωΦ)ว ⁾⁾ ₍₍ (ง ΦωΦ)ว ⁾⁾

こんな感じで。


今後ともよろしくお願いします。

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