同窓会終了、見えてきた希望。
運がいいのか悪いのか、この同窓会でクラスメイトはおれも含めて4人も集まった。
他の参加者も普通に楽しんでくれたようだ。
この飲み会が始まってからもう結構時間が経ち
料理もなくなり、だいぶ落ち着いた雰囲気になってきた。
『参加者の皆さん!本日はお集まりいただきありがとうございました!』
『今回はこれでお開きにしようと思います!』
『仲良くなった方々は、このあと二次会に行くも良し!後日個別で集まるのも良し!』
『今日は楽しい飲み会になってよかったです!次回の開催もお楽しみに!』
パチパチパチパチ
おれが最後の言葉を言うと、みんなは満足げに拍手してくれた。
これはこれで嬉しいな。
後片付けの手伝いをし、店主にも挨拶をした。
『きみたちのおかげで、私も楽しかったよ。また開催したくなったら遠慮なく声をかけてくれよな!』
店主も嬉しそうにそう言ってくれた。いい人で良かった。
店を出るとあたりはすっかり暗くなっている。
店の前でおれたち4人は話し合う。
『4人も集まったのはよかった。でもおれたちはこの状況について何も理解していない。』
『とりあえずの目的は、なぜクラス全員転生してるのかと、元の世界に変える方法を知ることだ。』
『あ~~ら、いっちょ前に仕切るんですのね。アニキ。ですものね、オホホwwいいんじゃないかしら!』
おれが仕切ってるのが気に食わないのか、竹浜綾子が煽ってくる。
酒飲んで顔を赤くしてぽやぽやしてる竹浜綾子…こいつが一番飲み会楽しんでたんじゃないか…?
『まあいい。変に思われて動きづらくなるのも嫌だから、今後おれたちのことはこの世界の名前で呼ぼう。』
『うん。それがいいと思う。』
バニーニも同意してくれた。誰なんだこいつ。
『おれ、九重兄貴はアルメロ』
『こいつ、網中健斗はティティア』
『…君は元の名前内緒だったな。バニーニ』
『竹浜綾子は…あれ?お前この世界でなんて名前なんだ?』
『ヴィクトリアリアメリア。と呼んでくださいまし。』
誇らしげに竹浜綾子が答える。
絶対偽名だろ…そんな大層な名前のやつがこの世界にいるか!!
そもそも、ファミリーネームがない時点で平民だ。…まあ変に追及して暴れられても困るしいいか。
『また、来月くらいにこの飲み会を開く。』
『ティティア、バニーニ、ヴィクトリア、いいな!何か情報を集めてきてくれ!』
『分かったよアニキ!!』
『だから!!ヴィクトリアリアメリアってちゃんと全部呼んでくださいまし!!!!!!』
この2人…大丈夫かなぁ…
『ははは!!』
バニーニは楽しそうにそのやりとりを聞いている。
『とりあえず、今日はもう遅い。解散しよう。おれとティティアは仕事で関わることがあると思うが』
『バニーニとヴィクトリアもそれぞれの生活があるだろう。また来月な!』
みんな頷いてくれた。
ヴィクトリアだけは、まだ名前を略されてるのに不満そうだが…
それぞれ別れて帰路についた。
おれとティティアは方向が同じなのでティティアの店まで送ることにした。
『想像よりもうまくいったな。ティティア』
『うん。…なんていうか…その…ありがとうアニキ。』
『僕…実はこの世界不安だったんだ。一人ぼっちで取り残されたみたいな感覚でさ…』
『本当の自分を知ってる人が誰もいない。言ったところで信じてもらえるわけない。』
『アニキ、君と出会うまで、ずっと不安でいっぱいだったんだ。ありがとう…』
ティティアが目を潤ませながら言う。
その気持ちは本当に分かる。おれだって不安だった。
ティティアがこんな泣き虫になったのは、安心感からもあるのか…
ティティアの店に着いた。
ティティアは少し名残惜しそうにドアへ向かう。
『大丈夫だ。また来月…いやおれとお前は仕事で会うこともある。』
『またな!ティティア!』
『うん!ありがとうアニキ!』
ティティアはにっこり笑って、家のドアを閉める。
今回の件とはまた別だが、ティティアを安心させられたようで良かった。
他の、まだ出会ってないクラスメイト達も似たような気持ちなんだろうな…
最悪、元の世界に帰ることができなくても
同じ境遇の人たちで集まることには意味がある。
頑張ろう。
そうやっておれも家に帰った。
後日、いつも通りの日常を過ごしていた。
次回の飲み会をどうしようか考えていた。
今日は地域の会合で両親が街へと出ていたため
おれは家で作物の手入れをしていた。
夕方くらいになって両親が帰ってきた。
2人とも浮かない顔をしている。
どうしたんだろう。
『アルメロ…あの…な…』
父がそう口を開くと、母は両手で顔を覆った。
ティティアが死んだらしい。