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異世界同窓会、開催!

ここ、ヴァルヴァンデッタ王国の人口は30万人程度。


前世の高校のクラスは32人

単純計算で10000人に一人はクラスメイトがいることになる。


いきなりクラスメイト全員を集結させるのは不可能だろう。



1人ずつ、1人ずつ…

クラスメイトを見つけ出すしかないんだろう。




『ところでアニキ、そもそもなんでクラスメイト集めるの?』

何も考えてなさそうなティティアがおれに問いかける。



『…なぜおれたちはこの世界に来たんだ?』

『そして、なぜおれたちだけが記憶を持ったままなんだ?』



『…さあ?』

何も考えてなさそうなティティアが答える。




『いいか?ティティア。おれは現実的で論理的な男だ。』

『ファンタジーや夢物語を信じちゃいない。』

『こうやって、クラスメイトが偶然同時に別の世界に記憶を持ったまま転生するか?』


『おれは、これが偶然じゃないと睨んでいる。』


ティティアはポカンとした顔で口を開けながらおれの次の言葉を待っている。



『もしかしたら、他のクラスメイトは何か知っているかもしれないし。』

『おれたちのように、もう他のクラスメイト同士で知り合ってる奴らもいるかもしれない。』



『おぉぉ!確かに!そしたらどうなるんだ!アニキ!』



『更にもしかしたら、元の世界に帰れる方法があるのかもしれない!』



『うおおおぉぉ!すげえ!!そしたらどうなるんだ!アニキ!』



『元の世界の友達や父さん母さんにも会えるかもしれない!』



ティティアがしくしくと静かに泣き出す。

元の世界の親のことでも思い出したのだろう…

こいつ、こんなに泣き虫だったか…?


まぁ…この世界に来ていろいろと性格も変わったのだろう…





話は戻るが、同窓会の作戦はこうだ。


まずは、普通に親睦会と称してこの城下町で普通に飲み会を企画する。

できれば大きめの酒場などが良いだろう。

(この国では16歳から酒飲んでいい決まりだからな。)


チラシなどをその酒場に張ってもらい、そこに「隠しメッセージ」を入れるんだ。



「熊も本トにびっくり!豊かな緑あふれる身分関係なしの匿名飲み会!参加者募集!定員32名!」

「主催者 ココノエ、アミナカ」


…チラシはこれでよし。

こうすれば暗におれたちの本当の名前を分かるやつだけに伝えられる。

別に大々的に「転生者求む!熊本県K市豊緑高校同窓会!」とかにしてもいいんだけど


変なことして、目をつけられて両親に迷惑がかかっても嫌だしな…



『うおおぉぉぉ!!これなら僕でも分かる!』

『僕たちの母校、熊本県の豊緑高校のことだよな!』

『そして定員32名ってのは、僕たちのクラスメイトの数だよな!』

『すげえ!!さすがアニキ!これなら全員集合してもおかしくないよ!!』


そこまで楽観的に考えてはいないが…

まあ、とりあえず最初はこんなもんでいいだろう。





仕事の途中だったので、ささっと仕事を終わらせて街へと繰り出す。

何軒か酒場を回ったが、チラシが意味不明すぎたのかOKはもらえず…


結局そんなに大きくない『ヴィンランド』という酒場でチラシを張ってもらうことになった。



『開催日は来週だ。日にち忘れるなよ。ティティア!』


『うん!誰に会えるか楽しみだなぁ…髪の毛も切りにいかなくっちゃ!』


ティティアはルンルンで当日のことを考えている。

そんな簡単に事が進むとは思わないがな…





そして、あっという間に一週間が過ぎた。

『じゃあ行ってくるよ、父さん母さん。』


『あぁ、気をつけてな。仕事のことは気にするな。楽しんで来い。』


当日の夕方、おれはまた城下町へ向かった。


『…お父さん、あの子楽しそうな顔していましたね。』

『そうだな、母さん。街へ出て酒を飲む。アルメロももうそんな歳か…』

『いい子に育ちましたね。』

『当たり前だ。私たちの子だからな。』



親の心、子知らず。とはよく言うが

こっちの世界の親もちゃんとおれのことを想ってくれている。

そんなことも知らずに、おれは城下町のティティアの家へと向かった。




ティティアもきっちり、おやっさんに午後の休みをもらっていた。

2人で酒場ヴィンランドへ向かう。


店主に挨拶をして、飲み会の準備を手伝う。


『ティティア、いいか?くれぐれもアニキなんて呼ぶなよ!変な奴だと思われるからな!』

『うん!分かったよアニキ!』


ティティア…網中健斗…こいつ…昔からなんか頼りないんだよなぁ…

まあ、悪い奴じゃないからいいけど。



料理などの準備をしていたらあっという間に開始の時間になった。


店内には開始を待っている参加者がそこそこ集まっている。

1週間店内にチラシを張ってもらったのが功を奏したらしく、

おれたち含めて、18人の参加者が集まった。



それぞれのテーブルに数種の酒、前菜。

そして、店主特製の焼きたてアツアツミートパイ!


いい香りが広がり、みんな参加の合図を待ち望んでいる。




『皆さん初めまして!本日はお集りいただきありがとうございます。主催のココノエです!もちろん偽名です!』


酒場からはくすくすと笑い声が聞こえる。


『この飲み会は、身分や仕事など関係なく、みんなが楽しめるようにと考えて企画しました。』

『なので皆さん匿名でのびのびとお楽しみください!名乗るときは自分で考えた偽名がルールです!』


ティティアはおれの隣にいる。

同じ主催者の立場なのに、気持ちは完全にミートパイに向いている。こいつ…


『長ったらしい挨拶も面倒なので、そろそろ乾杯といたしましょう!』

『それでは皆さん、グラスを手に持って!せーの…』




乾杯の合図を言おうとしたとき、参加者の一人の女性が口を挟む。




『ちょっと待ってくださいまし!!』

『あんたら、ココノエとアミナカっておっしゃっていましたわよね!』

『豊緑高校のクラスの方々なんですの!?』



突然のカミングアウトにおれとティティアはぎょっとして言葉に詰まる。




『わたくし…えーっと、こう言ったら伝わるかしら』


『竹浜綾子…と申します。ええ、もちろん偽名ですわよ?この世界ではね。』



ティティアのほうを見る。

口を大きく開けて唖然としてる…


(アニキ…聞いたか…?竹浜綾子だって…覚えてる…?)

(ああ…もちろん…覚えてる…ってか忘れるわけねえだろ…)




あぁ…3人目に出会ったクラスメイトは…

竹浜綾子…まさかのこいつか…

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