2話 下着を買いに行くだけって言ったのに。
母に軽自動車で連れられ、ショッピングモールについた。この街1番のショッピングモールでここに来れば大体なんでも揃ったりする。その中で連れてこられたのは、女性物の下着を扱っている店だ。
「さぁユウちゃん。好きなのを選びなさい」
ユウを満更でもない顔で揶揄う。
「分かった。じゃあ選んでくるね〜」
ここで、ユウが初めて母に仕返しをする。母もこれには口をあんぐりと開けている。では、なぜユウが女性物の下着を選ぶことができるのか。それはラノベのお陰であったりする。TS物の漫画ですらユウの本棚にあるのだ。そして、その漫画の一部分に「下着を作ろう!」みたいなことが書いてあった。他の漫画にも似た様なシーンは幾つもあった。まさにラノベ様様である。
「ちょっと。サイズは、付け方は、分かるの?いくらラノベを読んでいるからって、そんなことまでは分からないでしょ」
ユウの肩を掴まれてユウは立ち止まった。
「あ、確かにそうかも…」
仕方ないと思いつつ、結局ユウは母と一緒に選ぶことになった。
「あら?これなんて如何かしら?」
最初に渡されたのは大人っぽく、でも可愛らしい花柄のブラとパンツのセットだった。
めんどくさいしもうこれで良いいや。適当に答えちゃえ
「うん、それで良いよ」
適当に相槌を打つ。もう、
「あ、これなんかは、学校でも使えそうね。あ、これも良い!」
『やばい。本当に疲れてきた。早く終わらせなければ』
最初にユウは試着して見るという名目でこの場を終わらせてみようと考えた。
「母さん。試着してみて決めれば良いんじゃ無い?」
「分かったわ。じゃあ、もう少しだけ待ってて」
「え〜別に良いじゃん今からでも」
拗ねながら上目遣いで見上げてみる。題して、『可愛い子の上目遣いは誰もが願いを断れないだろう作戦!』
「はあ、そんな顔をされると弱いわね。仕方ないから試着室行くわよ」
ユウは心の中でガッツポーズを決めながら母に連れられて行った。
「最初はこれね」
そう言ってスポブラをユウに渡した。これはユウも付けは分かる様で、難なくスポブラを付けることができた。
「おぉー」
「うん。良い感じね。次はこれ付けてみてくれる?」
次に渡されたのは一番最初に渡された、大人っぽく、でも可愛らしい花柄のブラとパンツのセットだった。ユウはラノベの知識だけでブラを。パンツをつけてしまった。母も少しだけ驚いている。しかし、間違った付け方だったりとかでは無いので何も問題はないだろう。
この後も、7着くらいの下着を着けさせられた。途中で過激な下着も渡されそうになっていたが、そこはなんとか断っていた。
最終的に5着買うことになった。ユウは疲れ切った顔をしているが。
「ユウちゃん。次は服を買いましょ」
「えぇぇ、もうやだよおお。帰りたいいいいい〜」
涙目で母を見て、袖を引っ張る。
「あのねぇ、そんなに駄々こねないの。さらに言えば、服がなかったら明日着る服ないわよ?今日はたまたま私の小さい服が余ってたからよかったけれど、なかったら如何する気なのよ。まずあなたに合う服から選ばないと」
長々と服のことを喋っているが、母の内心はこうだ。『ユウのコーディネートしたい!』
つまりは、母の欲望だ。
言いくるめられて、結局行かされることになった。
『母に連れられてやって来たのは、『ウニクロ』という店だ。こことあと、三店舗くらい行って服を買うらしい』
実はユウも少しだけ。ほんの少しだけ心の奥底で、こんなのもたまにはいいかもと思っていたりする。
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