0話 女の子になりました。
これから投稿していきます。ゆっくりとですが更新していきます。好評でしたら投稿頻度を上げます。
「「さようなら」」
帰りの会が終わったと同時に俺は、全力でカバンを片付けて自転車乗り場にダッシュする。全力で自転車を漕ぎ、家へと向かう。なんせ今日は新作ゲーム『みんなで!魚介の海!」の発売日なのだ。このゲームを出している会社は、『クルハゲーム開発部』。この会社は幾多もの神ゲーを生み出して来た。そしてこの、『みんなで!魚介達の海!』はシリーズ作第二弾なのだ。プロモーション映像も面白そうだった。だから、全力で自転車を漕ぐ。1人のゲームオタクとして。
「ただいま」
「ユウ宛の荷物が届いてたから、机の上に置いといたわよ。あと今日は夜ご飯食べるの?」
「今日はいらないや、ごめーん」
ささっと自分の部屋に駆け込む。部屋には、ティッシュやら、お菓子のゴミやらが散らかっている。そして、乱雑に参考書などが置かれた机には一つのダンボールが置かれていた。
「あれ?カッターナイフってどこにあるっけ?」
「机の中に入ってたと思うんだけどな。あ、あったあった。ベッドの下にあったのか」
カッターで中身を傷つけないように素早く、丁寧に開ける。
「おぉ、これが『みんなで!魚介達の海!』か。では、早速起動しようか」
『みんなで!魚介達の海!』
タイトルコールから始まり、プロローグが流れる…ストーリーが流れる。そこには、ボタンを押す音と、少し笑っているユウの声があった。
「あぁ、何時かな?げ、もう2時じゃん。日付跨いでたのか。さっさと歯磨きして寝よ」
「ふわぁ〜」
眠い。とにかく眠い。やっぱ、2時間睡眠はきついな。あれ?俺の手って、こんなに綺麗だったけ?うん?声も変な感じがする。
「あー。あー。おかしい。俺はこんな声じゃなかったはずだ。むしろ、低すぎると言っても過言ではないくらいの声だったはずだ」
おかしいなと思い、スマホのカメラで自分を見てみる。そこには、銀髪の美少女が写っていた。あぁ、きっと眠すぎて夢を見ているのだと思い、もう2時間寝ることにした。これを現実逃避とも言う。
起きたユウはスマホのカメラを見て絶望していた。なぜ美少女になっているのだろうと。
「はぁ、これ母さんになんて説明すんだよ。べつにさ、TSに興味が無いっていたら嘘になるだろうけど、それは妄想でするから、楽しいのであって現実に起こるとなるとちょっとなぁ」
「ぐずぐずしてたら、何も始まらない。まずは、母さんにこの事を伝えよう」
ふらふらとした足取りでリビングに向かっていく。
母さんの第一声は「誰!?」だった。まぁ無理もないだろう。全く知らない人が息子の服を着てリビングに降りて来たから。
「母さん。俺だよ。ユウだよ。」
「何?これがオレオレ詐欺なの?」
それは違うだろう。
「本当にユウなんだって。だったら、何か俺にしか分からない質問してみてよ」
「ふむ、そうね。じゃあ、ユウの部屋にあるラノベの本数は?」
「910冊」
「正解。どうやら本当にユウのようね」
「いやいや、なんで母さん知ってんの?」
「ふふふ。秘密よ」
「オソロシイ!隠していたラノベもあるのに!」
「ふふふ」
ユウが呼ぶ母さん。その母の名は椎名と言う。椎名は、もう40といきそうなのにまだまだ、20歳のようにしか見えないくらい美人である。ちょっと近所から注目されていたりする。が、本人は鈍感なため気付いては居ない。
「しかし、ユウちゃんたら、すっごく可愛らしくなったわねぇ」
「ユウちゃんはやめろっていっつも言ってるだろ〜」
「あら?今は『ユウちゃん』と呼ぶには相応しくないかしら?」
「うっ。それを言われると何も言い返せない…」
「しかし、学校はどうするのかしら?その姿で行くと色々問題になりそうね…もういっそのこと、お父さんに頼んで転入と言う形で学校に行かさせようかしら…」
「いやいや、母さん別に学校なんて行かなくても俺はいいんだよ?迷惑は掛けたくないし」
「いやだめね。私が許さないわ。大体あなたには戸籍すらないのよ?どうやって生きていくつもりなの?」
「ニート…」
「言うと思ったわ。そんなことしたら、追い出すわよ」
「それだけは勘弁してぇ」
涙目になりながら謝っている。これを何も知らないで見ていたら、微笑ましい気持ちになっていたことだろう。実際は微笑ましくはないのだが。
「じゃぁ、お父さんに頼みましょうか。私の頼みですし、聞いてくれるでしょ」
ここだけの会話を聞いていると、尻に敷かれているようにしか聞こえない。実際、尻に敷かれている。尻に敷かれている公務員39歳。これにはぜひ頑張ってと伝えたい。
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